スポンサーサイト スポンサー広告 --/--/-- -- .

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

やる夫が葉隠武士になるようです 第9話 『無分別』 c2 t0 やる夫が葉隠武士になるようです 2009/06/16 Tue .



            , '´  ̄ ̄ ` 、
          i r-ー-┬-‐、i      イイ男です。最近はやる夫スレも大いに賑わっていて結構だ。
           | |,,_   _,{|
          N| "゚'` {"゚`lリ     このスレは、隆慶一郎『死ぬことと見つけたり』をテキストに、     
             ト.i   ,__''_  !      『葉隠』を読み解いていくやる夫スレだと思ってくれ。
          /i/ l\ ー .イ|、
    ,.、-  ̄/  | l   ̄ / | |` ┬-、  原作リスペクトですすめて行くが、内容や解釈が異なる場合もある。
    /  ヽ. /    ト-` 、ノ- |  l  l  ヽ. 作品の投下中は反応できないが、突っこみはホイホイ大歓迎だ。
  /    ∨     l   |!  |   `> |  i
  /     |`二^>  l.  |  | <__,|  | では、いいかな?
_|      |.|-<    \ i / ,イ____!/ \
  .|     {.|  ` - 、 ,.---ァ^! |    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
__{   ___|└―ー/  ̄´ |ヽ |___ノ____________|
  }/ -= ヽ__ - 'ヽ   -‐ ,r'゙   l                  |
__f゙// ̄ ̄     _ -'     |_____ ,. -  ̄ \____|
  | |  -  ̄   /   |     _ | ̄ ̄ ̄ ̄ /       \  ̄|
___`\ __ /    _l - ̄  l___ /   , /     ヽi___.|
 ̄ ̄ ̄    |    _ 二 =〒  ̄  } ̄ /     l |      ! ̄ ̄|
_______l       -ヾ ̄  l/         l|       |___|


.






178 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:03:40.88 ID:l3fCdNoo

    〃                 i,
   r'   ィ=ゝー-、-、、r=‐ヮォ.〈
    !  :l      ,リ|}    |. }      
.   {.   |          ′    | }      『葉隠』は、1、2巻は口述の筆記という形をとっている。
    レ-、{∠ニ'==ァ   、==ニゞ<       
    !∩|.}. '"旬゙`   ./''旬 ` f^|      しかし、それ以降の巻は、数多くの資料を集めてきたり、
   l(( ゙′` ̄'"   f::` ̄  |l.|       色々な伝聞をもってきたりしているんだ。
.    ヽ.ヽ        {:.    lリ
.    }.iーi       ^ r'    ,'       中にはどこかで見たような文章とかももちろんある。
     !| ヽ.   ー===-   /
.   /}   \    ー‐   ,イ
 __/ ∥  .  ヽ、_!__/:::|\




         ___ _    
    __ -‐''"´ ̄ `  `''ヽ=
  ,ノ"´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
  f ,-、ィ'^w'!::::::::::::::::::::::           ……まぁ、その分、資料の正確さと言う点では、かなり甘くなってる。
 └!{    {::::::::::::::::::::::::
  !  _,.-ー、ヽ::::::::::::::_::::,          例えば、第6話『介錯』でとりあげた、松平伊豆守の出陣の話。
  lzニヘ´i ̄ \:::/´,.ヽ      
.  /  「レ l{   i l:::ヤl(_」 l:::::         酒井備後守が引退という話になってるけれど、
 /  ,´'" __  j l.ミ' ヒ,、 .!:r           土井利勝は島原の乱の時点で死んではいないし(1644年説あり)、
 L_,、 ,.ィ´ !`ヽ   り /::`            備後守が家督を弟に譲るのはもう少し先のこと。
  `Lく !  !  l    し':
     ! !  ! l   l /
      ! !. V    / `          やはり、佐賀の歴史以外だと、資料としては使いづらいか。
      l_,レ'´  /     
.‐''´ ̄`ヽ}   ,/|  _  
'" ,    _>-'┴'''''<、  
,. '   /               





179 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:04:20.73 ID:l3fCdNoo

 /'´ ̄ )/ヽ
./  Y/´ /,へ、
く、 {./  // ├(⌒ヽ
 \ ヽ ヾ」  | ./  /
  ヽ ヽ !! /Y  {                   とはいえ、エピソードの面白さで言えば、それは関係ない。
   `ヽヽノヽ( ( )ヽ 
     \       i  , '´  ̄ ̄ ` 、         葉隠を楽しく読むには、誰が、どんなことを(いわゆる予想の斜め上の行動を)
.      i      } i r-ー-┬-‐、i          やったか、を追っていけばいい。
      |     :{  | |,,_   _,{|
.     |:      :|  N| "゚'` {"゚`lリ
     |: :     :|  ト.i   ,__''_  !          次に挙げるのは、
     i.| ::     |/i/ l\ ー .イ|、          相馬家に仕えていた名も残っていない武士の話さ。
.    |  :      |  \´ ̄`/ ´ .ヽ
    /        .|::... ヾ  ゙ヾ;;::;" ..::\
    /       ヽ...}゙l:::::::::::...   : :;"  :::: 、
   {  . ノ      ヽノ :、:::::::::・;: ;;;;''、,::::・ ;:ノ.. ヽ
   ヽ::/:  ヽ.........::ソ "゙''ー--'''''" ゛::; "゛'...}、:::: |
    ヽ:::...:::::::::::::_/::゛'ー_  ,,;;;!、  ,,;;;  ,、:::ノ
      ̄ー─'i::::::: .゙゙,,、  ;::''"`;:::;'''゛゛` /





180 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:04:58.37 ID:l3fCdNoo

(聞書10の69)

磐城中村の相馬家の家系図は、「チケンマロカシ」といって日本一の系図である。
ある日、相馬殿の屋敷が火事にあってしまった。


              ノ  ;;;:::ノ;;;;彡
 パチパチ_圭____ノ::::ソソ
    ///////.ヘ.丿
  //////// `lへ.メラメラ
   ̄||ニlニ厂|ニlニ「l~「 ∩ l ̄
    |`┴ノ l`┴' || | | |
    レ'l´l^'i'^l`lヽ || | | |
    L.LL.L.LL.LLl -''"~




 ∠ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
 丿\        \
      ―――‐、 \
 /         \ ヽ
/            ヽ,  |    「屋敷や道具はまた作ればいいが、
              |  |       あの系図が焼けてなくなるのは惜しいのぅ……」
.              |  レ
  /⌒           |  |/ ̄
へ イ- _ノ         /
ノ      __      /
{   r/    \.   /
`‐‐^|    |二)   } /
   \   /  ̄
     \/





181 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:05:26.13 ID:l3fCdNoo

すると、供をしていた一人が進み出た。

     ___
   /。    \
  /       \
 |┏━━━━━┓
 |┃ ⊂⊃|⊃|
 |┃    | |    「俺が取ってくる」
 |┃    | |
  \\    | / 
      ̄ ̄ ̄ ̄




      /
    /
   V     _,、_, へ
   l   /        \
   | /  米         ヽ  
   | |       /⌒ヽ   V⌒ V  「よせっ!死ぬ気か!?屋敷はすでに火に包まれているんだぞ!?」
   ヽ.l Y´ヽ」 └く|i|  ノ      く 
    ハ|  |il|     ̄        __人  
     ヽ.ヽ‐‐}-    __      
      へ.|  `‐‐ / /  ヽ   
   /   |  |二 /     / 〉 ../
―┬'     \ \ /|__ / /  ./
 /        \ \l_ /  /
 \          \ ___ /





182 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:06:55.42 ID:l3fCdNoo

言い出した男は、気が利かなく、たいした用も立たなかったが、
どこか気に入られて相馬殿のお側に勤めていたものだった。


           ―――
       /          \
      /             \
      /     / ニニニ\..   |
    ../     // < \ \\.  |
   . .l    ...//   \_> /\\|
    |   ..//       ./<_>.//
   ∠ニニ./      .. /  .//   「いつかは自分の命を御用に立てたいと覚悟していた。
___/    |   ―:v――:、 .//
   /   / /   \ \ | /     その命を捨てるときは、まさにこの時!」
       /        \ \
―――<          /  }
\     ヽ.      / / ∧
  |     |     / ∠_/  



といって、火の中に飛び込んだ。



184 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:07:38.66 ID:l3fCdNoo

          ∧ ̄ ̄ \
          | │    \
         ┴..┴―― 、  \
       /.| 人 |      \.|    
      /  | 人 |         V      さて、火が消えると、相馬殿は、
      / __}            ',    
.      l /    `'┬――:、     |/|    「不憫なことをしたのぅ……。
.     | l   ・|   | ・       ..|  |     せめてかの者の死骸を探してやってくれ」
...     |  ‐。/  `  ‐‐。┘   . |  |    
.     |  人__n    ゚    / |_| _  といって、瓦礫の中を探させた。
     ..|  /      ̄ \    /.∧ ̄/ 
   /∧ |  ゝ二フ.   |   / / | /   /
  / / ∧ゝ       ノ  /.イ  /   /




.     ゝ   (_ (_  (_/ ̄ ̄ヽ ノ (    /
.     (   ノ  ) /  l ::::___ |\  )  ノ   }
      ) /:: ̄ ̄ Y  .| | _|__,||..  V{_人   ノ
.     / / ::::::::::::::::::::)..  `=| ⌒|´ ||.  |::::::::::: l (    /   すると、居間の庭に焼死体が見つかった。
     ( | :::::::::::::::::: |  || ゝ__|/||  |::::::::::: |\)  (
   _/ヽ∧ ::::::::::::::::::/  `||____||  |::::::::: /  |\ノ    死体を片付けようとすると、そのあたりが血だまりになっていたのを気づいた。
  ∧ヽ    \__./     ̄ ̄厂    ゝ__/ / /|
  | | |\___/{       ../    /  ̄厂 ̄  .|    動かしたとき、腹が傷ついているのがわかった。
  |ニ.人_>! へ  \___ノゝ__ /    |.     |
  |      |/\ \ _____/\    ヽ    /
  |      |  \:::::::::::::::::::::::: /  ̄\    |   /
  ヽ.    〈 .   \.::::::::::::::::/      .\  |  ̄ |




           /⌒ソ/⌒ヽ、
        . /  //    ..\      ._,
        /  //      .`ヽ,.._,ィ''´  `'ー- 、      /i
        /  //                  \,.   _..ノ .|
    .   /  //                     ⌒´   .|
      /  //                          | その者は腹を切って、系図を体の中にしまっておいた。
      /  //                           |
    . /  //                            .|  系図は少しも焼かれていなかった。
    /  //  .                          |
    /  //                             .|
   ./  //                            . |   それから血系図とよぶようになったという』
  /  //                               |
 ッ芝ヾシ⌒ヽ、                           |
 .ヾニジ    \      ._,.イ⌒ヽ               |
          `ヽ,.._,ィ''´      `'ー- 、        .  |
                         .\,.   _., 、  . .リ
                            ⌒´   \._,ノ





185 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:08:23.82 ID:l3fCdNoo

       ______
    ,,..-‐";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;` 、
  /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
  /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|
  |;;;;i "'`~  "`~ `i||i" '' ゙` " |;;;;;;|
  |;;;;|       ヽ`     u  |;;;;;|
  .|;;| ,-;;;;;;;;;;"フノ  ヾ`;;;;;;;;;;;;;;;ヽ |;;;;|
 ,,ト;| ',,_==-、く    >゙-==、  |/ i    ……凄まじいな。
 |i 、|   ' ̄"彡|         || |
 |'. (|       彡|          |)) |    こういう侠気というか、
  ! 、|      i,"(_ ,, 、,      |" i     「士は己を知るもののために死す」といった話は好きだぜ。
  ヽ_|        `         .|_/
   .|゙      、,.--‐ 、,,     |
   .i ゙、    '  ̄ニ ̄     /|      というわけで、今日も……
   |   、      ̄ ̄    , ' |
   |  i ` 、    (    , "   |
    |      ` ー---― "|    |
   |  |          i     |




     )     __      r(    ,、_         /  や
  あ (_ , ‐''" ̄    ̄ `''‐、 ゞ, rr~ヅ´ ミ        ,'.   ら
  あ  /            ヽ フハ    _ ミ        {.   な
.  っ  (     i j ///j } ト、} ミ|_.. -'_"-'´\  r'⌒ヽ  {    い
   !!   )  ノ}. j/ノノ〃 jノ jハリ ゙i`'''Tjフ   } ミトー } l    か
     (   }ノノ _.’- 'ノノ 冫=}  ,' ,.‐'"    { {い) / ノ_
Vヽハj⌒    i〃ー_''ニ ,、:: {ニ'”{ ,'        ゞ゙ f クァ ―`‐- 、.._,、-'´
   l.  f⌒ヽ.{ ”´-'' "    `、 ',〈.、,..        ,.‐'´      `' 、``丶、
    i、 i ⌒>    l!   r, ノ  l  )__.. -ァ   /
    i \((    lj  , ‐--.ィ  !   Y´_   ./   \    \\
     `、  こ、.       {   j  i j   ゙i゙   {     \    \\
      ヽ リ \    `_'二. ,' /ノ   丶、,、イ       \    \\
       V     ヽ      /         {        \    \\





186 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:09:42.60 ID:l3fCdNoo
第9話

<江戸近郊 三ノ輪>


  ┌──‐┐、
..  | ΟΧ.│.:|
..  |デハ゜ー.ト|..::|
─┴──‐┴┴─────────┐
 ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄.||_,||
 ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄.|夜|
:二二二二二二二二二二二二二二: |九|
: |  ̄|  ̄|  ̄||: |  ̄|  ̄|  ̄||: |  ̄|二|時|
: |   |   |   ||: |   |   |   ||: |   |二|迄|          ________________
l!二二二二il二二二二il二二二二il二|営|        lニl |」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
____,| |____,| |____,| |_____,|業|        | :| | ΤΟΥΑΤΑ ショールーム __
二|  |  | |  |  |  | |  |  |  | |  |  ̄|.        _|=| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`||  |. ̄
二|  |  | |  |  |  | |  |  |  | |  |   |.      |■| :| |.  //       _____. ||  |/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|.        |□| :| |/_____   (New Model) ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(OXデハ゜ート) ̄ ̄|        ̄| :| | [SportsCar]. /  ̄ ̄ ̄ ̄   ||  |
 ̄|| ̄|| ̄|| ̄|| ̄|| ̄|  ̄ ̄ |  ̄ ̄ || ̄||         | :| |   ̄ ̄ ̄ ̄      .__.    ||  |
/||/||/||/||/||/|     [|]     ||/||         |=| | ∠二Tヽ   //--´ロロ`--、 ||  |  /
/||/||/||/||/||/| // | // ||/||        [| :| | {゚=゚゚O-O// ‘ー○――○ー'..||  |//
||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||_______________| :|||==||=i ̄ ̄ ̄il==、||==||==||==||==||==||==
           ,--´ ̄ ̄`--、      ||      \ 、     i======j|エコi!
   ,ー―――‐、.‘ー◎――◎ー'        ||ニニニニニニニ\\  `(O)===(O)´
__/ノ__|||___ヽ\  ____       |:|          \\        ____      __
            ^ー--、 ̄ ̄        | | 二二二二二二\\          ̄ ̄ ̄ ̄        ̄ ̄
_.γ⌒ヽ_____γ⌒ヽ__.}    __ .     | |              \\          __           __
ー| |___,ノ───‐、| |,ノー‐´    | |    | |────────‐\\      | |        | |
ニニニニニニニニニニニニニニニニ⊃ ||__________,\.\ ⊂ニニニニニニニニニニ
 | |           | |.          | |     ||                 \ \  | |        | |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





188 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:10:07.29 ID:l3fCdNoo

                   n
                   l^l.| | /)
                   | U レ'//)
      ___      ノ    /
    / ⌒  ⌒\  rニ     |
   / (⌒)  (⌒)\  ヽ   /
 /   ///(__人__)///\ / `   /
 |       `Y⌒y'´    |   /
 \.       ゙ー ′  ,/  /    「おはようだお!」
  /⌒ヽ   ー‐   ィ  /
  / rー'ゝ        / , -'"^^^^,-'~~~~ ~~~~~~'-,^^^^"'-
 /,ノヾ ,>         イ  (,,,,, -'", '"'⌒ヽ  '"⌒ヽ`、~"'- ,,,,,)
 | ヽ〆          |      ,’  ・     ・   ;,   




        _、‐-、, -‐z._
        > ` " " ′.<
      / " " " " ゙ ゙ ゙ ゙ \
        7 " " ",.",ィ バ ,゙ ゙ ヾ       r‐ ' _ノ
       ! " " /-Kl/ Vlバ.N     _ ) (_
       | "n l =。== _ ,≦ハ!      (⊂ニニ⊃)
      |."しl|  ̄ ,._ ∨       `二⊃ノ 
      | " ゙ハ  ー--7′       ((  ̄
      r'ニニヽ._\. ¨/           ;; 
     r':ニニ:_`ー三`:く._           [l、   「……ああ」
   /: : : : : : :`,ニ、: :_:_;>      /,ィつ
.   /: : : : : : : : / : : : ヽ\     ,∠∠Z'_つ 
  | : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.   / .r─-'-っ
.   |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''" ̄: : :l: : : :l   /  ):::厂 ´
   |:.:.:.:.::.:.:.:l -─-: : /:_:_:_:_l / ̄`Y´
.   |:.:.::.:.::.::l.__: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ: :〉
   |::.:::.::.::l: : : : : : /:::: : : : : |: : : : ゙/

   【佐賀浪人 斎藤杢之助】




189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 20:10:10.41 ID:j1CPRE2o
TOYOTAwwww


190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 20:10:31.28 ID:Cu5No720
体の中に空きスペース(と五重のリング)があったわけですね>供の人


191 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:10:55.66 ID:l3fCdNoo

      ____
     /_ノ ' ヽ_\
   /(≡)   (≡)\
  / /// (__人__) ///\   「今日は楽しみだお!大人の階段のぼるお!」
  |     |r┬-|      |
  \     ` ー'´    /ハァ…ハァ…




   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)   「おちつけ。はしゃぎすぎるなよ」
. |     (__人__)
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }  ミ        ピコッ
.  ヽ        } ミ  /\  ,☆____
   ヽ     ノ    \  \ /     \
   /    く  \.  /\/ ─    ─ \
   |     `ー一⌒)  /   (●)  (●)  \
    |    i´ ̄ ̄ ̄ \ |      (__人__)     |   「あ~い」
               \_   ` ⌒´    /
                /          \

【勝茂近習 中野やらない夫】




192 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:11:41.29 ID:l3fCdNoo


      / ̄ ̄\
     /   ノ  ヽ \
     |  ( ●) (●)|  ..       _─-、 -‐;z.__
     |    (__人__) |      > ` " ゙  <
    |     ` ⌒´ |     / " " " " ゙ ゙ ゙ ゙\
     |       |       l " " ", ,ィ バ i ゙、 ゙、ヾ
      ヽ      /        | " "ノlノメ、 |ノjムヘ. N
     _,,ゝ    (,_       ..! r,コ| =。=  ,。==ハリ
   /´  `ー-一´`ヽ      | |ヒ.j|   ̄ r_ \7                 /)
   /  、      , |     j `ァヘ  ──‐:7′              ///)
  /   ノ        |  l   _/∨ :::\  ̄ 人              /,.=゙''"/             人人人人人人人人人人人人
  (  y'l       l_ | '''"´ |.  ヽ.  ::::`:.イ  |`''‐- 、.._   /    i f ,.r='"-‐'つ____     <                  >
  ヽ ヽ.        |' }     |   \  :::/  |     .ハ /    /   _,.-‐'~/ ⌒  ⌒\   < ほんじゃ吉原に、いくおっ!..>
   \ソ`ー─‐一ヾ/.     |   ,ヘ 〉  |へ. |     l. l   /  i   ,二ニ⊃ ( ●). (.●)\  <                  >
     |    ij  ノ      l_/  ゚〈ー‐'|   ヽ!   │ |  /   ノ    il゙フ::::::  ⌒(__人__)⌒:::: \ YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY
      |   |.   |          |::::::|   「 ̄ ̄| |   |    ,イ「ト、  ,!,!|      |r┬-|     |
                                    / iトヾヽ_/ィ"\      `ー'´     /





193 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:12:24.17 ID:l3fCdNoo
                              
                                    ,l ゞ:〃            ______
                                       ,l ゞ:〃 :::::::::::::::::::::::::::::::r" |∥∥∥∥∥
    ゚゙'ー、,,,                               ,l ゞ:〃        ,,,r'" l|  |∥∥∥∥∥
    ゚゙'ー、,, ゙゙`ー、,                         ,,l ゞ:〃:::::::::::::::::::::;r゙゙|::::::::::l|   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       ゙゙゙゙',ー、,. ゙゙'ー、_                         ,l ゞ,.〃      ,r''|::::::|;;;;;;;;;;l|
        .ll  .゙゙''ー,,, ''ー、,_ _              ,l゙ゞ;〃:::::::::::;;rl|::::::|;;;;;;|::::r''''l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        .ll いら  ~~゙lー、、:i┿l|              l:ゞ〃 . ,,,r'" l|;;;;;;|::r''|;;;;;;;;;;l|
        .ll  しゃい   lミミl*li揚l|ヽi:ー,、        彡~〃彡'"''',,r''' l|::r''|;;;;;;|::::::::::l|
        .l:──--、、、...lミミl*il屋l|__li゙゚態N、、 ,       l l?'''"、__r''__,、、l|;;;;;;|::::::|;;;;;;;;;;l|  :::::::::::::::::::::::::::::::
    , l l l llll|ミミミミミミミlミミl*ll通l|~~トlー-i゙l~~冫     ~ |゚l、.丿彡彡彡l|::::::|;;;;;;|::::::::::l|
      lj,,',,',,',,',,',,',,',,',,',,',,',lミミl*llりl.| llヾヾiー ゚l゙~i:!』,,  . l『』i゙゙゚゙:lヽ ̄ ̄l|;;;;;;|::::::|;;;;;;;;;;l|  ::::::::::::::::::::::::::::::::
      l|  l   .l    lミミl*ll .l| ll .l il!ヮ ';li,''ll l?l゙li....ll ll i~ll"|..| ̄~l|::::::|;;;;;;|::::::::::l|
      l|  l   .l__..lミミl*ll冖l| ll l.ill ̄~~~''゙`゙'''`   "l|、l.l |..|____,l|;;;;;;|::::::|;;;;;;;;;;l|
      l|  l---i .l _,,,,,wil"~l*ll!l!l!l'゙゙“゙~                l| l |   l|::::::|;;;;;;|::::::::::l|
      l|  ハ ハ、-''~     """               .     ゙=゙ヽ|__l|;;;;;;|::::::|;;;;;;;;;;l|
      ll゙`(д゚,,).: ..                    . .   .   ヽ、  l|::::::|;;;;;;|::::::::::l| :::::::::::::::::::::::::::::::::
        <_lyl_>           ..,ヘ,ヘ   ∧_∧   .   .   ヽ、|~ヾl::::::|;;;;;;;;;;l|
       ..l_|__,|.           (  )  (    )           ヽ、,l~ヾl::::::::::l| :::::::::::::::::::::::::::::::::::
       :::'-'^~:           (  ) '-(    ) .     .      ヽ、 l~ヾ;;;ll________
                       UU  / /|  |  .∧_∧          ヽ、 l~l|  ┌───┐
                           (_)(_) (    )         ヽ、l  │∥∥∥│

吉原。

1638年当時にあったのは、現在の東京都千束にそびえる快楽街のことではない。
この頃は、東京都京橋付近にあったとされている三方を堀に囲まれた色里遊郭のことである。
のちに浅草付近に移る方を新吉原と指すことに対して、こちらは元吉原と呼び分けられていた。

世間はここを悪所と呼んでいた。



194 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:12:50.60 ID:l3fCdNoo

<江戸時代前期の地図>

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃                        \  √⌒\      ┃ 
┃                          Υ    丿     ┃  
┃                      三ノ輪     /      .┃
┃                       ・      ノ       .┃  
┃                          |||||||(新吉原)   ..┃
┃                            /        ....┃ 
┃                卍        .. 丿         .┃  
┃            ○ 寛永寺     卍 /         .. .┃   
┃           不忍池       浅草寺           ┃ 
┃                        ノ             ┃  
┃                      ..丿             ...┃  
┃                      ノ               ┃ 
┃       ノ`ゝ_   日本橋  │             .  .┃ 
┃      γヽノ  ヘ    ・  ・  ヽ 隅            .┃
┃      λ江戸城..ノ    木挽町 │             ...┃ 
┃      ゝ   √`    !i!i!i    / 田            .┃   
┃       ⌒..イ    (元吉原) ..ノ               .┃ 
┃         ・           人 川             ┃ 
┃       桜田鍋島屋敷    ノ \              ..┃  
┃                   ノ   λ              ┃
┃             ノヘ_ノ   ・  入             .┃ 
┃            │     石川島 弋_           ┃  
┃        卍   ..ヘ             ゝ___     .┃       
┃      増上寺  .ノ                        .┃    
┃            │  江戸湾                  ┃        
┃            │                        .┃     
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 





195 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:15:30.27 ID:l3fCdNoo

事の発端は、大野兄弟の誘いだった。

         /: : : : : : : : : : : : : : : : : lヽ: : : : : : ::二二: :ヽ/ /
         ト、: : : : : : : :i: : ヽ: : : : :: ::| ヽ/ ̄"―┐: /  /
       /\ `  、: : |: : : ::ヽ: : : : :l       //   /
       /: : : \    ヽ|: : : : :/ヽ: : ::|     /`/    /
       /: /ニ|: :\   |: : : : ト、ヽ: : l    //       /
     //::/三ニ|: :/ニ\ l: : : :|  `ヽ::ヽ― '´     /ヽ          「おう、殿様からたっぷりゼニもらったからよ、
  /ヾ//   |/三三}\l: : ::l      ヽヽ      /V ノ \         いっちょ敵娼(てきしょう)と一戦かましに行こうや!」
/ヾ三三三三三ニ/ |ニ'、<.l : :ト、     个ー、   / レ'/    l\___
三ヾ、__     |/  l川 \l:: :l \/ 、!,   `ー'   厂     |三三三l`ヽ、
三` ̄ ̄   \,,   ィニ=::::::V、 r、_____, イ}  ノ:::     |三三三三三>、
三ニ     /ヾヽ三'/ :::::::::::::\ヽlヘ    ヘ ノ イ:::      | 三三三/  ,==\
三三ヾー/    V/   :::::::::::::::\`ー―一'/:::::        ,'三三三/ /三三ニ
三三ニ/       ',      ::::::::::::::::`ー―‐'´:::::................   /三三三ll  i三三三三
三ニ/         ',      ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::    /三/ l三ニl  |三三三三
                ヽ                      /三/ |ニ三l  |三三三三
              \                  /三/  .l三ニl  |三三三三

                 【浪人 大野上那】




196 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:15:51.05 ID:l3fCdNoo

         ____
       /      \
      / ─    ─ \
    /   (○)  (○)  \
    |     (__人__)    .|   「え……、やる夫は童貞なんだけど、いいの?」
     .\     ` ⌒    ,/




  > ``´〉ー、
  7ミレW゛ "}ゞ
   ゞ(q `ヒi´j
  〃)}。`´。{(ヾ   「あー、かまわん!かまわん!」
  \〉ニニニ〈シ
   .}=芥={
    j  ハ .|
   く三| |三ゝ
   (Y__」 L__Y)





197 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:16:10.35 ID:l3fCdNoo

   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \
 |  (○)(○) |
. |  (__人__)  |
  |   ` ⌒´  ノ   「え……、俺なんか、遊び方なんて知らないんだけど……」
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ        \
   /    く  \        \
   |     \   \         \
    |    |ヽ、二⌒)、          \




. /: : : ://: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : : :/l/__: : : : : : :l
/: : / / : : : : : : : /: : : : : : : : : : : ;ィ: : : : : : : : /´  `ーァ : : : l
: /  ./ : : : : : : : ,': : : : : : : : : :/ /: : : : : : /:/     ,イ : : : : L _
´   /: : : : : : : : ,' : : : : : : : /  /: : : : : 〃:/      〈ミ: : : : : <_
   /: : : : : : : : :,': : : : : : : /\  i: : : :///   /`ヽ  !ヽ. \---‐´
.  /: : : : : /! : i: : : : : : :/ァ云≧!: : /  ´ z=≦.._    l_ : ヽr-`
 /: :〃 / .l: : !: : : : :.:/、弋タ_ l : /   ´ ´{rネハヽ,   ハ/
.////   l: /l : : : : / " ̄  l:./l  /  ``ニ"- ゛  ,'イ !
"  ´   ,, l/-l: : : :,イ.     l/ .l ,'         ,'〉 !ノ    「お前を信じる、俺様を信じろっ!」
    ,, ''   l: : ∧_!       l            ,'/,ィ`丶、
 ,, ''       l: /   .l       ` -       ,'_/     `丶 、
''         l/   i、   、______,、   ,'          \
                !ヽ、   、   ,      ,イ              \
`丶、          l  ヽ      ̄ ̄    / l                \
   `ヽ,      /  l ', ヽ       /  l .l          , - ... _   \
  _ .. -'     ,' /!. ',  ヽ、____/ /   ト、!       /    ¨ ‐ -





198 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:16:36.18 ID:l3fCdNoo


                / ̄ ̄\
              /  ヽ_  .\
              ( ●)( ●)  |     ____
              (__人__)      |    /      \
              l` ⌒´    | / ─    ─  \
             . {          | /  (●)  ( ●)   \
               {       / |    (__人__)       |
          ,-、   ヽ     ノ、\    ` ⌒´     ,/__
         / ノ/ ̄/ ` ー ─ '/><  ` ー─ ' ┌、 ヽ  ヽ,
        /  L_         ̄  /           _l__( { r-、 .ト
           _,,二)     /            〔― ‐} Ll  | l) )
           >_,フ      /               }二 コ\   Li‐'         ン;;'" ̄";; 彡
        __,,,i‐ノ     l              └―イ   ヽ |          i″iヘルノiレ)
                    l                   i   ヽl          ヾ6;,`_ゝ´/ 

               即   断   即   決




199 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:17:18.27 ID:l3fCdNoo

| |:田: |E|  |\    | ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|   |  / l    l| | |  |_______
| |:田: |E|  |  \  | \:::::::::::::::::.. ○ ..::::::::::::::|   |/   l__l| | |_|::::::::::: : : :
| |__,,|E|_| .::::::::::\|  l]\   ○○○     |/ll |      |  | | |居|:::: : : : :
すや    :::|`ヽ.:::::::::::::|  ___`_l'_´__.!..::|l       |  | | |酒|二二二二二
 ̄| ̄| ̄l,,| |  l ̄ l::::: /´:_:_:_::_:_:_:_:_:_:`ヽ、  l  ̄l...::|  | | |屋||----/||---
:`l´_l_`|_|_|:|::: \::ヽ:/ ._________ ヽ::ヽ/::ノ :|  | | |--||___||___
:::| l| |_|_| |:::  ヽ::<: |[||  吉 原 大 門 |]|. :>::,, / ..:::|  | l ilお|::::::::::::::: : : :
TTTT,;|_|_| |::::::  ヽ::ヽ_ . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄__ノ::ヽ、   .:::::|  | | |好|:::::::::::::::: : :
:::=||,l |_|_| |______  /::/::::::::::::::::::::ヽ::ヽ . : ::|  | | |み|_______
:::===l |_|_| |__ |::,l` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´|::||   : :::|  | | |焼|  PRONTO
:::三ll| |_|_| |:::::::  |[]l |  |]」|i i!+|  l二l[l[ ll!|ll (=) |   : :::|  | | liき|、_____
:::三ll| |_|_| |:::::::  | l | ( ).|]]l]":::::| 88 +[l[l"' ̄' | l |   : :::|  | |  ̄"|     i//
:::三ll| |_|_| |:::::::  | l | 只8 8 8 8 ∧∧,;"「」 []  λλ  |  | | ,,,,,    l/
:::三ll| |_|_| |: ∧∧  ,、,、 n n ∧∧(  ,,) (*´ロ`) (´v`*) ノリレ,, ノリルレ ,   |
 ̄ ̄ ̄    (*´) (-^* )::::::::) ∧∧(∩_∩ (~ ノ-(  ノ (-・ (゚- ゚*ノリ.  |//
     ,-'" (   ヽ(゚*  ) )   ( `ー) (∀・,,) vvv 〉 ノ 〉   l i_)(Y ノ..........i/...........
___,-"´   ノ  〉 (   )    (   ) (   ) (v` )         Y ノノ~~'ゝ


大野兄弟とは、遊郭の出入り口である吉原大門で待ち合わせることとなっていた。


         ,.‐''''''''' '' " `ヽァノ_ノi
         / r'⌒j       <
        f´彡 ノノノ j ハノjノ)イ ヽ
        r'´::¨:: f`''‐'´    ''´l:: f´
      r'´:::::::::/::‥-、    _ j:::リ   _______
      レ'´/ヽi:::::::cテヽ r ri'´ 八}  /
       {、{ Nヽ:  ̄  i ¨ j /  | 
       J:::ヽ-、::    、 !;  /  <  きたな……
       イ:::::| :ト:::: 、、___  /    | 
       ヽ乍ヽ\ `' ='´ /     \
   _.. ァ '' "i'´\  \_  /|ヽ--、、、、_ ̄ ̄ ̄ ̄
, ‐'´  /::::::::::|ヽ  `''‥ー-¨‐'  ノ   )  } iTl


     【旗本 水野出雲守成貞】



200 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:18:10.06 ID:l3fCdNoo

             _,,.、-‐─‐‐-、.
           //::i   i:`ヽ、\            ……いけ>
          / ./::::::::::l   l:::::::::::ヽヽ
           l / ::::::::::::}-‐-{、:::::::::::ヾi
           ,l ,l:::::::;;;;;;/ ゚ ゚ ゚ l;;;;;;:::::::::ノ l     水野は傍らにいた男に合図を出すと、
         i|`゙;} ̄__    _  `|´ |       その男はやる夫めがけて突っ込んでいった。
            ! ,l i´:://)   i´:::/`i | ,!
            〉fソ、`ー‐' i⌒i ゙ー‐' ,/ソ`ー'´`、
       _.,、イ::::|;;!;;ゞ , 、.'二' , 、 ,f::::|::ヽ、ヽ!::ヾ`ー‐-、
  ,、-─'゙´::::i:::::::::ヾ;;;| i;;ソ ・ .・ヾ;;!  !::::::l::::ヽ::::::::iー─-f ゙:、
、イ、:::::::::\::::ヽ、.::::::`''! ゙  ・ .・  ゙ /::::::,!::::::::i::::::::|   |  ヽ、
   ヽ、::::::::ヾ、::::::::::::::::::\  ・ ・  ,ィ'::::::/::::::::::|::::::::!   |  ー゙:、
ヽ、-一\:::::::::ヽ::::::::::::::ヾ、``ー-‐'":::::::/.:::::::::::,':::::::,'   ,!  ー‐-゙:、ダダダダダダッ……
  ヽ,   \,:::::::\:::::::::::::::`:::::::::::::::::/:::::::::::,'::::::/   ,./     i
   f    \::::::::\::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::,'::::::/   il/        |
    |i     \::::::::`ヽ::::::`::、:::::::::::::::::::/::::::/    /       |




  ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,     ,,,,,,,,,,, ,,,,,,,,,,
  |;;;;;;;;;;;;;;;;;|     |;;;;;;;;;||;;;;;;;;;|
   |;;;;;;;;;;;;;;;;;|      |;;;;;;;;||;;;;;;;;|
   |;;;;;;;;;;;;;;;;;;|,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
    |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
    |;;;;;;;;;;;;;;;;;;|''''''''''''''''''''
     |;;;;;;;;;;;;;;;;;;|
     |;;;;;;;;;;;;;;;;;|
      .|;;;;;;;;;;;;;;;;;;|                `     '
                           、   ノヾ     '
                           )ヽ/  ヽ、ノ|ノ´
                            `r      r'
                            )     (
                          , '´⌒`Y´⌒` 、     ,,,,,,
                                      /;;;;;;;;;;;;;|
                                      /;;;;;;;;;;;;;;;|        ,,,,,,,
                                         '''''    ,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;''
                                          ,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;
                                        ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
                                        ''''';;;;;''''''''''





201 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:18:43.09 ID:l3fCdNoo


      \\ ,-、               | || !| |
\\   、,、-' 弋              | || || | !   ./
  _,、-'      (              ! || || | |   / / ̄ ~/   __ __
 (_          ヽ、  「ぐえっ」    | l ! || | | /  /   /___./  //  /
.\ ¨''、         ヽ、,_          || !| |  // ̄ ̄       /  //  /
    ヽ、    _,、―--、,__)         ! | || .|  //__   __ /  //  /
  \\.ヽ  /      ヽ\\      || || |  /    /   / / /._M//_M/
    \ | .f         }        ! | || | /    /   / /   /
      し|  _      ノ  \\   | |  !  !    /   / /   /
       .ゝ_____,、-'´      .\  !   !    ./   / /   /
       \\    ¨¨・・,\\    |   | /  /μM/ /   / _ _ _
        \   \   ;,       . し'/      ./μM/ / // // /
                      。     て_         ./M//M// /
                           て                / /
                          ~               /M/


吉原大門を3人が潜ると、わき道から男が飛び出してきて、やる夫を吹っ飛ばした。
どちらもはでに転んではいるが、ぶちかましをかけた男の方が体をうずくまらせて痛がっていた。



202 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:19:06.60 ID:l3fCdNoo

                   _____
                ,.' ´ 。    ̄``ヽ、
               /   ,.--、      トヽ、
              ,!   (:/::;;;)      `i `、
               !.   `ー'       `i |
                 イr-─-、   r‐─-、 ヾl  !
               |i;;;;;::::::::ノr、 i;;;;;;:::::::;!  ,! /     「大丈夫か、利休(リキュール)!?」
                  !`ー‐'´ `´ ``ー'´ ,/,.ソ、
              ヽュ、 ,r;´;;`ヽ、 'ュ=ニ二ュ-ヾ`,ヽ‐-、
             ,r-‐'ィi|(;;i゙いヽ,!. ( ,i  |  ,!_,レ'´   `ヽ、
           ,r'´,ヽ、ヾ=ヾヽ、;;;;ィ'  ,ゞ'ー┴'´ /¨`゙`ヽ、 /,.ゝヽ、
   ,..-──-,ィ'´¨ ̄`¨/: : : `ー‐─‐'´: : : : :/     /,/     `ヽ
 ,r'´     //i    (: : : : : : : : : : : : : :/¨``ヽ、 / ,r;/     
,イ ,r-‐-、_/;;;/ヽ、  ,.'`゙ー─────'´     ,.'´ ./;;/ ̄`ー 、 
/´     /;;;/   ゞ´              ,.、-'   ./;;/       ソ
;i     /;/((p)  `ー‐一y─‐─‐─‐─‐'´ ,...-─ソ;/     ,!
;;l   ,r'´    o     /         /     i;/      /




             _,,.、-‐─‐‐-、.
           //::i   i:`ヽ、\ジタバタ
          / ./::::::::::l   l:::::::::::ヽヽ
           l / ::::::::::::}-‐-{、:::::::::::ヾi
           ,l ,l:::::::;;;;;;/ ゚ ゚ ゚ l;;;;;;:::::::::ノ l
         i|`゙;} ̄__    _  `|´ |
            ! ,l i´:://)   i´:::/`i | ,!
            〉fソ、`ー‐' i⌒i ゙ー‐' ,/ソ`ー'´`、
ジタバタ  _.,、イ::::|;;!;;ゞ , 、.'二' , 、 ,f::::|::ヽ、ヽ!::ヾ`ー‐-、    「痛てえよぉ!こりゃ内臓もやられちまったよぉ!」
  ,、-─'゙´::::i:::::::::ヾ;;;| i;;ソ ・ .・ヾ;;!  !::::::l::::ヽ::::::::iー─-f ゙:、
、イ、:::::::::\::::ヽ、.::::::`''! ゙  ・ .・  ゙ /::::::,!::::::::i::::::::|   |  ヽ、
   ヽ、::::::::ヾ、::::::::::::::::::\  ・ ・  ,ィ'::::::/::::::::::|::::::::!   |  ー゙:、
ヽ、-一\:::::::::ヽ::::::::::::::ヾ、``ー-‐'":::::::/.:::::::::::,':::::::,'   ,!  ー‐-゙:、





203 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:19:39.21 ID:l3fCdNoo

                 r‐‐==彡
               / ̄ ̄\__彡
          /::.::.::.::.::!\::\`ヽ/ ̄`ヽ
       / ̄}::.::.::.::.::.::.|::.::.\::.::/::./|::.::.::|
         {::.::.:/::.::.::.::.::.::.::!::.::.::.::∨::./::.::|::.::.::|
       \/::./::.::.:::.!::.::レ'^V^VV^VV|::.::.::|  おや?
.        /::./::!::.::.::.|::./           |::.::.::|
       /::./}::.l::.::.:/レ' ̄\  / ̄ .ト、\\             ,. ̄ ̄ ̄ ̄`' 、
.      ///::/|::.:/弌它jヽ、 k它jラ l::.:\\\        ../   ,. '  ̄ ̄ ̄`' 、\
.      / ////  `¨¨´  | `¨´ |::.: /|::.:}::.:}    .   /   ./     人    ' '.
       / /| {_        |    j/ レ'∨        '   /        廴}    '. ',
         /\_l      、 」   ./            |   ' ,. -―-    __ l |
          |::.::.::.|.|   、__  /             |  l  .. --=ミ        | l
  / ̄ ̄`77┴-、:.| \.    ー  /____         /ニ| ',ニ{ ::::し       /:て`v './
  L___ |_j      ̄`ー┬┬-、___/───-、`ヽ       | /. | 殳ク      殳ク 7 |  どーしたぁ?
   |     ̄`ー-、__.    L_j    `丁丁 ̄ ̄ ̄}\     ∨/. l   `      ,  ̄` / l '.
   |         `ヽ        | |    /  `  、__/ムl  ト        _     /l ト.\
  | ̄ ̄ ̄`ー‐--、___             |__j  /{      `ー‐―‐フl .l./\     '‐’  / l !
  |___/7      `ヽ 「¨l         /`ヽ` ー――‐'r―ヘ .|===、> ..  イ    ∨
/      ̄ ̄`ーx‐--、___| |     -‐…'´  /\ `ー―‐ク| ___  \/_
            \ \ ̄`ー-、________/   \ニ二/: : : : : : : \  \ヽ
             \ \       /  /      \ /: : ;. < ̄¨\: \  | |
              \ \.     /  /        


騒ぎを聞きつけて、人が集まってくる。



204 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:20:24.04 ID:l3fCdNoo

        、‐-、  _
      __....ヽ `´ ∠
    ∠         \
   /     /|/1     ヾ
    lイ  /|/   .|/|/レ   ヾ
     |/レ|芒。〉 芒。テ| n .|
      l / 、   .|.|リ |   (二人……五人……九人……)
       l `----  .||´ハ
      __l ≡ / |/  |‐- ..__
_.. -‐ '' " /ヽ_/   |  |
        /  |     ノ  .|




                / //ヽ、  |i ノ `ヽ, 、ヾ ヽ、
                 / //_,.ヽ |レ'ー─-、 ;:、 --, \
               l  `_,,.,r======;;:、ヾ,、ヲィ’ l !
               |i ,イ;;r´-、,,_  _,.、;=‐-ヾ;;;l_」=,〉,| l
                  ! |;;;;;l  tワト、 `ヾヲノ   !;;;l丿,/ lj
              ,.ゝl;;;;;;}、   ,ゞ     /;/ ,/ i/
             /   i、;;;;;l   (、_,,   /;//7 .7 |   「おい、オマエさん方、この男を
              〈    ..,;iヾ;;i  __,   i;;il  / / ,/    柄棕櫚組(つかしゅろぐみ)の者と知っての狼藉か?」
              ヾ、 ::(::h|;;;ヽ `ー‐´  ,ゞi  ==ノ
              \il l|,>彡ゞ  ̄ .ヽソ´ト--イ´、__
                il l|《レ':`ヽ---‐'´ミ、/: : :/:ソ./;;;;;lヽ、_
       ,.、 、、,,__,._,.-ー-、i| l|ヾ一、;,;,;,;,;,;,;,;,、',ノ: : :/: :i/;;;;;;;;lヾi`''=ヽ、
    _、イソ: : : : :/,シニ゙フ'`リ/!゙: : :、ミ、: : : : ::ソ :/:/ー─--i ン一: :
   /: : : : : : : i:./ `¨¨´__,ィソ、':,`t:、: : : /: :/:/ //: : :/ |l: : : : : :
 ,ィ'ス: : : : : i|: :u/    `ー'´ `ヾ、;,;,;,;,;,;,;、ュィ"´    ̄ ̄  |i :/:,/: :


どうやらこの涼やかな伊達男がこの一団の頭目らしかった。



205 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:21:12.19 ID:l3fCdNoo

      -、ー- 、
   _. -─-ゝ  Y ⌒,.Z.._
    ,.>          <`
  ∠.._        ,     ヽ
.  /    , ,ィ ,ハ ト、    l
  /イ /   /l/‐K  ゝlへトi  |
   レ'レf Y|==;=  =;==|f^!l
.     !6|| ` ̄ "||`  ̄´ ||6|!    
      ゙yl、   、|レ   |y'    「旗本奴(はたもとやっこ)か」
     _,,ハ.ト.` ̄ ̄ ̄´ ,イ/\_
    ̄:::;':::::゙! \.  ̄ / |'::::::::|::: ̄
  :::::::::l:::::::::l  \/   !::::::::::|:::::::::
  ::::::::l:/ヽ:ヽ__    __/:/\:|::::::::
  :::::::‘:::::::::::o:ヽ`  ´/::::::::┌──┐
  :::::::::::::::::::::::::::ヽー/::::::::::: l:::::::::::::::l


旗本奴とは、旗本の次男、三男の若者が集まって管を巻いている愚連隊のようなものだった。
江戸ではこういった旗本奴がいくつも組織されており、庶民たちから恐れられていた存在だった。
中でも柄棕櫚組は、荒くれで通っていた。

棕櫚(しゅろ)とは刀を握る柄をさらしで巻いたもので、血で手を滑らなくするためであった。



206 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:22:14.90 ID:l3fCdNoo

         ,.‐''''''''' '' " `ヽァノ_ノi
         / r'⌒j       <
        f´彡 ノノノ j ハノjノ)イ ヽ
        r'´::¨:: f`''‐'´    ''´l:: f´
      r'´:::::::::/::‥-、    _ j:::リ  
      レ'´/ヽi:::::::cテヽ r ri'´ 八} 
       {、{ Nヽ:  ̄  i ¨ j /  
       J:::ヽ-、::    、 !;  /  (さぁて、どうでるかな?)
       イ:::::| :ト:::: 、、___  /   
       ヽ乍ヽ\ `' ='´ /    
   _.. ァ '' "i'´\  \_  /|ヽ--、、、、
, ‐'´  /::::::::::|ヽ  `''‥ー-¨‐'  ノ   )





207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 20:22:36.48 ID:ocHnVZgo
ああ、この話好きなんだ~うふっ


208 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:23:05.41 ID:l3fCdNoo
<とある居酒屋>

                 .|     ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ
                 .|    ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄
                 .|   ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ
                 .|  @==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==
   ┌────┐     |      |             ┌─────────┐
   |  ∧w∧....│     |      |    ┌──┐ │  居酒屋  〈戯湖〉  |
   | (,, ゚Д゚) .|     |      |    │  蠎│ └─────────┘
   |  /   |   |     |      |    │上  │  :========:.:========:  ┏┓
   | 居酒屋 ....│     |      |    │  蛇│  |i.     l||i.     l|  (三三)
   |  戯湖⇒..|     |      |    │等  │  |i.     l||i.     l| .(三三三)
   └────┘     |      |    └──┘  |i_____l||i_____l| .(三三三)
.                 |    /|              |┬┬┬┬||┬┬┬┬|  (三三)
.                 |  /  |              |┼┼┼┼||┼┼┼┼|  ┗┛
__________|/    |_________________|┼┼┼┼||┼┼┼┼|_______





209 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:23:41.72 ID:l3fCdNoo

先日のことである。
ひとりで飲んでいると、町人を連れた若い侍が声をかけてきた。

 ,i゙      〈K)  _,、-''"´     ゙ヽ、
 |ー~ヽ、 _,、 ,,、-'" , ,; j'ト、 ヾ;.i ヾ;)
 ゙ト、__,ニ-ァ"/ ,イ,ク グハハNハ リ i, ソ
 /';';';';' ,ノ,ノノイ∠幺ダ 'ェェ=キレ|l;, ;レ゙
 | ;;;'' ='イ ''"'〒テ~`'  .i 'Tフ` ,!''ソ  
 ヽ、 ;;''イ   `¨´     !:    | ト 
  ネ ;;''  ヒ      , _. 〉   ,|イ,リ     「旗本の水野様とお見受けしました」
   |   ;;い           ,i゙,ナ゙  
   ヾミ   iト、   ー''二 ̄ ./ツ     
    )ぃ,l リ ヽ、       /ト-:、
   ,, -'^;;ゝ|ヽ  `''ー、___,,ノ_」'''ァ ゙i,
  .|.n '';;;〈 >'"~>''"ニ=F".:::::,ノ'!:!_
_,、-| |:゙i, ;;l゙Y゙ r'ア{  . |,ィ'|.|:::::::l;_ノ:::::::::`ー




    {;:;:;:;:;;:;;:;:ゞ二:::.......::::/::/;/;/;:;.,イ;:/リ.........:}
   、J;:;:;:;:;;:;;:;に三彡シノノ/ノ/ノ/jンオ...リij
    フ;:;:;:;:;;:;;:;;ク       '´      ゙i,,ノイ
   (/;:;:;:;:;;:イイ:::::::::::::         ,.、‐ }£リ
    ゙i;:;:;:;:;彡|::::::::_,..--.、_,ィ:  r:≦_  f了
     レf⌒豸::::::'´ r'〔テ,>:ンヽ i'KEヲィ’ |l
     {シ{f く::::、::::   ̄   .. ゙i,:    |i  
     ゞ゙i、 ゙i:::ヽ;:..     :::?〕   ,i     「あん?」
      ヽ;ヽリ、::::゙i:::    └=:7'´   ,i   
       jノ:;:ハ:、:::::::::  .._,.....?  ,ii 
       {(;:;{/゙i゙、::::::: ?   ー ''   i'¬;
        `ヾi`''‐\:::        ,i'ン: |
        , .‐{: : : : :`'-、: : .    i': / カ-/`'‐-.、_
     ,..‐'´  /ヽ、: :ー-ー `'‐-…'´/ : ./: ./ : : : : : : : :`''‐-、


水野出雲守成貞は、備後福山10万石の大名である水野日向守勝成の三男であった。
水野家は徳川家康の母親の実家である。
したがって、徳川家とは縁戚にあたる名家であった。

また、成貞は非常に美男だといわれている。
阿波徳島の蜂須賀家の姫に見初められて、押しかけ花嫁同然に輿入れをされた話もある。



210 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:24:40.74 ID:l3fCdNoo

若年のわりには随分と落ち着いた雰囲気を持ち、身につけているものもえらく気品を感じさせる。
名前をたずねても本名を名乗らなかった。


           {,   /   i l   Ww `ヽ.   i
          ├ー'´ 卅从jUハヽヾ、彡      !
            (!人rrニ=  ィ=ニゝヽヽ     }
           J i '工j_    工T~  )ノ  li;, ト 
           fi  i          彳  リ ハ.} 
            L i   〈 、       iWjj!'  /   「捨丸とお呼び下さい」
             ヽl   _ .,,,,,_     /   r'´
                八   =    人从 リリ   
                \     / /  Y'´ _  
               _>i… '´ r┬'' ̄ ̄ |  
             f干  __.」_,,,,,....,_| |  _   ヽ_
             | ヽ「/,イ /  fノ  | |└=  /  ̄`''ー-、__
         ,,,,,,,-‐'|  | | Nノ   {!  |_二.‐'
    _,,,.―''''"    !   |└ーー'''' ̄


            【捨丸 (本名:酒井忠朝)】



211 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:25:05.05 ID:l3fCdNoo

話を聞くと、江戸と外様大名との間で抗争が起こりそうなのだと言う。
その原因を突き止め、被害が出ないうちに争いを止めるのを手伝って欲しいそうな。


         ,.‐''''''''' '' " `ヽァノ_ノi
         / r'⌒j       <
        f´彡 ノノノ j ハノjノ)イ ヽ
        r'´::¨:: f`''‐'´    ''´l:: f´
      r'´:::::::::/::‥-、    _ j:::リ 
      レ'´/ヽi:::::::cテヽ r ri'´ 八} 「馬鹿も休み休みいえ。
       {、{ Nヽ:  ̄  i ¨ j /
       J:::ヽ-、::    、 !;  /   なんでこの水野様がそんな正義の味方気取りをしなきゃならねぇんだ」
       イ:::::| :ト:::: 、、___  /   
       ヽ乍ヽ\ `' ='´ /    
   _.. ァ '' "i'´\  \_  /|ヽ--、、、、
, ‐'´  /::::::::::|ヽ  `''‥ー-¨‐'  ノ   ) 





212 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:25:38.49 ID:l3fCdNoo

                      _,,,..._ fレケ冖'''…- 、    
                      亥ラ゙' `' _,.._ ミャ、 ゝ、 
                      f'´        ``丶   ⌒ヽ 
       _,..-…=ー-ー''⌒``丶、f´レ彡 イ               \
      /   ィ卅jjv      {/ / { |.|  f i   ヽ、--ァ     }り
    /   wjjj从 jjj.      }  ! ゝ ゝ ヽ. l |゙i ヽ、二≧    ル{
   /  j彡ィリ     iii!!ll、、   八|     \!ゝ{ゝ\二ニ=    iト    「はっ、公儀と喧嘩。大いに結構。
   /シ ィjj'          jjj川 从!⌒ゝ        ゝ、_ヽ二≡  !j      傍から観ている分には楽しめそうだな」
 ノ,' 从f i     i、 ゝ、       } ^n、  、r=ー-、    {ー'''´  川リ
 イ     { い ゙i ゙i、\ ト、\ヽ   |. 亠l   ;' 〒iヽ     |ヽ、  从- 、
  {|     !从ゝ!ゝ!ゝ__i.L_-_.、 ゝ  !  ノ    ~ ^     レ'´^} 八V  \  「……」
.  i!   jル'-=z、  ;;゙'¨ィ'''iq   jハゞ, い         ノ Jノ ノ  从   〉
  从V `、 'こ{9ヽ    ¨´  イ  ハ `'       / ,くノヘ、iノく   丿
     \ヽ     |        {i ルハ `''''━     ' /  i  jノ  \/  「だが、そんなもんに首を突っ込むなんざ、野暮天ってもんだ」
     /ハ`、    !、?     ∧   ! `¨     /  i /    /
  ,ィ'"〔  /癶ヽ   _,,, ...、    /ハル从_    _、<   /     /
r'´/ ./ 八_,.‐'´\   ー '   / /   ji ̄ ¨ ´  ` ー-<_ _,. ‐'´
  { | j     / |\     / /    /j           ` ー- 、 _,..





213 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:26:10.53 ID:l3fCdNoo

     f;:;:;:;:;:;.:.:................... . .. .. .. .. .. .. .  ヌ
    ,イ;:;:;:;:;;:;ゞ、_ ............... :;: .:;:.:;: .. :;:.. :;:.. )ヽ,
    {;:;:;:;:;;:;;:;:ゞ二:::.......::::/::/;/;/;:;.,イ;:/リ.........:}
   、J;:;:;:;:;;:;;:;に三彡シノノ/ノ/ノ/jンオ...リij
    フ;:;:;:;:;;:;;:;;ク       '´      ゙i,,ノイ
   (/;:;:;:;:;;:イイ:::::::::::::         ,.、‐ }£リ
    ゙i;:;:;:;:;彡|::::::::_,..--.、_,ィ:  r:≦_  f了
     レf⌒豸::::::'´ r'〔テ,>:ンヽ i'KEヲィ’ |l
     {シ{f く::::、::::   ̄   .. ゙i,:    |i  
     ゞ゙i、 ゙i:::ヽ;:..     :::?〕   ,i     「坊やは協力しろというが、
      ヽ;ヽリ、::::゙i:::    └=:7'´   ,i      俺は誰の言うことなんざ、聞く耳もたねぇぜ。
       jノ:;:ハ:、:::::::::  .._,.....?  ,ii 
       {(;:;{/゙i゙、::::::: ?   ー ''   i'¬;     じゃあな」
        `ヾi`''‐\:::        ,i'ン: |
        , .‐{: : : : :`'-、: : .    i': / カ-/`'‐-.、_
     ,..‐'´  /ヽ、: :ー-ー `'‐-…'´/ : ./: ./ : : : : : : : :`''‐-、


そう啖呵をきると、銭を置いて店から出てしまった。



214 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:26:36.54 ID:l3fCdNoo


                  /                      ゙i     「ふぅ……」
                 ./          _.、ニ-─''''''"""""""''''ー-<
                 ,:゙        _、-''"        ミ、、     ヽ,    
                 |     ,、-"  、、、、 . .  、    ミヾヾヾ    ゙;
                 ゙:、  ,/    `ミ`ミ`ミ`ミミ、ミ、ミ、ヾミ、       i   「よろしかったのですか?」
                 y゙`'',゙ 、゙:, :、':, ゝ、ゝ、`  `ミ`ミミ``   、ミ:、   |
                 ;| ,':,ト、i、、ミ`;、_ミ=-ミモ=-        ミミミミミヾ L
                .ゞゞ、;';t_'ニ-;;''"` `ゞ:、`:`、、、....  、、``  `ミヾ゙i
            _ __     `':、 '゙ヽ ,ィ::  ..   ),、`ヾミヾ、ヾミ     ヾリ   「しかたありません。
          ,-''"::::::::::::`:ヽ.   ノ  ';"   : .ノ'"ノ;':,  `ミミ`       (..   一筋縄ではいかない人物と聞いています。
        r'´:::::::::::::::::::::::::::::ヽ: /       :  ''"l i ';:,、      、 、 )   それに、あの彦左衛門どののご紹介ですし……」
       f´;;;/⌒ヽ、,,  _,.、:',/ _...     :   ゙い ゙; ':;,   _ ヽ、 ヾ; 从
       {;;;;;;};;;;;:::::::::::::::::::::::::::i::}`¨`i;"     :   ゞ、ヽト:、,_ミーミ、ヽ,、:゙┴
       {;;;;;;{;;;_:_:::::::::::::::::__:::::|f  `T_"..   :  / `゙ト _,、-::'"´...:::::::::
       f´V;;;;=ェiヽ::::rfirァ:`!    :」    .: /  _,、-゙''":::::::::::::::::::::::::::
       ゙、;;;;;;;;;::::::::::::::::::::|j     ゙i、_,、:=チ:-'''"     ,、:::::::::::::::::::::::
       >;;;;;;::::::::丶-`:::::∧      :_コ-'"´ト、   <+''"」゙;' ::::::::::::::;;:::
      ハ {;;;;;::::<三ヨ::::| !、    .:「 ,ィ''"~| :゙:、  ゙-‐''"  ,、-''":::::
   , -''"  \\;;:::::::::::::::::/ / \   .:|∨i゙ f'゙j ::::゙:、    _、-'" ..::::::::::
-''"       \`…-ー'´/    `ヽ |/゙;|  レ1 ::::::゙:、 ,、-'"


        【町人 一心太助】



215 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:27:10.46 ID:l3fCdNoo

:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. .. .
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : . .
  __ :. :. :. :. :. :. :. :. :. : ./,,;;;;/ ,,,...
 ̄| |  : : : : : : : : :. ./,,,;;;/  册册
ノソ册ゝ : . : . : . : . ./___/  _,. 册册
卅ソイ川ト          / /| _,.-r'| | 册册    店を出た水野は、帰路とは逆の方向へと歩んでいった。
勿ト卅川li       ./ / ,..| | | | | | 册册
仆仆仆仆、     ./'~T.,./|川 j_l,.r-'¨ 卅卅i_,.
ノソiイヾノ l     /,.T¨il i l l l川__,,... -‐ ¬¨
lll/;/トクl ',,    ,l:lj|川_'¨三.ノ____,,,,,.....................
l/,/ノ' ト|_,.i__l j|:il|‐/jlllllllllll/|
;;/ll| ノ|'-'======'-i,jl| jj| ロコ   | ロコヨ ∠二∠ 」   先ほどの言葉とは裏腹に、
/llll|ll'"三三三三三 ' -f,  .i田l|     |目田|     その公儀とことを構える連中というのが気になったからだ。
lllllll|二二二二二二二二' -|.,_.j|     |l.l.l l.l.|
llllli!⌒i-------------------' - .,_  j! ニ二|
llllll!  |-------------------------'' - .,_j|
llllll!  |\_____________________________________________¬
二l!,,;;;|彡




                               (:;:〃::;;;)
        g _,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,:;::;;(:;〃:;;::〃:;;″
      ,ノ,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;丿:;〃:;;::〃:;;″''',
  ,,,,,,,,,,,,ノ゙,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;:;(:;:;;::〃:;;″,);::〃
 ,',',',',ノlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll:;(:;〃:;;::〃:;;″ :;;::〃
  ̄ ̄ ̄l:   ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,ヾ:〃:;;:〃:;;;:〃:;;)
       |  丿,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,丿il″.゙:;ソ'l:;;::〃,:;;;:〃:;;)
       |     .l|l     l:〃:;):;     l  ⌒     |    |ヽヽ
 ,,,,,,,,,,,,,,,,|゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚l|l''''''''''''''''''l :〃 ;),,    l゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚|゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚| ;丿:;〃
   l:l'''l |:::::::::::::::::l|l | ̄| _ l:;:〃:;;). .   |::::::::::::::::::::::|::::::::l| ̄l|: ,:.;,丿;;;:〃:;;)
   l:l,,,l |:::::::::::::::::l|l |_|:| : |:l: /~~゙ヽ'    |::::::::::::::::::::::|::::::::l|κl| ”ー、,,,,,_
   l:l,,,l |:::::::::::::::::l|l   :  ::.l: ヽ;;:;丿,,,,-' |::::::::::::::::::::::|::::::::l|ξl|.,l:    `゚‐
   """"|:::::::::::::::::l|l ._,,,,,,,,,,,,、lr''''''゙゙゙~    |::::::::::::::::::::::|:::;;;,.l|πl|゙`  ,'''゙゚゙"ヽ
  .llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll,!'''゙゚゙"ヾl|  l| *i,,,'l_ :;:;::゙:;
  : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .'l_ :;:;::゙:;|l" ̄:;:ヽ  `─"'
                             `─"' ヽ_,,丿


目の前は、老中の松平伊豆守屋敷である。
着いた途端に思わず足を止めてしまった。



216 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:27:42.15 ID:l3fCdNoo


     .●●●●●●●●●●●●●●●  
     .●●●●●●●●●●●●●●●     
 ●● ┏━━╋━╋━━━━━━━━━┓ ●● 
 ●● ┃                    .┃ ●●  
 ●● ┃                    .┃ ●●  
 ●● ┃                    .┃ ●●   
 ●● ┃                    .┃ ●●     
 ●● ┃                    .┃ ●●   
 ●● ┃                    .┃ ●●    
 ●● ┃                    .┃ ●●  
 ●● ┃                    .┃ ●●   
 ●● ┃                    .┃ ●●    
 ●● ┃                    .┃ ●●   
 ●● ┃                    .┃ ●●  
 ●● ┃                    .┃ ●●   
 ●● ┃                    .┃ ●●  
 ●● ┗━━━━╋━━━╋━━━━━┛ ●●
     ●●●●●       ●●●●●●
     ●●●●●       ●●●●●
     ●●●●●       ●●●●●。


百人を越える僧侶の一団が、塀をぐるりと取り囲んでおり、屋敷に向かって念仏を唱えているのである。



217 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:28:57.62 ID:l3fCdNoo

やがて、伊豆守の家臣たちと格闘が起こった。
捨丸と名乗る男からの話だと、僧侶の一団は鍋島家の浪人たちとのことだった。


               __,,..-‐≪´    _,.z─        \  ';,   j|
               ̄~ _,>-‐'"     ̄`'              ;,  ./ |
             -='''"´_,...   _,..-‐                 i ./ j
              `ヽ、~`''    ̄~`                l/ ./
              、弋ヾ    _,.              ヾ、i!|l ! /
               ヽ、-z''"´<,-─z,               `'  ,ヘ
              へ─->''"´≪   ,    _,.-‐'"        ミ,ヘ
              ,/ヽ、 77"/ _>-‐''"_,.. -"´∠_,....          i ヘ ';
             /: : : : ヽi l!. ,'i、 ̄ヽ,.フ   _,,...--,-‐'´ ,      j∧ .l
           _,...イ: : : : : : :l .i l ヾ、∠.、''"´  /  ,..;'7 /   / ljヽ、l |
   ,r-v⌒''ー'''"´   l: : : / : : 〉、i l  ヽ・' 、';,   / _,-‐" ///  /  / : : : 1、
  f .i .i  j-f  i  __,..l: : :i: :/: : ヾ    `゙''  -‐ ''"∠二/_,../ /j! ./::|: : : : : :\
  l!_{_,{ニ<,ノ 、/ ̄  ヽ::/ : : : : : l i      :::::/ `''- ’-'// ノ ./: : i: : : : : : : :`-..,_
      " ̄     ./: : : : : : : : i,ト、     :::/      ./,-'"´j/ :/'": : : : : : : : : : ` ゙ '
             /: :_,.-f-へ : : lヘ';,+ 、,.._  ::/     /: : : : : : /.-''"´: : : : : : : :_,-: :─
          //´ .  | : : ヽ : |:ヘ`''ー--l_/--.- /: : : : : : /-: 、: : : : : : ,-"´: : : : : :
                l! : : : :〉: l ヘ r==-  ,./: : : : : : : / : : : : : :`゙'', ' : : : : : : : : ::::::
               i| : : /: : ヘ  ヽ   ,.ヘ´: : : : : : : : :/: : : : : : : : ,;": : : : : : : : : : : :::
                 ゙, : :ヽ: : : ヘ  ヽ"´1: ゙、: : : : : : : /: : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : :::::
                 '、: : :`ヽ、 ヘ    ,.l: : '、: : : : : :/: : : : : : : : / : : : : : : : : : : : : : : :
                  ヽ、: : : `ヾ、,-"´ i/:ヽ、: : /: : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : :::
                    ヽ、: : : : ';,: : : : : : : /ヽ:/ : : : : : : : : l: : : : : : : : :: : : : : : : : ::


それらは恐ろしいほど喧嘩に慣れた者たちだった。
武芸を修練したはずの伊豆守の家来たちを、鎧袖一触(がいしゅういっしょく)してしまう。
赤子の手をひねるものの如く、片付けていった。


         ,.‐''''''''' '' " `ヽァノ_ノi
         / r'⌒j       <
        f´彡 ノノノ j ハノjノ)イ ヽ
        r'´::¨:: f`''‐'´    ''´l:: f´
      r'´:::::::::/::‥-、    _ j:::リ 
      レ'´/ヽi:::::::cテヽ r ri'´ 八} 
       {、{ Nヽ:  ̄  i ¨ j /
       J:::ヽ-、::    、 !;  /   「なるほど、あれが鍋島か……」
       イ:::::| :ト:::: 、、___  /   
       ヽ乍ヽ\ `' ='´ /    
   _.. ァ '' "i'´\  \_  /|ヽ--、、、、
, ‐'´  /::::::::::|ヽ  `''‥ー-¨‐'  ノ   ) 


自然と鍋島の浪人たちに興味がわいてきた。



218 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:29:51.75 ID:l3fCdNoo


            _─-、 -‐;z.__
        > ` " ゙  <
       / " " " " ゙ ゙ ゙ ゙\
         l " " ", ,ィ バ i ゙、 ゙、ヾ
         | " "ノlノメ、 |ノjムヘ. N
        ! r,コ| =。=  ,。==ハリ
        | |ヒ.j|   ̄ r_ \7
       j `ァヘ  ──‐:7′
.     _/∨ :::\  ̄ 人
  -‐'''"´ |.  ヽ.  ::::`:.イ  |`''‐- 、.._
        |   \  :::/  |     .ハ
.        |   ,ヘ 〉  |へ. |     l. l
        l_/  ゚〈ー‐'|   ヽ!   │ |
           |::::::|   「 ̄ ̄| |   |


水野は自分の柄棕櫚組を使って、浪人たちの棟梁らしき人物の動きを探った。
そして今日、吉原へ向かうことを察知した。
水野は荒くれ者を率いて先回りをし、自分からちょっかいをかけてみることにした。



219 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:30:47.45 ID:l3fCdNoo

                / //ヽ、  |i ノ `ヽ, 、ヾ ヽ、
                 / //_,.ヽ |レ'ー─-、 ;:、 --, \
               l  `_,,.,r======;;:、ヾ,、ヲィ’ l !
               |i ,イ;;r´-、,,_  _,.、;=‐-ヾ;;;l_」=,〉,| l
                  ! |;;;;;l  tワト、 `ヾヲノ   !;;;l丿,/ lj   「俺は旗本3000石、水野出雲守だ。
              ,.ゝl;;;;;;}、   ,ゞ     /;/ ,/ i/
             /   i、;;;;;l   (、_,,   /;//7 .7 |    わびをするなら今のうち言っておきな」
              〈    ..,;iヾ;;i  __,   i;;il  / / ,/
              ヾ、 ::(::h|;;;ヽ `ー‐´  ,ゞi  ==ノ
              \il l|,>彡ゞ  ̄ .ヽソ´ト--イ´、__
                il l|《レ':`ヽ---‐'´ミ、/: : :/:ソ./;;;;;lヽ、_




              / ̄ ̄\
            / ノ  \ \
            |  (●)(●) |
.            |  (__人__)  |
             |   ` ⌒´  |        「手前どもは佐賀鍋島家のものです。
.             |        } 
.             ヽ       ノ         手前の連れは何もしておりません。
               ,ヘ1、     /へ
        _  -イ::::::::::,ヘ  //::::::`ト-   _   そちらの方が勝手にぶつかってきたようですよ」
      /: : : : : :!::::::::::::, ヘ/ /::::::::::::/: : : : : : :\
     /: : : :i: : : : !::::::::::::::ゞ_/::::::::::::/: : : : : !: : : : \
    ./: : : : : :!: : : : ヽ::::::::::::/:::::::::::/: : r'1: : ! : : : : : :
   /: : :/: !: :!: : : : : : \/:::::::::::/: : : iz!}: : i : : : : : :
  ./: : : :!: :l: :i: : : : : : : :/:::::::::::/: : : : : |Z1: : !: : : : : :
  /: : : : :i: : V: : : : : : /::::::::/::: : : : : : :!キ!: : i : : : : : :
. /: : :/: : l: :/:: : : : :/::::::::/: : : : : : : : : :!キ!: : l: j1: i : :
/: : : :! : : l: :! : : :/::::::::/: :rュ 、: : : : : : : !キ!: : !/1: :l:/
: : : : i! : : i: :!::/::::::::/ : : ::'-<:キ 、 : : : : !キ!:: :l: { : :j1:
: : : : :i: : : !: :Y:::::::/ : : : : : : : :\キz、: : ::!キ!:: :!: :!: :リ :
: : : : :l : : :! : :∨´: : : : : : : : : : : : :\キz=,f=}rz! :i: : l: :
: : : : :l: : : !: : : '.: : : : : : : : : : : : : : : l:\}! }l__j: : : j: : :! :
: : : : :l: : : !: : : : r──-------- ‐'下zソ::::::::::::!1: : :!::





220 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:31:46.44 ID:l3fCdNoo

                  ト、ィィ´  _ _``ヽ
                  」   fr'"      ヽ
                〃´.:.: .:.:.::.        ミ、
                 ,′,ィイ:;ィイイミ;、、、,,, ヾ、,,, `ミヽ
               1:;;;リトト;;;从ト``ーヾミミ、 .:.:.:ミミ
               从;;j `''    ,z==-、`ミミ.:.:.:ミV
                fリ! '⌒ヾ '''゙rtモ    V^V;.:イ    「ほう、麦酒(びーる)、僧坊、聞いたか。
                  Vヽィでン;  ``    イ !ノシ   
                  ',   i      ,′ V;;イ     人に怪我をさせといて勝手にときたもんだ」
                    ゙、  ` ''´  ,   ,レノ:.V   
                      ゙、  ー‐'''´  //.:.:.イ
                     `ト、     ,.イ.:.:.:/.:.:V厂 ̄L
                 /  ̄1、.`ー‐'´.:.:.:.:.:.:.:.:.::i____」77ー-rzz、_
           ,z== / )/ー==イ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.に二二「「 ニニニ77``ヽ
          ,〃 ,r─'  /     〃:::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:./   ̄ ̄「.:.:.:.:.:.:.:.:.``ヾ>ヽ
        //.:.f  ー-イr─ュ   i1::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:./      i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\>
         H.:.:〈  ー-{  ̄    ヽ:::::::::::::::::::::::.:.:.:/ にニj    |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V、
         H.:.:〈  ー-{       >二ニニニフ'´         |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:V、


因縁を吹っかける気マンマンである。


            /|
         /! |    チ                  へ               / ̄ ̄ ̄
          ! ! |     ャ   ト、ト-~'''‐-‐-─-、    ヘ             / .な  め
    -──|┼|─‐-  ッ ト、」 ! !  !  l  i! !`‐'7 :             /   ぁ  ち
  /  -─┼|┼‐-、 \ ト、   !  i  l i  i //!       ,-‐-- 、    |       ゃ
./ .// ̄ ! ! |`ヽ ヽ ヽト、\!レルレノノノノ/イハト、 /イ     //`彡ヽ\   !       許
  / .      ! ! |      ト、\ヽ!          |// 7     / / /´`´\\ヽ \      せ
    r‐-、 |┴|      `ト、i i ,─-、__ 、__,-─ |ノノ7    / / /__  ___\l| |  _フ     ん
    ト-イ /^Y´\    `ミ、|Y -‐┰┐┌┰‐ァ |^! イ   | ///___,`i'____ ト、!、   ̄\ 
    |-‐!/o/´\o\    .`┤|   ̄7! f  ̄    | | ノ    | |、/  ゚ `i´゚  |/`!     `ー─
    入 /o/   \o\    | |    L | | 」    |ノ/    i||lト、  ヽ、|, - ///
   _( /\/\    入o\  ∨  、ィ???_,   レく-──ァW|\ -==',イ/ヽ、_
  (  \__)/`ァ─‐' /\/__/|\  ` ̄ ̄ ̄  /| \__/ /!  `'ー─' |人_ノ!   ̄ヽ、
  (`ー-r'ヽ /   r‐' ̄ ̄/ |   \ ____/   ト、 \ ̄`ヽ^Y^Y^!__|_____   \
  `r‐‐'     _/   /   ト、           / ∧  \   \ |├┴┬──‐'´ニ」/ノ ヽ
  /\    /        ト、\         // !       `ヽつ |(`´Y!   プト、) !


取り巻きの連中も数が不敵な笑みを浮かべている。



221 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:32:12.68 ID:l3fCdNoo

だが、水野は調子に乗って言わなくてもいいことを口にしてしまった。

         ,.‐''''''''' '' " `ヽァノ_ノi
         / r'⌒j       <
        f´彡 ノノノ j ハノjノ)イ ヽ
        r'´::¨:: f`''‐'´    ''´l:: f´
      r'´:::::::::/::‥-、    _ j:::リ 
      レ'´/ヽi:::::::cテヽ r ri'´ 八} 
       {、{ Nヽ:  ̄  i ¨ j /   「やはり鍋島の家は、上から下まで、頭を下げることのできない……」
       J:::ヽ-、::    、 !;  /  
       イ:::::| :ト:::: 、、___  /   
       ヽ乍ヽ\ `' ='´ /    
   _.. ァ '' "i'´\  \_  /|ヽ--、、、、_
, ‐'´  /::::::::::|ヽ  `''‥ー-¨‐'  ノ   )  } iTl





223 :1(修正) [saga]:2009/06/10(水) 20:33:50.34 ID:l3fCdNoo


           ○.
              ::::..  O             /
            ○ ::::::::::::..  O         /
               :::::::::::::::::... o |    //
            (⌒)  :::::::::::::::::::...  。// /
            `~´   ::::::::::::::::::::::: .。 /
                  :::::::::::::::::.:::.:  /
              r ⌒ヽ  :::::::::::::::::::::. 。二 -   シュバッ!
              ゝ __ノ   :::::::::::::::::::::: 。
                     ::::::::::::::::::::. o
             /     (⌒)   ::::::::::::::..
             /     `~´    ::::::::::.. O
            //           ○   ::::::.
           /                ○
                                               /_`゙ヽ
                                                 /   }リ    , '⌒ヽ
                                                /   〃   /     }
                     ,                        .ヘゝ、_/'  /`゙ 、_/ 
                                          /    `7′,.く    /
                                             / ヾ __ ∠ァ'  `ゞー/ /          
                              / ̄ ̄\ >、フイト、_,.イ   ` ゙ 、   ∠ ='´--ー-- 、
                               /   _ノ  \ィ1:!::jj:r'´丿 ノミ、==、  ̄´(    {   / `ヽ
                           ( ●)(●)イ::i|:;!:i::jj::レ'  ,:   ヽ `ヾヽ  `ーrェt冖-‐…-  ノ'´
                            .゙(__人__)   l 儿ム'´ ヽ      } ヽ \\___て⌒ヽ,、
 ギンッ                         |         }l{      ,kく丁ト-‐ヘ.人   >r 亠-v'  \
                      f'r{ト|ト---ri´:;ト、 ヽ        }     ィ彡iヘ.ヾ{!:.:\___`ニZ´_夊ゝ   ヽ./´
‐- = ============= ==={{ (エ|「`7灯:/|:;:::  ヽ     ノ :}/=‐ァ ヽヾ;、:.:.:.:. ̄ ̄   ヾ 、   ヽ_,>、)
                  ``={.]?!{ |;ヘノ,!::::::::{:: `ー'_,.ィ!;彳ノ′ブ   ヘヾー-、_        ヾ、
                          |l ヽ|しヘj::::::ト、__ /ヘ:!--‐'    {  》=ミー-、、     }}
                              ,ゝ-;‐=='へ.;!;X^゛ -- .:.::;:;: 〃ー'´_jF! `ヾ、   ノ′
                            ´ ヾ   ノヘ 》、    `:.:.::;:;:{jr2(¨,-丿    `¨"
                                  V⌒゙ー===:.  :.::;:;:  `


家風だな、と言い続ける最中に、やらない夫の一閃が水野の胴を払った。
剣から火花が出た。
着ている着流しが斬られると、その下に鎖帷子(くさりかたびら)が見えた。



224 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:34:18.64 ID:l3fCdNoo

水野は吐しゃ物をまき散らしながら気絶した。

       {、{ Nヽ:  ̄  i ¨ j /  
       J:::ヽ-、::    、 !;  /   ゴゥブッッ
       イ:::::| :ト:::: 、、___  /   
       ヽ乍ヽ\ ゝ'゚   ≦ 三 ゚。 ゚    \
   _.. ァ '' "i'´\  。≧       三 ==- ¨∵
, ‐'´  /::::::::::|ヽ  `''‥ -ァ,        ≧=- 。
          ゚`  イレ,、          >三  。゚ ・ ゚





225 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:34:42.13 ID:l3fCdNoo

             _,. -゙'   ゙  " ̄~゙'' - .,,                    _  /し'/
              7i         ヾ ー゙ヽ              ,r'⌒''"´  j /  /
             /  ii         i; 、ヽ            /     ,く(   {
            _ i i!            i. ゙ ,          /  ,,   ,イ l|  /
       =三/ ゙'' -'^ヽv v ヘ、ヽヾヾ i i i\i        ../ // / l l|  _」
     =三/""   , ,,_ Y!/  ヾ__!_Aリ|ノ!'!'!         ./ / / / l  lレ′
   ,=三.- "  〈   i   i=ゝ、 ,,∠=-ァYヘレ..           "′/  ヽ レ、ゝィ.__.. -‐z
  =三 ノ   !   | "~' |、 - !゚-."!|く゚-  !!メ/.              / ハ ヽ、 /     _ /
  =三(   ! ,,... ! ,,.. !  ̄i,   !|::.  /.ノ            / /  ヽ  { l  ,r''7゙// ,'
.  =|三ヾ '!.  /   |"゙  〉ー !|;― /"iヽ~゙゙^''' -        l /   ヽ-' {/ / ∠ノ
=三=ヽi - ! _/゙ー i'!  i,/ 、 ― /i  |,,__    ..     .   レ′.       ../ /,r‐r .、
     ノ">ヾ_!〈==-!|_ノi ヽ \ / !  |  ゙゙゙̄^''' ..                l / l / .ノ
       /    ''゙.---┘  |  \ッ" /  |    ..               .レ | ル/´}
                                 .                  .." / /
                                                   .  / /
杢之助が右脇にいた男の腕を斬りおとす。                      . i /
                                                 レ′




            __         三/|
         /     ̄ ̄       ///
      /  /            三///
    /  /.                三///
   /  / /               ///
  |l   l l|               ///
  |l  l  l|        ____ r~ ̄`ヽ
  l|l!   ll|       /_ノ     \( ⌒}
 .|  !  !|     (● )        \/
 |l   l  l|   ( __)           |
 ヽl|l!   ll|    |!!il|       /       おくれてやる夫が左脇の男の足を薙いだ。
   ヽ', ヽ \  _-/⌒ 、     \
   ヽ ヽ `ヽ、(__,ノ        )
    ヽ ` 、 丶、 /        /
       ヽ、 `丶./        /
        ` -





226 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:35:08.66 ID:l3fCdNoo


                     ,'  ///   /, ''
                    , ' // ''   /,, '''
                   ,,'' //    ,,'' ''
                  .,,'' //./ ̄ ̄\              .ヘヘ、
              /   ,,'' /// ヽ、. _ノ \          _,...{ヘヽ)).l
             /   ,',','/   |  (●)(●) |''ー - ┐- ー '''´ l -< rー´
          /  /   ,',','/    |  (__人__) .|   ..|     ,.ヽ、ノ
         /  /   ,.',','   /,'|   ` ⌒´  .|  _,......|.. - -ー'´
         / /l  ,,' /   /,',',',','|       }  .,´
        ./ /,', ,,''    /,',',',/,' ヽ     ノ .r {
       / //,' ,,'    , '/,'/ ヽ、       , '´. }
      ./ //,' ,''    /,','/     ` ヽ   .,. '´  .}
      / //,'',,'     ,/,''         ` ´    /
     ,,/,,,/ /      '/,ヽ   ,,, ''      ; .   /                          /
    //,,/ /      /,' ヽ,, '''i      ..::  ' ' /                         / /
    //,,/ '       /,'',,,'''''  ヽ   ........: '   /              i        / ///
   /          //''     |     , : '  ノ|              | ,  ,'  , ' / /,,'''  /
   /          /''  ,    |`''ヽ 、_,. -'´  ヽ             l| ; ,'  ,' / /,'', ' ,,, '' /
 ` 、          / ,,,/    /           ヽ - .....,,,,,__      .il| ;': ,' ,' / /,,'',,'',,''  /,''''
           //'      |                   ̄` - 、.,_i!l|l;;,,; ,.'; //,,'''/' ,,/''
           ./       |                        ヽ;/,'//,'','//  /   /
       ,,''/''         |                         ヽ,'/,'' ,/  /   ,,/'' ''
                   /        _,.. - 、.......,,,,,__         /'' ' / /''  ,,,, ,'''' '
                  /       /       ..:::::::::::::::::::::::''::::' ´    /','' ,, ,'' ''     /,
                  /        /i        :::::::::::::::::::''''' /   ,,/'' ' , ,'' '     ,,,'''/'
                 /        / |          ''''''''''/ ''   ,,''/,, ''      ,, '',, '' ''
                 l       ./ .|          ,,/    /,,''''        ,, ''
                 .l       l   |      / ,/'     /''        /
                  ヽ     ノ  /     //'     /        /
                   ` `   ´ヽ_/    / /              /''


やらない夫は後ろにいた者を逆掛けで斬った。

はじめ9人いた旗本奴は、これで4人が戦闘不能になった。
こんな馬鹿げた話はなかった。



227 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:36:05.45 ID:l3fCdNoo


                -─‐──‐-、
             /             \
            / ;        #     ヽ.
           l  U                l           はい。やる夫は犬ですお……
           |      , 、     ;    |⌒´⌒`ヽ、
           !#  _ノ" "ヽ、__  ∪         \  
            ヽ (/;;;;;)  (ー) )::  /⌒゛`       l:      犬が人間様の言葉喋るかっ!ドゴッ(蹴)>
             /ヽ∪(_人__)∪__ ,ノ|;;::    , #.   |      
             /   /` ⌒ ´     |.    |    ,   !
               /   ∪    |∪`-,,,.|"   |___,ノ   |   ……わん
           /.   /     |    |    |     ,lー─- 、
        , --‐-ー、_/∪    l ∪   ,|    |   ,/ )    )
       く / / ァ- ,ノ _   \ノ^ノ^/⌒ヽj\   /^ー-‐'
        `ー' ー´ ̄ (_)  (_(_イ_,イ、_,ィ'´__/  ̄


これは遊びである。
因縁を吹っかけて、多勢を頼んで無理強いをさせるつもりだった。
普通なら9対3で勝ち目はありえない。
詫びを入れてから、どうやって無理難題を叶えようとするかがお楽しみだった。



228 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:37:33.93 ID:l3fCdNoo


                     ,' ,ィr'"´Yl          ∧ `ヽ
                     l l |リ   リ           ( 1 ii l
                     l N1 u.      i      ! ii |
                     ',.:;l1,,、-=-、、,,_  L_,、、-=- | ii |
                      ',;;;{  -=rテュゞ ``rモェュ-   | _/
                       ハ  `` "´.::;  `` "´  u,K1 ̄`ヽ
                      い'、     .:::;;        /ハ    i
                , ----- 、  いト、    ,.ィ,, ,,ト、   ,.イ ノ    |
     _ __     /  ̄ ̄ ̄ ``ヽ ヽl    "´ `゙゙゙´ ``  イ"___   ト、
    -───`-、  〃            i.  ト、 { -‐ニニ‐- '′ ,' ̄ ̄ヽ\  i   /  ̄ ̄ `ヽ
   ´  ̄ ̄ ̄``ト、 ll.:.:.i          !. 」 ゙、   ´ ̄`    / Lz==''``|:| __|  /        ヽ
          l |.イ!.:.:l __ ___ |./:::l ヽ        , ' l:::',‘´` .|:| |::|  ||        l!
   - ───‐-l/  レ'" ,,、、_  _,,、、、 ./:::::::L.  `ー----‐'゙ /::::::',   l:| `1 「 lL, -──‐- 、リヽ
   ィニヽ_, ,ィィ i;|  |:l '`ェェ'  ェェ'^ /.::::::::::|ミヽ rr-r--ュ、 l::::::::::::::',_ //__/ | |厂z=:、 ,,ィ  1 |
    `‘ i  ‘´ .||.  |:|     .:i ._ _ノ.::::::::::::::ト、 V  ll 1  i |::::::〈 〉::.``ー-、、、、l  `‘ i‘´  .! !
     '`゙゙´___||.,、、、-‐''''"´.:::::::::::::::::::::::::::::::| V   || |   リ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.``ー-- 、、  /_ノ
   . :. :.:/.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l/   || |   |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:\
     /.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.`ー───''".:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    .:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   .:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


ところが、この佐賀武士たちは、あっさりと命のやりとりにまで発展してしまっている。
すでに残り五人。
残りのものも、ようやく刀を抜いてやる夫たちと向き合った。



229 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:38:08.77 ID:l3fCdNoo


     /i
      ||: |                                                _、‐-、, -‐z._
      ||: |                                ../ ̄ ̄\         > ` " " ′.<
      ||: |                              .. /  ヽ_   \      / " " " " ゙ ゙ ゙ ゙ \
      ||: |                              ( ●)( ●)   |        7 " " ",.",ィ バ ,゙ ゙ ヾ   
      ||: |                             , - 、 (__人__)     |       ! " " /-Kl/ Vlバ.N    
      ||: |                         ∠二_ヽヽ(,`⌒ ´     |       | "n l =。== _ ,≦ハ!     
      ||: |                        l´>,へ`lヘ {        |      .|."しl|  ̄ ,._ ∨    
      ||: |                       ,/ /:::.::|ラ, \{      ..:/⌒ヽ.    | " ゙ハ  ー--7′    
      ||: |      ____            ./  ./:.::.::.|   ヘ`ー      |    \ _--.'ニニヽ._\. ¨/      
      ||: |     /      \        /;  ヽ¨゙゛'' ―- ...、、  _______,⊥ -ー"´´     `'‐ー三`:く._  
      〔[|]〕  / ヽ、   _ノ \     ./::::::':;..  !、        ̄           ≡三  ⌒\ :_:_;>       /,ィつ
     /ソjヘ /   (●)  (●)   \   /'::;:::::::::::'::,l! \              ....._≡三三,r'   ミミ\..\     ,∠∠Z'_つ
     〔彡ヘ|      (__人__)     |  ;!  '::;::::::::::::l:.:.:....゛'''‐- ...___.... -ー \ : : : : :/    三三ン―-   / .r─-'-っ
    /⌒ヾ\     ` ⌒´     /  l.   ''::;;/\:.::.:..:.:.i!             } : : :/    .三、 r`    !、/  ):::.....\
     ヾ___ソ,,,__ ̄``"''''‐ー-─=ノハ.   |:.:..  /   \:::.:.:.:!            l: :/     /  ゙,     ゛''‐-、 \:.:\
      |   //{¨`"''''ー─-、、,,____.,,ノ   :!::::./      . \::.::゙:、.  ______、,,r'/      /: : : : : :|    :ll     ゙i   ヽ?
     弋_ソ′i           /     ゙く          \:.:.゙:  ̄  : : : : : : :/     / : : : : : : :!      l|l    ヘ
         i          l .     ` 、          \::゙:.、ー-----/     /:: : : : : : : : :|    ,r'',    | |
         ノ          i         `゙ ‐-  .,,__   _,,.>    /     /: : : : : : : : : : :l    | : :',.    !  ゙i
       /            \                ̄      /     /  ̄゛'' ―- ..._l    |: : :l   |


中央にやらない夫、その両側をやる夫と杢之助で固めて、それぞれ肩に担ぐように構える。
これは介者剣法の構えであった。
介者剣法とは、上段に振り上げた剣を己の息が続く限り斬撃を放ち続ける戦場特有の剣である。



230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 20:38:45.95 ID:f.mniHso
比喩でもなんでもなく死人だからな
既に死んでる奴らに命のやり取りも糞もないww


231 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:40:44.03 ID:l3fCdNoo


                      __
                   ,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、      (聞書11の26)
                 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、    
                /;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、    『鍋島安芸どのが、子孫に軍法を学ばないよう言われたこと。
                ,!;;;!゙`''~^~ァrr-'゙`'´''ラヘ;;;!
                |;;;|      ノリ     ミ;;;|   「戦場では、あれこれと雑念や臆病心がわいてきて、なんともならないものである。
               _ゞ;! r─-- 、  ,rェ--- 、ミ;リ
               !ヘl;|. ぐ世!゙`` ,ィ '"世ン 「ヽ   そんな分別があっては、敵を突き破ることはできない。
               !(,ヘ!   ̄'"  |:::.`  ̄  ,ドリ
               ヾ、!      !;     ,レソ    雑念をわきに置いた無分別こそが、戦場では大事だ。
                 `|      ^'='^     ム'′
                  ト、  ー- ─-:  /      兵法や理論をへたに学んでいると、あれこれと迷い決断できなくなる」
                  | \   ===   ,イl
              /iヽ, \  ;   //!ヽ、
            /::::::i  \,`ー─''゙ "´  !:::::::`:、._ そういって兵法を学ぶことを禁じられた』
        _.,.、;.::::.:'/::::::::::::i    /´;;`ヘ.    i::::::::::::ヘ;:.:::..`:..:::....、
   .,、..:.:':´::::::::::::::::/::::::::::/!   ∧;;;;;;;;;,ヘ  iヘ:::::::/::::::::::::::::::::::`:.:..、_
. /´:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ/:::::::i / ∨;;;/  \i::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:ヽ.
/::::i:::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::!   /;;;;;;'.    !::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::,':;:::i





232 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:42:09.12 ID:l3fCdNoo


    | | ::|                         _,r'´::::::::::::::::::::::::::`'、.
    | | ::|                        {::::::::rr-‐-‐'^i::::::::::::::i.
    | | ::|                         ゙l'´゙《   __,,,ゝ:::r、:::::l         (聞書11の60)
    | | ::|                         ト=r;、 ゙"rィァ‐リメ }:::::}
    | | ::|                          ゙i`"l   ̄    ソ::::ヽ        『中野神右衛門は云った。
    | | ::|                          ゙i. ゝ^   ,  /ヾヾヾ、
    | | ::|                           ヽ ゙こ´  /     ヽ、      「兵法など習うことは無益である。
    | | ::|                            ヽ、  /__,∠、    `'-、
  ー==r=t==ー                                  `゙ク'゙´   `    ゙'、 ヽ   目をふさぎ、一足たりともふみこんで
    {∠j}                                /           〉 ヽヽ  打ちこまなければ役に立たないものだ」』
    {∠j}                              ィ               ヽヽ
    {∠j}                           _,,-'´:::                 ゙i
    {∠(ヽ                            /    `                  }
   ,イ∠>i \                         /         ,-ィ‐r'´´      /   l
  {   ̄´   ヽ_                   __r'〈      ,ノ   / ```l       /     l
   {         ` ー 、        ,、 -‐ ´      ‐ '' ´  /l:::    l     ー'´      l
   ヽー‐''"´ヽ


幼少からこんな言葉を聞かされた男たちがあつかう剣とはどういうものになるか。



233 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:42:48.65 ID:l3fCdNoo


                         |  / , //
                      \__ノし// 、/
                    __)/>1ヽ(_ ',
                       ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄ ̄
              |  / ,    /⌒|「⌒\ヘ        |  / ,
           \__ノし// 、    ..|  rニニ } ´    \__ノし// 、
         __)/蜂ヽ(_ ',   ノ  ( )   \    __)/尼ヽ(_ ',
           ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄ ̄/ ,--´`--、   ヽ    ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄ ̄
           /⌒|「⌒\ / /ノ   ヽ、_\   \  /⌒|「⌒\
                  /  / (○)liil(○) ヽ     l
          |  / ,    |   /   (__人__)  }    l         |  / ,
       \__ノし// 、    |    ヽ |!!il|!|!l| / l    l      \__ノし// 、
     __)/質ヽ(_ ',    ヽ、   |ェ|  / , '´   /     __)/酸ヽ(_ ',
       ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄ ̄   \\__ノし// 、・  ,/        ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄ ̄
       /⌒|「⌒\     __)/  ヽ(_ ',  |          /⌒|「⌒\
                |  /   ̄)ヽ Qノ( ̄ ̄ ̄ |       |  / ,
            \__ノし// 、  /⌒|「⌒\    ヽ \__ノし// 、
          __)/録ヽ(_ ',/            }__)/脂ヽ(_ ',
            ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄ ̄ / ̄ |  / ,   |   ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄ ̄
            /⌒|「⌒\   \__ノし// 、   \ /⌒|「⌒\
                   | __)/誤ヽ(_ ',    )
                '   |  | ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄ ̄‐'′
                    U  ⌒|「⌒\


それは死人(しびと)の剣である。
守りのない攻撃のみの剣である。
死人が己の身を守ることなど愚かなこと。



234 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:43:31.89 ID:l3fCdNoo

: ,Li、.,‐  .,!,,-:,、  ,、 ._,,,-、、  ,,-    .,、   、 .,、 .i、
: |l゙.〃 ,,,rrヽ.,i´ .,i゙‐''"゛ ,,,/,,,,-‐'フ′  ,,-''|  |  .゙L,/.|、 .|
: |゙l .,/',i´,-、/  ,i´ `'-,,"~゙^ .,/ _,,,/"  ゙l .|!  |` .|│l゙
: | ゙l" l゙.,i´ .l゙ ,/ 'l-、_ `'-,、''゙‐''"゛│  .,、| ./l゙  ,ト | .゙ll゙
|  |{  | /` ゙l、`゙''ー、,,`-,、 /`  ,i´ |i,,,,i| /.| ./ `
`|   l.|、 | /   ゙'=,、 .゙l,,,,!-ミ'、|'i、 .,l゙‐'゙",/ |,/ レ′
: |   ヽヽ,'il゙     ゙ヽ,_ ._,,-`'i、 ゙l .,|=二"
.,,|   `''リ}       `゙゙`   ゙│|,ニ",|
"`   .,ノ ゙l             `!゙l ./      剣はすべて、相手を欲しいままに殺す。
   .,,‐`  |             ,,、i、 ゙l.゙l/
   ,i´   ゙l、       -‐l二"  ゙l l        据わった目で絶えず斬撃を振り下ろしながら前進してくる姿を想像して欲しい。
   .ヽ    ゙l          `7ッ,. ゙l l
    .ヽ   │    .'''''''''―--,,,,゙l `'-,,゙l
     ヽ、  ゙l、     .--、,,,,,,ノ
      ヽ  ゙i、         / `'-、、





235 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:44:05.17 ID:l3fCdNoo


                       , -────--、
                     /;:;:;:;:     ;:;:;:;:;:;:\
                    /;:;:;:;:         ;:;:;:;:;:ヽ、
                   /;:;:;:;:           ;:;:;:;:;:ヽ
                  /;:;:;:;:             ;:;:;:;:;ヽ
                  /;:;:;:、i!i!i!i!i!`、            ;:;:;:;::.l
             .    l __ノ' i!i!i!i!i!"ー--        ;:;:;:;:.|   それがこの時、残った五人のいだいた杢之助たちの印象である。
        .          L!0 )li!i!i!i!i!|(0 )l      ;:;:;:;:;:|
                 j`ー’i!i!i!i!i!i!i!`ー "       ;:;:;:;:;;|   彼らはまだ戦場に出た経験もない。
                 /;:;:;:  j   ;:;:;:;: ヽ、       ..;:;:;:;:;:|
                 丶、___ノ"ヽ、_____ノ,ノ'!}   ;:;:;:;:;:;:|   すっかり三人の殺気に飲まれてしまい、
                    ヽハ</Vヽ jv-,_,.ィノv'リ   ;:;:;:;:;:;:;:|   剣を構えるのがやっとだった。
                    ゝ-、} ,.´-‐ァ¬‐,,'/   ;:;:;:;:;:;:;:./
                    |l /  / ,、r7    ;:;:;:;:;:;:;:/
                    j∨   ,}ヽj/     ;:;:;:;:;:;:/
                    ハfvヘハノゝ'_,.   _____ノ |_
                    ヽr ´      厂..:..:..:..:..:..:..:.::.::.::.:: ̄
                ,. -rr:ォ  ヽ;:;:;:   ,..イ..:..:..:..:..:..:..:..:..:.::.::.::.::.::..
               j:..:..:!|::.|  丶_..ィ.:::/..:..:..:..:..:..:..:..:..:.::.::.::.::.::.::.:.
               /..:..:.:!|::.L_    |リ.:/..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:.::.::.::.::.::.::.::.:





236 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:44:46.17 ID:l3fCdNoo

三三三三三三 // / / / //丿ノヽ /ヽ\          ヽゝ
三三三三三三//ヽ/ /   l\ /ソ,ー-\ ',/      ノノヽ_ソノノ/ソゝ
三三三三三三  Xヽ/ /',  lヽ  ゙ ` __0,' /  /\_/リソr >.r;ヘ=;'~ヽ
三三三三三三ー -  、\ ヽl    ι u ',  ',ノ9 ) ヽH  ┴'r \/     
三三三三 ヾ ヽ_f:j_ソ~ /    /     ',  ヾr ι/ `ー‐' - ゝ     
三三三三     〃   ',   /       ' , -Y  / u     (~
三三三   /        ヽ /     ー  ゝ _k     /ニユ /
三三三   /  ι  ゚    \  /⌒ヽ_( ̄    ',    ヽ_/ /
三≡   /        -  ,ゝ ヽ\/       \_  /ヽ
三三   /    /`ヽ  ( ̄     ̄'、\ヽ    /    kl  \
三三  j    / ヽ \r '      ,-'  ヽヽ    /ノノ    ヽ
三   j     k   \r'   >、   (    ヽ\   //      |
三   i     \ヽ/ \ /  \_/     \\//       |
     l        ̄ヽ  \            ヽ- '
           /


この時、見物人の中から仲介の者が現れなかったら、全員まちがいなく死んでいただろう。


      |: : : : l: : :/: : : : : : :/:.:.:.:.:.:.:.:/   
      ! : : : l : /: : : : : : :/.:.:.:.:.:.:.:./    
      |: : : :l: : : : : : : : :/:.:.:.:.:.:_r┘  
     l: : : l : : : : : : : /:.:.:.」 ̄        
      !: : l: : : : : : : ;'-‐'´          
     ー'フー‐=ヲ           
      /    〈         
    _,r'´    ノ 〕                  
  ./l l, -―、_//       
 (ヽ/'´ ̄フ/´     ザッッ
  `ー==´′





237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 20:45:06.05 ID:j1CPRE2o
ノーガードだ…


238 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:45:46.20 ID:l3fCdNoo


      ./..::::             i    ヽ
     /.:::::::::::.            /     ヽ
     .i::::::::::::::        i  ./      |、
     |::::::::::::::         i .人ェュ、_    )、
    丶:::::::::::     ノ   .レ'´ /´:::::    / ヘ    
     i':::::ヽ::   ''''´ ヽ .,イ  i::::::    _  V.i
   ┌-t::::::::::::  .___ X ! /:::  _,,ィク´  .i |   
    .!ヽ:ヽ:::::/ ̄´;;;;;;;;;;;;;;;ヽ, ヽ ::::::: fエィ'´   ノノ.   
    i ヽ |:::::|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ノノi  :::::::::     ィヽヽ     「もういいじゃねぇか。どっちもヒカリモン、しまいな」
     !`゙イ、::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:::ヘ  i::_::: -‐‐<./ ヽヘ
     `ヽ(ヽ、__`>─'''´ ,r  .ゝ (. `)‐-クi ):  i:::ヘ
      .i.ヽi-‐'ヽ/ ,:::-‐'´ゝ‐-、_,,ィ'´==ッ' 〉ノ /::: iニヽ
      .| ::::i   i (ヽ、__,, -‐=ニ''´  ̄// // !::::  ./|ヾ゙\
     ,,イ、:::ヽ、 ヽ\ `゙‐`''‐--─''´/ / i/i::::  :::||>メミノ三
    i'´゙〈::ゝ::::::::`'ヽヽ::::::..  ̄` ´ ̄   ノ:::/:::  ::ノノ爻》彡
  ノ´) 《ム、:::::...  ``ヽ、:::..       /:::::!:::: /ミ矢父<
三タ〈 父メミ`ヽ::::::::..  `'-、..__,,.--‐'´ :::/:::./爻爻ノ.ノミ


年は五十路といったところ。
だが、岩石のような体躯と、風雨にさらされたような全身いたるところにある生傷。
そして隻眼が、この老人を並々ならぬ曲者と見てとることができた。



239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 20:46:59.33 ID:Ptv6pDAo
嗚呼、身震いするほど魂が震える事よ
しかし、「死ぬこと~」では単なる奴の因縁つけかと思ったらこういう裏があったとは知りませんでした。<捨丸云々


240 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:47:00.47 ID:l3fCdNoo


         / ̄ ̄\       老人が間に入ったので、やらない夫らは剣を納める。
       / ヽ、. _ノ \      
       | .(ー)(ー) .|
       |  (__人__) |
          |   ` ⌒´  |    (ちっ……刀の腰がのびちまっただろ)
        |        }
        ヽ       }
        人_____ノ"⌒ヽ    腰がのびるとは、反りが曲がって鞘に収まらなくなったことをいう。
      /           \  あまりにも硬いものを斬ると、こういう現象が起こる。
     /            へ  \





241 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:48:51.32 ID:l3fCdNoo

旗本奴たちも、内心、助かったと思いを隠しながら剣をしまう。
だが、その調子でいつもの反骨精神を表してしまい、つい口にしてしまった。

                                                          /
                                  /i ̄``'''ー--、、.._                  /
                  _           /,│        ```''''ー-、         /
             ,..- ' ´`ヽ、 `ヽ、 、     ,イ │                 ヽ     /
            r,ィ"´`゙ヽ  l =≡=ヽ,\   /l.   l ̄``'''ー--、、.._         l   /
           ,//;;;;;'     ,!     ! l; ヽ/ l   l          ``'''ー-、._  ,! /
           //;;;;,rイ ̄,二二、    _`ー/  |.  │             ゞ、l   し、島原のたかが百姓に
         //!-'´∥ i;;;;;;::::::::)   r';;;;:::,/   |  |          _,,.、-‐'" │  さんざん手篭めにされたヤツラなんぞ、
         /´  ,ソi  ヾ;;;;:::::/ r;;ヽヾ/´   │  l;;::::。、   ,,.、-‐''" i     |   大したことねぇや
         l   r' ヾ、    ̄ ,ソ;イil,'´     |  l;;;;;;;r-ー''´     l     | \
          ヽ、_/'`'  iヾ   ./   il.        |  l;;;;/          l     l   \
          ヾ、:.   l    ;;l   il      ,ゝ、 ヾ、         l     l     \
            i;:,   l    ;;l   il、_,,..-─',.-i─-、≡=三=--、、、、.!.___ ,!       \  
            l;:::..  \  ;ヽ<、_l  / / l  ! |                          \
              / ` .,,,.   \    |/;;イ;;;`ヽ、| l |
           l    |::::.:.:..: `'‐-./;;;r';;;/::ソ::| l |
      _、、、、,..;} `''ー-、,`゙ ,.‐、'´;:{;;;;;/;;;/;;;;:/::::ソ:| l !
,..- ' ´ ̄\    ヽ、    `''ー-、,::: l;;;;;;;;;;';;;:::r':::/:/  ヽ
 ̄ ``ー-、 ヽ    ``''-、`ー-、_    |;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::ヽ、,ソ
      \´       ヽ      !;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::iソ
        \       `ヽ、  、 l;;;;r≡≡、;;;;;ノ




      / ̄ ̄\
     /  u  ノ \ハッ!
     |    .u ( ●) |
.     |      (__人_)
     |      ` ⌒ノ   (いかん!?)
      |        }
      ヽ u      }
       ヽ     ノ





242 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:49:34.80 ID:l3fCdNoo


          _,,,....-::::,,..-;:'
     _, -=''""""    =--、,、`,"+`ゞ,;:
     _,.-'^ "              ̄=.、".
     -'^               \`,`,;⌒`;・",;+
   >                    ミ`+,;:;"・ヽ` `
  :"  ._=__            ヽゞ,:;*ヾ"`丶 ┼
 /  彡  .       -ミ、         ミ   `,;:"
 /〆"           \       `i       丶
                 丶      |i     +   +
                  ミ     .ミ
                  |     |l    /  +
                   .i|    |i      ´
                   .i|    |i  ゞ
                  i|    |i  ´`  +
                 j|    ,/  '  /
                 .i|   ,/;:";:|;,/×
                i|   ,/";:`, 、 丶
            \  i|  ,/`,;:ノ`,
               .j|  /;`,;:+
               / ./+``
              ././  ,'   シュバッ
            /"`;丶
           / `,
          '
       /    ゞ





244 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:50:14.53 ID:l3fCdNoo

                  _        
             ,..- ' ´`ヽ、 `ヽ、 、     
            r,ィ"´`゙ヽ  l =≡=ヽ,\  
           ,//;;;;;'     ,!     ! l; ヽ
           //;;;;,rイ ̄,二二、    _`ー
         //!-'´∥ i;;;;;;::::::::)   r';;;;:::, ヾ     口を滑らした者の首が落ちた。
         /´  ,ソi  ヾ;;;;:::::/ r;;ヽヾ;:::;;ノ 》
         l   r' ヾ、    ̄ ,ソ;イil,'´  ソ
          ヽ、_/'`'  iヾ          │
     ボト   ヾ、:.   l            
      




    |: : : ::  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:  |
    |: : : : :; :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:  l
   . \ : : : : . .(     j     )      /
      \: : :: : >ー-‐'=ー-ー<    /     「もういっぺん言ってみるお」
     /ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : イ\
     : : : : : : : : :``ー- -‐'"´      \
     : : : : . : : . : : .                \





245 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:50:46.05 ID:l3fCdNoo


。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・*。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚
    /::: i ..:: i:   i ト ヽ: :ヽ: :i: : i         /:/:::::::::::::::::::::::::::::/∠ /__/:::/:::::::l::::l:::::::::::::. '
    i/::::::!:.:::::!::ハヽ.. .ト i\k\i..: :i : :i        ノ:/:::::::/ ::::::::::∠イム∠_ //:://l::/|:l:::::::::::. l
    N::i:::!;::!:/i:!__リ\::i"彳ツハ::/  :i      <:/ ::::::/::::::::::::::l  /.ん:::ハ Y /  .l/ ナl::::::: . /
    ヽ|、iヾト弋ラ.  \  ̄ /゙": : : i      -―z:::::/::::::::∧:::l   弋c:ソ     ィ:うY 7::: /
      ヽ〉::ヽ   |      レ: : : : :i        ∠/:::::::∧ }ヽl  xxx      , ヒノ '/::?
       /:: ヘ   `_,,  //: : : !!:i         ∠ヘ:::::::\ )      ┌―‐- xx` ,∨
       i:: : : :::ヽ  ゙=" /: : : ::i::i:!         /:/:::::::::`ーヘ     l.   ∨   ノ
      i::: : : ::::::/ヽ、  _,i::i: : .://              从v:::::::| \   ヽ / . イ
      ノハ: : :::://.i ゙ '" i:!: ..::i/                 レj   > ..__.   '´
     " i: ://.   |    i:.::::/ \              __/ `く       |V
。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜゚・* 。.:.*・゜゚・*:.。..。.:.*・゜


原城で出会った人たちの顔が思い浮かぶ。



246 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:51:15.31 ID:l3fCdNoo


        ____
      /      \
    /  \ , , / \
   /  (?)  (?)  \   
   |     (__人__)    |
   \    ` ⌒ ´   /
   |          |   「四郎たちの悪口はゆるさないお」
   ||        / |
   ||       ト||
  <三三三三三三| |(_)
     ヽ  |/ レ
      >__ノ;:::......


やる夫はゆっくりと歩みを前に進める。
懲らしめではない。殺意を身にまといながら。



247 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:52:21.00 ID:l3fCdNoo



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
              一 三三/´ `i,   , / / ,. ;:;、 ゞ,.    / , i !、
                  二 三/、_ゝ l , ,..;: _.;;´ .....,,,,,__´ ! =,//,ヘ .ノ 
                =三 ヾ ,ィ i、 ,.;:"   ,i;;;;;;;;;;;;;;;;=イ ノ ノ ,.ィi"i
            一=三  `i、l 、へ、 ,..;-ヽ;;;;;;;;;;;;;;;丿ノ ヽ''"   l
             ...二三 丿`ーiニて''"ヾ ヽ``=--ィ,   ノ) , ノ
             三三 ノl;;;  (  `!, /^i , // '=-、_ ,.) ,i丿 
          三三,.;:-ー;;メ i、  `ー、_ノ   ,i´ ,.;:-=ニ=‐┐ ノ    站ッ!
      一二,三.;:‐''"´  /   ゝ    ヽ、 / .,i´!、__ ヽ_,.;! ノ ノi
  一二三.;:=‐''"´     ノ    ヽ、    `‐( 、``ー-ニ-‐'"イ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





248 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:52:43.55 ID:l3fCdNoo

             ___
           /_ノ .,;;,.  \
          / .iil(○)illi(O) \
        / U   (__人__)   \
        |    U |ii!!ii!!||     |
        \     |o0Oつ   /
        /  ヽ   |ェェェU  ‐'、         老人は滑るように動くと、やる夫の鳩尾(みぞおち)に一撃……
       /   ∩ _rヘ U ||    ズンッ!! 
       |   /_ノ U|   |  |___         
      |  / / /::、::´ ̄  ̄  =― ー
      lヽ、__./   ヽ丶=―――__       
      |        丶   ゙`゙ ̄ ̄   ̄ ̄ー      
      \                    




              __
           .-´    ``ヽ
          /  ヽー     `ヽ
         / ノ    (O )ノ ̄ ̄`ヽ、―ニ
        / (●) __)⌒/ ´`ヽ _  三,:三ー三,:
        | ::⌒(__ノ/  ノヽ--/ ̄ ,    `   ` ̄ ̄ ̄
       。ヽ 。   )(  }.  ...|  /!                アゴに二撃を加えた。
          ヽo (__ン  }、ー‐し'ゝL _
         人  ー   jr--‐‐'´}    ;ーー------
        /        ヾ---‐'ーr‐'"==




バタン  〃        〃
         , -─‐──‐-、
          /        ゚    \
       / ;  ゜      °  \
      l  U      ; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; l⌒ '"⌒ ヽ、         やる夫は意識を失って地面に倒れた。
       |;;;;;;;;;;;;;;;;;;    u.    ;   |ー       \
.      ! u. _ノ′ヽ、__   ∪           ,;   \ ,rー、
        ゝ。((-‐)  ;;;;;;;;;;;)::。 i'′⌒ ̄ ̄` ̄ ̄ ̄ヾ`ヽ ヽ
       (  ヽ'"(__人___)"'__ ,ノ ヽ、____"___,、___ソノ__ノ
  ´ ´ `゚~゜´^" ´~`゚゜`⌒ ´"´´゚^゚^ ~゜゚`´^゙^ ^´'゜´^゚´ '゚^´゙ ^ ゚゜





249 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:53:15.10 ID:l3fCdNoo

             、‐- 、 ,. -- _
          ,ゝ ̄ `  ′゙,∠.._
       /´ " " " ゙ ゙ ゙ .<`
       7 " " " " , ゙ ゙ ゙  、\
.      i " " " ゙,.ィ / \ ゙ ` ゙ \
.        | " " ,ィ/‐l/、  ,ゞト、゙ 、゙ヽl
       | r=、 l.=。==._ ,。==ゞ ゙ N
.      | {にl l ` ̄  _ \´ハN
       ,l ヾ=lノ  __ ‘ ‐  ゝ
   _./:l "./ ヽ. ?..二ニ7/         これをみた杢之助は、この老人を敵と認識し、
‐''"´:/::::::| /    \   一 /、           居合い抜きの一閃をくり出した。
::::::::: !::::::::l′     \ ,イ:::::\ 
::::::::::l::::::::::l         /:`:::l::::::::::::\
::::::::::|:::::::::::\     /:::::::::::l::::::::::::::::::\
::::::::::|::::::/\ヽ   l::ヘ::::::::l:::::::::::::::::::::ハ
::::::::::l/:::::::::::o:ト .」::-:::::\::!::::::::::::::::/::::l
:::::::::::::::::::::::::::::: l`ー'l:::::::::::::::::`:::::::::::::/::::::::l   





250 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:53:40.51 ID:l3fCdNoo


     \
      \\                          /
        \.\                      //
         \ \          |            /./
         丶\ \丶.     ||       // /
           ヽ\ \ヽ... O |│    // //
            \\ \\  。./   // //
           ヽ \\  \\ .。// .//
           〇   ヽ\      / //
        - -=二二 三           三二 ≡ = - -       信じられないことが起こった。
              o       \ \\ 。
              //    O.\\ \\ 0
            0  //  / 。//   \\ .\\
           // //  / `~´  ヾ\ \ヽ
          // // ○/  。      ヽ\.\丶
           // //                \\
          /./                    \
       //                       \
      /





251 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:54:39.61 ID:l3fCdNoo


         r勺〉
          フ| }      _
            Y´\  /´ _`ヽ
          |   ̄〉ァ r'},_ン、
           |__  `え_r仁/\
             `ヽ、ア/r -‐、  ヽ
               |::| |   ヽ   l
                |::|r}-‐   f〉 イ     死人の放った斬撃に、哀れ老人が斬られるかと思いきや、
               いノ    ノ  }      鉄扇で剣を受け止めた。
               ノ ̄   /`  ノ
             /    Yヘ、ヽ{
       rァr~‐-r'´    rイ    ヽ、    剣は真ん中から折れてはじけ飛んでしまった。
       └⌒ー-}   イ´く}      ノ}
            `フ´レ′__`〉     |
            /    ̄Yレ'⌒`ーイ
          /     ´ ̄|     |
          〈      ノl     乂{_
         |     /´人 ヽ    \
          | ヽ、   /| `ー、ヽ      \
           | ヽ\、_j  ノ    \`ヽ    \
            |   _ /      \ヽ   _\      /\ ̄ ̄\
         〉r-‐'__ {         \ヽ  / {_     \ \::::::::::::\
           }  ̄ __ノ            ̄ヽ、   〕    .. \ \::::::::::::\
        _ノ⌒`ヽ__{             ヽrク ̄l       \ \:::::::::::::\
       └一一-┘                └─┘        \ \::::::::::::\ ザクッ
                                         ¨¨¨ ゚゚゙ ゙ ゙゙゙゙


            【天地上下の構え】



252 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:55:24.46 ID:l3fCdNoo

 .\\|\\~~`、-----''''''''  ,  /./  /:::    !,\
   \| .\\ \;;;;;;;;;;;;;;''''''''''  /   /:::::::::::  ノ | \       杢之助は刀を捨てると、老人に組み付いた。
    .|\__ !..`i   ~~~~~     |  /::::::::::::::::/  `  〉-――
    |   `-`、:  '''''''''''''''''''  /// |::::::::::::/      /       年寄にしては、人の倍は幅がありそうな首まわりだった。
  ,-┤    `i   :::::::::::   ノ  / |:::::::/       /
 ./ \     |---------''~  / /:::/       /        首を締め付け、頚椎を折ろうと試みた。
イ    `- __   .\::::::::::::::::::::  / //        /
 \     `--___ `i :::::::::  /_/         /
  \       `------/~~~          /





253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 20:55:36.57 ID:Cu5No720
爺キタww
流石


254 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:55:45.54 ID:l3fCdNoo


              j,、-''~~iiiiー'~;;""""'''~''-、           ,              ,,.    ,.
         从,,从、r"iiii、、;;;;''"~'-、,, ,,、 '~~~iiiii,,.         / |   /| /|     _,,.r':/  /::|
         ,r'~ ''ヽ 、,,:::::  ,、 '"" iiii'"'''""""'iiiii       . /:::::i  /::i |:::::i  ./'''"´:::::/ ./:::::::|
    从,,、 ''' " '''"""  ヽ:::::'";;;;;;''" '|ii" ;;;;:::::::::" i|         /::::::::i  |::::! .i::::::i /::::::::::,,.//:::::::/
   ,r''"    iiii、  ,、 "~'t ;;;;::: '' iii  :::::::::  i|       i::::::::::i  i::::i i:::::::i/:::;.r''" /:::::::/
   i~ 、     ''iii"":::::::::: iii| :::::  ' ii,,,,、、、ー '' "" 't;;,..     i:::::::::i. i::::i,/i:::::/'"´ ./:::::::/
   t;;   、 ,、'ニ"サi '';;;;;;;;:  i| :::,rヽ'"~,,,,,,ヽ :::::,,,::::  t;;.   .  i:::::::::i. i:::/::::i:::/  /:::::::/
   リ、,}tii、'}iii;;;::  ii ::: ::  i :::t  `'、,,,,,,、ノ  :::;;;;::,, t;;    i:::::::::i i/:::::::i/:| /::::::::/
   i、,,''';;;;t  iiii   ii :: :  リi :: ヽ, 、、、,,  '''"";;r"::::: ヽ;;   i:::::::::"::::::::::/ |:::::::/
   t''~;t ヽ :::   ,i'ー--- '";;~~~;;;;~::'''''''''''t''"";;;;;;;;;;;;;  );  i:::::::::::::::/  i::/
   r;;; ::t::~''ー-ー''";;;;;;;;;;;;;;;;、'";;"";;;;;;;;;;;;;;;;;;''"~'ー-ー'''::::::::リ;;   i:::::::::/     i/
   i;;; | ii、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、''''''''" ;;;;;  ;;;;;;;;;;       ::::::::::j;;   i::::::::i
    i;; | i;;;~'' -―''"    ;;;;;            ii ,,iijii|;;    .i:::::::i
    i;;;; t'"" '''""             ,,,,iijji '''"iii||||""   .. i:::::::i
    t;;;;,,;;''iii}}},,;;      ,,,iii|i     ''''|||iii,,iii''"        i:::::::i
     iiiiiii } iiii、、,    iii||ii}}|_|ii,,,'''';;;;''"|||iiii''"          i::::/
     |iii |''''ii{{i 、,,iiiiijj,,,ii}}||i||||ii'i '''iiii|||'iii||||i||           i/
.     iii | ,, iiii、 ';;;; ;;;;|||||||||| i||||||||||| |||||| |;;
     |ii||||| |||j  ;;iiiii}}||||||i''  "''iiiii|||| |||||| |;;;
     |ii ||| ii''iiii ||||| ''ii||||、  i '|||| | | i||||||i;;;
     |ii ||从|||ii||||i  |||| |  || |||, ''i  ||||||;;;;
     从ヽ||}} iii|||||||iii  ''';;||i  || |||iiiiiii| i|||||i;;;;
    从,  i  ii||||||;;;; | ii ||||  |||||||||| |||||||ii;;;;;,,
    从从  :ii||:::||:|;;; | |||i;;|;;ii,, |||||||||| ||||||||i;;
   从从 ,,::::::::::''''':::i||| '';;;;;|;;;iiii ,,iii||||||||||||i ,、
   从   :::::::::: ::  :::::|::| ;;;;i;;;;::: ||||iii'' | ,,r'";;;;
  从从 ::::::    ::::::::::i ||||||''i iiiiiiiii |;;;、-',,
 ii||| i  :::::     :::: :::i| |||||i iiiii|| /'"iiiii





255 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:56:30.40 ID:l3fCdNoo

∠-'';::/ ,∠/ ./::   ::\.ヽ\ ヽ ヽ \ ヽ. \
::::r''∠- '´:∠ -ヘ::....... ,...:‐''7,ゝl‐-ヽ}   ト、 lヽ. !
:::l::::-====== _::::/:::::::::/_  ` / ,ヘ. | ヽ |. ヽ.!    老人は拳で水月をたたき上げ、
: |:::: `  ー‐=''"::´:::::::::::::/ニ´>,'/  ヽ | ヽ!  ゙l       払い腰を仕掛けて杢之助の後頭部を地面に叩きつけた。
::|:::::      ..::::::::::::::::::::::/    ハ     ヽ!
:|::::::    ...:::::::::::/::r:::::::i_:   ,'l }
|l::::::        `__:::    /               そこまでしてようやく杢之助は沈黙した。





256 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:57:17.83 ID:l3fCdNoo

              u  |
   r U  ..    |    y'
,,,,;;;;/      ヽ,,  リ  /,ヽ
    、__.....   ''     -=)}
 u  ''==-、    ,-==' )ノ
:::...      ノ    ヽ...  <
, _,        _  ノ    )      「なんて野郎だ……」
乃    ....__/ '(  'ノ'ヽ, イ'
 (ー---'    ⌒'''′/ /
  \'ー-<‐====v=イ/イ ̄'ー‐―,________....
   ヽ .ヽ=ニ二ニリ/ /\;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;
\,     'ー――‐'/;;:;;:ヽ;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;      
''\~ヽ__   ⌒ ノ|;;:;;:;;:;;:;;:\;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;
  \:.:.:.:.:.⌒フ ̄' /|;;:;;:;;:;;:;;:/;;:;;:;;:;;::;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;
     ̄ノ<:::::>ヽ/ |;;:;;:;;:;;:;'ー-i;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;


気絶しても手を離さない杢之助の指を解きながらつぶやいた。



257 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:58:08.15 ID:l3fCdNoo

:::::\:::::::::::::::::::::::::\:::::\::::ヾ::::::::::i:::::::::::::::i:::::/:::::::::::i::::::::::: /::::::::::::::::/:::::::::::::/:::::::::::::::
::::::::::::::\::::::::::\:::::::::::::::::::ヾ:::::ヾ:::::::i:::::::::i:::::::::::i:::::::::::::/:::::i:::::::/:::::::::/:::::::::::::/:::/::::
:::::::::\:::::::::::\::::::::::::\:::::ヾ::::::::ヾ:::i::::::i::::::::::::::::::i:::::::|:::/:::::::::::::::: /::::::::::::::/:::::i:::::::::/::::::
:::-:::\:::::::::::::::::::::::::\::::::::::::\::::::::::: : : : : : : :: : :: ::i: :: :::::/:::::::::::::::::/::::::::::´:::::::_::::::-:::::
:::::::`-、::::::::::\:::::\::::::::::::::::::::::: : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : :::::::::::/:::´::::::´:::::::::::::::::::::::´::::
::`::`::::`:::::、:::::::::\::::::\:::;:::: : : : : :i : : : : : : : : : : : : /: : : : : : : :::::::::::::´::::::::´::::::::´:::::::::::
::::`:::::、:::::::::::::::、::::::::::::::::: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :´::::::::::_:::::::::─::::::::´::
-_:::::::ー:::ー::::_:::::::-::::,:::: : : :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :::::::::::::::::-::::::::::: ̄:::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : : : : : :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::::::─:::::::::::::::-_:::::::
:::::::-::::::: ̄::::::::::_:::::::::/: : : :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::::::::::-::::::_::::::::::-:::
::_:::::::::::-::::::::_:::::::::::::: : : : : : : : : : : : :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :::::::::::ー::::::::::::::-:::、:::
::::::::::::::_::::::::::::::/::::::::::::: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、::::ヽ:::::::_::: ̄::::::_:::
::::_:::::::::::/::::::::::::::::/::::::::: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::::::::::ヽ::::::::、:::::::-:::::_:::::
::::::::-:::::::/::::::::´:::::::::/:::::i::::::::: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :::::ゝ:::::::ヾ:::::::ヾ:::::::::::、:::::::ヾ::
:::::::::: ̄:::::::::::/::::::::::::::::::/:::::::i:::::::|: : : : : : : : : : : : : : : : : ::::i:::::::::::::ヾ:::::::ヾ:::::::::::ヾ::::::::::::`::
:::/:::::::::/:::::::::::/::::::::/::::::::/:::::i:::::::::::::: : : : : : : : : :::::i:::::::i::::::::::ヾ:::::::::::ゞ:::::::::::::ヾ::::::::::ヾ::::
::::::/:::::::::::::/:::::::::/::::::::/::::::::: /::::::::::::i:::::::::::i:::::::::::|::::::!:::::::::::::!:::::::::i::::::::::!::::::::ヾ:::::::::::::ヾ:::::
:::::::::::::/:::::::::::::/:::::::::::::::::::::: /:::::::::::|::::::::::::i::::::::::::|:::::::::::::::::::i::::::::::::::::ゞ:::::::::ヾ::::::::::::ヾ::::::::::::
:::/:::::::::::::::::/:::::::::::::::: /:::::|::::::::::::i::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::i::::::::::::ヾ:::::::::::::::ヾ::::::::::::ヽ:::::::::::::ゝ:::





258 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:58:47.68 ID:l3fCdNoo

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:;
  :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:;:;:;:;
               ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:;:;:;:;::;;:;
\         r───────────┐:::::::::::::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;;;;;;;
 ::\       \    : ::: ::::: ::::::::::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::/.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
  ::::::\       ヽ、________,,ノ:: ::::: :::::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
  :: ::::::\___________________/;;;;/ |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
   : :: ::::| : :::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;/! ;;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
 |ヽ : ::::::|::::::::::::::::iーiーiーiーiーiーiーiーiーiー|;;;;;;;;;;;;;;;;|;;|;;; |;;;;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
 | |  ::::|::::::::::::::::|:: :|:: :|:: :|:: :|:: :|:: :|:: :|:: :|:: :|:: :|;;;;;;;;;;;;;;;;|;;|;;; |;;;;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;





259 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:59:13.00 ID:l3fCdNoo

∠-'';::/ ,∠/ ./::   ::\.ヽ\ ヽ ヽ \ ヽ. \
::::r''∠- '´:∠ -ヘ::....... ,...:‐''7,ゝl‐-ヽ}   ト、 lヽ. !
:::l::::-===モ== _::::/:::::::::/_  ` / ,ヘ. | ヽ |. ヽ.!
: |:::: `  ー‐=''"::´:::::::::::::/ニ´>,'/  ヽ | ヽ!  ゙l
::|:::::      ..::::::::::::::::::::::/    ハ     ヽ!
:|::::::    ...:::::::::::/::r:::::::i_:   ,'l }
|l::::::        `__:::    /.|′         杢之助が眼を覚ますと、見慣れない天井が眼に入った。
iヘ::::..      ̄ ̄     `ヽ ./^'
:|::ヽ:::..      ‐==;;   /
::l::::::ヽ::..        :::::::   /    ,.、
:::l::::::::::\.         /  /.:/:ヽ.
::::|:::: :::::::\.         ,イ /....::/::::::::ヽ.




        イ /|   ll         / |     |       |   |
       / | | |   || ll       / |     |       |   |
      / | |.‐|   | || |  | ll    /  | |    |        |   |
      /  レ  ||ヽ, ト.||_| | | | ll  /   .| .||    |       ||   |
     / _,.=-‐-=.,_レ || |.|ヽ.|| |  |   | | |   /|       | |   |
     /'´ | /::::::::;;`丶  ∥ || ||| .|   |.| | || /_|       / |  /
    /  | | ~;;;; ○ `  ∥|| |.|   _.||-レノノ | /    /  |  /
    /   、弋_ ノ        ∥,. ',.-‐=メ、 | /| /l  /  .| /
    |     ` ‐--         /~;::: / / >|/////l/   | /
   |                   弋_,.シ  / ソ ソ ソ     〃
   |                 l ` ‐  /    |     〃
    |丶                 |     /     |     〃    「おっ……お目覚めでありんすか?」
.   |  丶    丶 .,_   -‐'    イ      |
   |   丶      _  ̄   ,.   '       |
   |     丶     ,.  '     |       |
   |        ‐ ´        |       |    廓言葉で話しかけられた娘にひざ枕をされていた。





260 :1 [saga]:2009/06/10(水) 20:59:53.15 ID:l3fCdNoo


            _─-、 -‐;z.__
        > ` " ゙  <
       / " " " " ゙ ゙ ゙ ゙\
         l " " ", ,ィ バ i ゙、 ゙、ヾ    「すまない……」
         | " "ノlノメ、 |ノjムヘ. N
        ! r,コ| =。=  ,。==ハリ
        | |ヒ.j|   ̄ r_ \7
       j `ァヘ  ──‐:7′        あわてて起き上がる。
.     _/∨ :::\  ̄ 人         後頭部に少し痛みが残っていた。
  -‐'''"´ |.  ヽ.  ::::`:.イ  |`''‐- 、.._
        |   \  :::/  |     .ハ




.         ,': : : : : : : i:  /: : : : : : :/:l: : : :|: : : : : : :\: : : : : : :l: :ド:ヽ
       i: : : : : : : :i / : : : : : : ,': :|: : : :|: : :l: :ヽ: : : ヽ : : l : |: :|  l|
       |: : : : : : : :∨ : : : : : : :ハ: :|: : : :|: : :| : ハ : :|_\:l : |: :l  ||
       |: : : : : : : : | : : : : : : : |: l: |: : : :|: : :|: :| | ;.イ∨从:∧/  リ
       |: : : : : : : : | : : : : : : : |: l: |: : : :|: : :|:八 j/Vィて?/ : !
.        i: : : : : : : :.| : : : : : : : l: :斗七:丁厂⌒`  fト::゚リ イ: : :|
       l: : : : : : : :l : : : : : : : | ∨ィチてヾ     ゞ='^ | : : |
.        l : : : : : : : i:.: : : : : : :|Y圦iド:;イリ     、   } : : |
         l: : : : : : : : : : : : : : : :Vヾゞ辷ン^      〉  /: : : |     「冷やしておいたのだが、まだ痛むかえ?」
        | : : : : : : : : ':, : : : : : : .            __   ′: : :|
       ハ: : : : : : : :.い : : : : : : '. 、    < _/ イ: :l: : : :|
       l : '.: : : : : : : l:ハ : : : : : : ∨> 、_   /::∧: :l : : :|
       |: : l : : : : : : /: ∧ : : : : : : '.     丁ヽ::::/::∧ l: : :.|
       |: : | : : : : : /: /::∧ : : : : : : :    { 八::::/::∧:l: :│
        /: : :l : : : : //:::/::∧: : : : : : ∨   ∨ 《?:::/:∧: :│
.       /: : :/| : : : /ノ :::::::::/::∧: : : : :l: |-─__》 V::/::∧ │





261 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:00:31.32 ID:l3fCdNoo

      -、ー- 、
   _. -─-ゝ  Y ⌒,.Z.._
    ,.>          <`
  ∠.._        ,     ヽ
.  /    , ,ィ ,ハ ト、    l
  /イ /   /l/‐K  ゝlへトi  |
   レ'レf Y|==;=  =;==|f^!l
.     !6|| ` ̄ "||`  ̄´ ||6|!     「少し……」
      ゙yl、   、|レ   |y'
     _,,ハ.ト.` ̄ ̄ ̄´ ,イ/\_
    ̄:::;':::::゙! \.  ̄ / |'::::::::|::: ̄
  :::::::::l:::::::::l  \/   !::::::::::|:::::::::
  ::::::::l:/ヽ:ヽ__    __/:/\:|::::::::




                  /゙}i
                    //  }}      , -z
               _/ :/ >'‐ァ―-、_// }}
              /:'´//: : 〃: : : : : `く. }/
                /: : :./ : : /: j|: :./ : ,'|: : : :∨   
            ,': : : /: : : :|: :八: |: :/ |!: | : :ハ
             | : : ,': : : : :|ィテ=k从| リ:_| : :|:|   /}
              l : :│: : : : |^Vヒソ  ィ圷リ /リ / /
               |: : :.| : : : :│      :Vソ/|^/// .,'
                |: : : ! : : : :│  t‐_、´ /: | / /   {
.              |: : : |:l: : : : :ト 、     イ.: :l,'     ∧    「まったく、聞きしにまさる阿呆じゃな。
            |: :_:人l : : : :| /`ー 个:|: :/      い
          /⌒ヘ::::∧: : : :| {\:_:│:レ:′     ∧    あの親父殿に立ち向かうなぞ、蟷螂の斧もいいところじゃぞ」
            /    \∧: : :.|ヘ_\::_]:∧/{/i/レヘ ,'  '.
        │      |:∧: : :!:::|≒|::|:| : : : /)')、∨  ;
        │      ∨:::∧.: :l:::ト、∧N : /  , /: ヘ  }  屈託のない笑顔で杢之助は叱られてしまった。
        ∧     i/::::/::∧:│ト《こ》|:/    //: : : :ヽ八
          /: :.ト、    |::::::::/::::l: :|:::::| ゙̄/   ,.イ : : : : : : : :.'、
       l: :./|     l::::::::::::: l: :|:::::レv'′  /: : : : : : : : : : : iヘ
        |: :l: |    }:::::::-=:j/ ̄ |   / : : : : : : : : : : : :`(\
        |: :l: |     ,ゝ-―ヘ     | -イ: : : : : : : : : : : : : : : :(∨
         l: ∧|   〃    │   ヽ_/: : : : : : : : : : : : : : : : :|_〉
         |/  |        _>‐一/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : l/
          ヽ、_,..::-―::¬´ ::::::::::/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |
           L._::::::::::::::::::::::/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/





262 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:00:55.67 ID:l3fCdNoo


      ./..::::             i    ヽ
     /.:::::::::::.            /     ヽ      たしかに自分よりはるかに年輪を刻んでいる人物のようだった。
     .i::::::::::::::        i  ./      |、
     |::::::::::::::         i .人ェュ、_    )、    それ故か、強さも半端ではなかった。
    丶:::::::::::     ノ   .レ'´ /´:::::    / ヘ    
     i':::::ヽ::   ''''´ ヽ .,イ  i::::::    _  V.i    今まで積み上げてきた強さが、
   ┌-t::::::::::::  .___ X ! /:::  _,,ィク´  .i |    崩れ去ってしまったような、そんな気がした。
    .!ヽ:ヽ:::::/ ̄´;;;;;;;;;;;;;;;ヽ, ヽ ::::::: fエィ'´   ノノ.   
    i ヽ |:::::|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ノノi  :::::::::     ィヽヽ
     !`゙イ、::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:::ヘ  i::_::: -‐‐<./ ヽヘ
     `ヽ(ヽ、__`>─'''´ ,r  .ゝ (. `)‐-クi ):  i:::ヘ
      .i.ヽi-‐'ヽ/ ,:::-‐'´ゝ‐-、_,,ィ'´==ッ' 〉ノ /::: iニヽ
      .| ::::i   i (ヽ、__,, -‐=ニ''´  ̄// // !::::  ./|ヾ゙\
     ,,イ、:::ヽ、 ヽ\ `゙‐`''‐--─''´/ / i/i::::  :::||>メミノ三
    i'´゙〈::ゝ::::::::`'ヽヽ::::::..  ̄` ´ ̄   ノ:::/:::  ::ノノ爻》彡
  ノ´) 《ム、:::::...  ``ヽ、:::..       /:::::!:::: /ミ矢父<
三タ〈 父メミ`ヽ::::::::..  `'-、..__,,.--‐'´ :::/:::./爻爻ノ.ノミ





263 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:01:31.80 ID:l3fCdNoo

┼┤│  ││;;;||-|-|-|-|-|-|-|-|-||::::::::::::::::::::::::: ||-|-|-|-|-|-|-|-|-|││
┼┤│  ││;;;||-|-|-|-|-|-|-|-|-||::::::::::::::::::::::::: ||-|-|-|-|-|-|-|-|-|││   周りを見たところ、ここはどこかの湯屋のようだった。
┼┤│  ││;;;||-|-|-|-|-|-|-|-|-||::::::::::::::::::::::::: ||-|-|-|-|-|-|-|-|-|││
┼┤│  ││;;;||-|-|-|-|-|-|-|-|-||─────||-|-|-|-|-|-|-|-|-|││
┳┥│  ││;;[田田田田][田田田田][田田田田][田田田田] |..│
┻┥└─┘,,|/=======================================;;;|..│   このころの風呂は2種類ある。
 ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ
ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄
 ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄   湯屋と呼ばれる浴槽に湯を入れたもの。
==@==@==@==@==@==r─ー─‐-──ー┐@==@==@==@==@==@==   風呂屋とよばれる、サウナのようなものである。
─────────‐|  西  田  屋.│─────────
:: : :| |;;| :::: :::: :____`ー─-─-‐ー─┘____:::::::::::::: :| |;;| :
  | |;;|   ::||三三三| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|三三三||:    | |;;|     前者は関東、後者は関西を中心に繁盛していった。
  | |;;|   ::||三三三|__|__,,ノ___,ノ___,,|三三三||:    | |;;|
  | |;;|   ::||三三三三||::::: :::::::: :: ::: ::::: ::||三三三三||:    | |;;|
  | |;;|   ::||三三三三||:::::: ::: :: :::::::: :::: ::||三三三三||:    | |;;|
  | |;;|:::: /||三三三三||:::::: ::: :: :::::::: :::: ::||三三三 /:: :::::::::::::| |;;|:::::
| ̄ ̄| ̄ ̄|. ||三三三三||:::::: ::: :: :::::::: :::: ::||三三三|| ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄
|    |    |. ||三三三三||::::: :::::::: :: ::: ::::: ::||三三三||  |    |    |
|    |    |. ||三三三三||::::: :::::::: :: ::: ::::: ::||三三三||  |    |    |
|__|__|/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;||_|__|__|_





264 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:02:13.00 ID:l3fCdNoo

      __....ヽ `´ ∠
    ∠         \
   /     /|/1     ヾ
    lイ  /|/   .|/|/レ   ヾ
     |/レ|芒。〉 芒。テ| n .|    「湯を貸してほしい」
      l / 、   .|.|リ |
       l `----  .||´ハ
      __l ≡ / |/  |‐- ..__
_.. -‐ '' " /ヽ_/   |  |




   、i、_        、!、
   `i.ヽ,`ヽ、    |.,ヘ\
    .| ; ヘ: : `ヽ__j .; ヘ: :ヽ
    .|; ,,>':'´: : : : : | ;  ヘ: : :ヽヽ、
    ,!"´: : : : : : : : : ヽ、. ヘ: : : : ヽヽ、
  ./: : : : :/: : : : : : : : : :\ ヘ: : : : : i: :ヽ
 /::/: : : ,〃: : : : : : : :ヽ: : : :ヽi : : : : : : : :ヽ   「ん?ああ、かまわんよ。
./i :{ : : :/ll.|: :i : : : :| : : :l : : : : : i : : : : : : : : i
〃: i 、: ハ:ハ: i、: : : l: : : :|: : : : : : i : : : : : : : : i   さっぱりしたら座敷へおいで。
i! ! : !ヽ!! ! `-ヽ从A , : ||: : : : : : :i : : : : : : : :|
  .ヽλヽ   、   `!ル'| : : : : : : :|: : : : : : : :|  わっちもあんさんを待ってるでありんす」
   }'}‐=i   .j,,,___,,` j : : : : i : : :| : : : : : : l
    j::| <     ̄´  | : : : : l : : | : : : : : :/
    i:::! `,._        |: : : : :l : : |: : : : : :/
   i::::::`i、\7¬フ   |: : : : l : :/: : :/ : /
   i::::::::|;;;ヽ、 __,,,.-‐¬ : : : /: :/:/ : i : /
    !:::::::|;;;;;l;;;;;;;;;}  / : : : /: イ: :| : i :/|
   /`ヽ、i;;;;l;;;;;;;;;;}.ノ : : /_'_l : :l__L/_|





265 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:02:32.92 ID:l3fCdNoo

         | |   | |          ||          ||          | |         | :| |
         | |   | |          |[]'       |[]'       | |     - 〈ニ| |
         | |   | |          ||          ||          | |     / |  :| |
         | |   | |          ||          ||          | |      / .`ー| |
         | |;:;:;:;|_|_____||_____||_____|_|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| |
         | |;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| |
         | ..|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|._.|
        /  _______________________   /|
      ... //   '~''~~~( )~~'~'~~~'''~~'~~~~~./ /
     / // 、ili,l.。 ) )  ~~ ( )   ~~  ( )     ~~  / /
   / //     ~~( )     ~~     ( ) ~~~   / /
  / //          ( )   ~     ( )    ~~   / /u
/ //   ~~~~     ~~     ~( )~~  ~~  / /
_//          ~~                     / /ij
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /
[]| ̄|'lj | ̄| ̄| u'| ̄| ̄| ̄| ̄|!j' | ̄| ̄| ̄| ̄|U''| ̄| ̄| ̄| ̄|[]||
[]|  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |[]||





266 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:03:41.06 ID:l3fCdNoo

湯船には先客がいた。

    / ̄ ̄ ̄\
   / ─    ─ \    /
 /  (●)  (●)  \   ─
 |    (__人__)    |  \
 \    ` ⌒´    /
 /            |    「おっ?」
(_ )   ・    ・  ||
  l⌒ヽ        _ノ |
  |  r ` (;;;U;;)   )__)
 (_ノ  ̄  / /
        ( _)




         / 〃           ゝ.
        〃,/, 〃       _   ヘ
       |〃/ ,〃 〃 ,、,、 、 ,   ヾ'|
        / /,〃 ,.ヘヽ_,ゝヘ{ ヾ ヾ |
         l/ / ,.く  />‐。ァ ヽ'ト、ヾ' i    「手ひどくやられたな」
           |/  >ヾ ̄´   |'ト||ヾ |
           /         |l〃 ヾ|
         ∠-‐フ   _, / ヽ.ヾ'」
             ` ̄匚,   /   >'^ヽ._
              /  /   /    |
                 '―ヘ  /     人





267 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:04:20.58 ID:l3fCdNoo

      ____
    /:::::::::  u\
   /ノ└ \,三_ノ\   ,∩__
 /:::::⌒( ●)三(●)\ fつuu
 |::::::::::::::::⌒(__人__)⌒ | |   |   「まったく、記憶がぶっ飛んでるお。
 \:::::::::   ` ⌒´   ,/_ |   |
   ヽ           i    丿   あのジジイ、とんでもねージジイだお」
  /(⌒)        / ̄ ̄´
 / /       /




         `ヽミメ、 . -‐,=‐
      . . .-‐‐ミ i! Y i! 厶イ__
   ∠..., =‐- i!  i!  i! i! <´
    .ィ´ i!   i! i! i! i!   i! i! ヽ
.  , ′i! i! i! i! i! i!  i!  i! i!.!
  /イ i! i! i!ィ i! i./::、 i! ト、 i! i! !    「ああ……まったくだ」
  /i!.//i!./::iメi/:::::::,メ、「ヽト、 i! i!j
  /イ i!/! /==。=、:::::.=。===:i!,...i! |
    j/ j/ i::`:‐:/:::::::: ー一.:´:|ir, }.|
       i:::::/.::::::、   .::::::|Lンii|
         i: `‐――一'.;.::::ハ.i! j;\   さすがに自分も同じ目に遭ったことは言えなかった。
           、  ー ..:::::/;  ヽ:{;;;;;;;ト、__
      . -=''7ヘ.....:.:::::/;;; '   j;;;;;;;j;;;;;;;
   -‐'";;;;;;;;;;/;;;;;;ヽ .イ;;;;: '     /;;;;;;;;|;;;;;;;
  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;|:.:;;:::'    /;;;;;;;;;;;!;;;;;;





268 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:05:50.86 ID:l3fCdNoo


                    ___ 
      /      j        /      \    l.    .',        汗と埃にまみれた体を清め、湯につかり四肢を伸ばしてくつろぐ。
     /     i ~~~ /        \    ソヽ .i       ',
     /       !     /.    _ノ  ヽ、   \ ~~   i      ',   これは死ぬ準備でもあった。
     /      i      |    (●)  (●)   |      i     ',
    /      i      \    (__人__)'   ./ .~~ ~ i     ',  相手は悪名高い旗本奴といえども、幕府の直参である。
   /     i ~~~   (  (--`⌒´―r  )          !      ',
    {.───┴─────.`ヽ j───‐.{ /―─────┴───}  殺傷をして、穏便に済むなどありえなかった。
.    |    U   !      uU  ゙´      `"   i       u  ,' |





269 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:06:58.71 ID:l3fCdNoo

           _-─―─- 、._
         ,-"´     ゝ   \
        /              ヽ
         /       ::::/::::::::\::ヽ
       |       / ヽ `::::´ /`ヽ
        l       ( ○ノ::::::::::ヽ○.;l    「斎藤さん、いつやろうか……?」
       ` 、        (__人_)  .;/
         `ー,、_         /゚
         /  `''ー─‐─''"´\




      -、ー- 、
   _. -─-ゝ  Y ⌒,.Z.._
    ,.>          <`
  ∠.._        ,     ヽ    「そうだな……、座敷に戻った後にでもやるか」
.  /    , ,ィ ,ハ ト、    l
  /イ /   /l/‐K  ゝlへトi  |
   レ'レf Y|==;=  =;==|f^!l     捕り物がやってきて、お家に迷惑がかかる前に腹を切りたかった。
.     !6|| ` ̄ "||`  ̄´ ||6|!
      ゙yl、   、|レ   |y'
     _,,ハ.ト.` ̄ ̄ ̄´ ,イ/\_
    ̄:::;':::::゙! \.  ̄ / |'::::::::|::: ̄
  :::::::::l:::::::::l  \/   !::::::::::|:::::::::





270 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:07:36.60 ID:l3fCdNoo


             (.::  ヽ
     ,.:⌒ヽ    (.::      )         \      |    /
    (.:::    '   (       ヽ.:⌒ヽ      \   l
    ゝ.::    `ヽ(.::             )     γ' ⌒ヽ (⌒ 、     湯船の窓から外を見ると、まだ日が高い。
   (.::::           、.:⌒        ヽ──‐ (    ) ─
  (.::::    (:::⌒                 )    丶_,ノ  (      季節はまだまだ蒸し暑かった。
 (.::::              .:::       Y.::⌒ ヽ ◇    (
  (.:::::        `).:::                ┌┐⌒ヽ⌒         入道雲が見えた。
   ゝ.::::              ノ.::  ノ     └┘
   (.:::                     /\
    (.:::                    \/





271 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:08:04.20 ID:l3fCdNoo

          ____,. -───''' ´ ̄ ̄ ̄ ̄ 、 ̄ヾ ̄`ヽ
  , -──-,/       `ー--、_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\:.:.ヽ:.ヽ:.:',
/:.:.:.:.:.:.:.:.:./    _, -‐'´` ̄ ̄ ̄`ヽ、`ヽ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.|:.:.:|:.!|
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./   /     ___   ヽ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!:|:.!:.:|ー、
:.:.:.:.:.:.:.:.:/  /、_, -─'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ、 ',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!:.|:.:.:.|i:.!i|
:.:.:.:.:.:.:.:.l /   >-:.:.:.:.:.:.:.:.,:.:'´ 、`ヽ:.:.:.:\ |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:., -‐-、:.|
:.:.:.:.:.:.:.:,' |  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ`:.:.:.:.:.:.ト--─--──‐,/   ,':.:.!
:.:.:.:.:.:.:/  | /:.:.:.:.:.:.:/:.:.:_:.:.、 、__:.:.:.:、:.:.:.:.:.:.:.i:|    r-、    |   /:./
:.:.:、:.:/   {//:.:.:.:.:./:.//'´ l|  \,.lヽ:.:.:.:.:.|ヽ   l   ヽ   l   /, -‐、     雲の形が人の姿に変わってきて、
ヽ:.:.:.: ̄`7´ |:!:.:.:.:.:|/ /'    !|、/ !| |:.:.:.:/ ヽ. |   |  /   |_l   l       それが次第にお勇に見えていった。
ミ、_,.<|   !|:.:.:.:.:|l ̄ `  |l   r==|:.:.:/   | |   |_/ `    l   ト、
、_.|    |   l|!:.:.:.:.,!==-、 ノ'  ´   /:.,人   f' |        i   ヽ \
/'rー、/  ノ \__:\         ' ´/ !ヽ l  l             /´ `ヽ l
! l   \  ヽ/ ーヽ´    __`_, '7 .// ノ | | ∧     |     l    | !
、_ ',    \ ___,. 、 | >- ._`二´,ィ / )-r‐ l   ノ\_   !    ヽ--r'  l
  `ヽ    ヽ ノ`  \  | i_コ _ ̄r‐‐'   |  `ー‐'` iー、    r‐   !   |
          \ヽ   \ ヽ_/l:::| `ー`ヽ、  l       L_ ヽ _l   |  l
フ         |!       l |  〈::く__} {_ ノ__| _', 、_     し'7ー ー‐'   ,'
'         /\    | l   `しヘ!ヾL -/7i ヽ`ー‐'' ー‐'         /
,     、     /_ノ     !  \ __,/_r='´r─-、 \           /
!/    ヽ _/(/      |!    ヽr‐'__ヽ/    ヽ ヽ          /!
      /  )   __,人     !:「   ´     //ヽ\       /::|
. !    //`ー, -─'     \   !|        //   `i::`ヽ、_    !::/
/ー─<, '-‐´         ヽ  |:|___  //   // ヽ、`ー‐ァ!


          【杢之助の妻 お勇】



272 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:09:30.46 ID:l3fCdNoo


            ',   {/   /  /   :l      ` 、 !  /
            ヽ  〉.:.: /  /   .:/.:  l.:. ヽ   l|/l
              Y .:.:. /.:  /  .:./,イ ハ.:. ...:|   :|:.:.:|
              | |.:.:. l.:.:. // , イ.:.//:.:/  \.:.:| ...:|:.:.:|    閨(ねや)のお勇を思い返していた。
              | |.:.:. |`'lメ∠_////__, -ー'ヾ:|:  :|:.:.:l
              |、ヽ.:.:ヽィ圷ミ    ィ圷ヾ.:.:.:|::.::l    口はやかましく、強気で強情。
              | lヽ\| 弋r:シ      弋r:シ |.:.:.:ノ:.:.:.',    そのくせ、行為の最中は、いっさい感じている素振を見せてくれない。
             /.:|  \ヽ;::::::::    ,  ::::::::::::ノ_/ |.:.:.:.:':、   男としては堪ったものではなかった。
              /.:.:.l   | 弋    ,. _    フl  /.:.:.:.:.:.:ヽ
.             /.:.:.:.:ヽ  ヽ __ >、___  `_,.ィ< /  /.:.:_.:.:.:.:',
            /:./:`∧  | |` ̄ \ヾ/ノ ̄ ∨  {'´: : : : :\.:.\
          /.:/: 、 : : ',  | |  __,r<_< ヽ,.__|  |.: : : : : : : :l.:.:. ヽ





273 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:10:30.49 ID:l3fCdNoo

三三|三三「〉¬┘XXXXXXXXXX\
三三|三三|XXXXXXXXXXXXXXXX\
三三|三三lX>冖―冖<XXXXXXXXXヽ
三三|三三|'´:.::-:‐:=ニ二_::.:`YXXXXXXXハ
三三|三三|-;==::_:::-―:: ̄└ヘXXXXXXXト、
三三|三三レ仁\::=ニ二:: ̄::_:_}XXXXXX||
三三|三三l欠メミ__>:‐―:::‐=::.::.::\XXXXXV
三三|三三|(^rJ》ミー=:ニ:二:_:_彡:/:Y XXX,′
三三|三三ドー' ″` ー=ヱ二ィ:/:::/::|XXXイ   だが、女体(からだ)の質は上等だった。
三三|三三|   ー― '′ ∨/:/ /:,::」 XX/|
三三|三三|      ァうx ハ::/::/://XX丿 |   その肌は天日の下に干した布団のように柔らかく、
三三|三三lっ   _ 〈::.::r、》Yl::/:/ Xxイ\/     抱きつくと心地よい香がした。
三三|三三|     ‐ `゙^, ィ:l:l:|:/xX//:!
三三|三三l>-. . .‐<:://:: :l:l:|XX/:;':::|
三三|三三|^Yヽ : : : |://::/::川X7::/::! |      
三三|三三レ' ∧ : : :l:/::/:::くXX|:::l::.:|::|
三三|三ニ(_/ / : : : !::/::.:::/XX|:::|::.:|::|
三三|三└r―勹: : : :|;':::/:{XXX!:::|::.:|::|
三三|三三l>7´: : ; : :|::/::/XXXl ::|::.:l::|
三三|三三ト': : : :/: :/:,'::(XXXxl ::l:: :l::|
三三|三三| : : : /: :/:/::/XXX/::.:!::.:|::|





274 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:11:00.37 ID:l3fCdNoo

        / ?          ヽ.
          |? ?       くヽ!
         |? ?,?, ? 、  、 ヽ
        |,? //! ∧  ト、  ト、|
        」 _r'7ヘ_j/   >、!‐ヽ! .| !
        |「f.k━zxヽ /xz━ァ冫、! |
        ||ゞ| ` ̄ '"|.|ヽ ̄´/j〃ヽ!
        ゙=ヘ   、|」,   /=″     杢之助は、この時だけは故郷に戻れないことを悔やんだ。
         /| ∧ ゙ ̄ ̄ ̄ /
          / .l/ ヽ  <7 /ヽ.
      _/   \  ヽ./|  \
     / |  /] |   ヽ' !    ∧
 _,.-‐'´  | / о|     |ヽ  / |`ー- 、





275 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:11:42.20 ID:l3fCdNoo

      メ ,, -──- 、._\
    メ/ u    ゚ 。 \\
  / /    ノ  ヽ、   \\
   ! |  o゚((●)) ((●))゚o  |    「……本当のこというと、やる夫は怖いお。手が震えてるお」
  \\    (__人__)   /く<
   ノ メ/   ` ⌒´   ヽヽヾ





276 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:12:16.26 ID:l3fCdNoo

/ ,, ‐; ‐' ~   ll    ll    lll   lll   ll   |
,-‐', '´ ll   lll   lll  /| ll    ll    ll   ll  |
./l , -‐'´ ll   lll /ll/. | .iヘ   lll   ll   ll
.ll/ /    l  /ll.//l/    |ll| | llヽ、 lll   ll   |
  / ll./ ll.∠// .l/    , |.|-‐|.| ̄ヽ、 ll.    lll |
 ./l//l / / `ヽ、|   /  |  |  ::\  ll  ll|    「大丈夫だ……。
../ //.|.=====、  __ ========::::| .l⌒ヽ .|
  ./  | ` ‐--゚‐/,::: '''' ` ‐-゚--‐ ' ´  ::|ll|⌒l | |.    こういうのは勢いでやればいいんだと思う……。
      |    :::/,::::::::            :::| |⌒l |lll|
.      |  ::/,:::::::::::::          :::|l|6ノノ .|\.   酒の力を借りればいい。
.        |. /,:::::::::::__:::)           :::::||、_ノ |::::::\
.         l.(_::             :::::::/l   ll|::::::::::::|  座敷へ行こう……」
.         l.   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   :::::::/ | lll |::::::::::::::|
           l、   ___     ::::::/:   | ll|::::::::::::::::|
        _, -/l、   ̄ ̄    :::::/::    | |:::::::::::::::::|
    _, -':::::::/::::::!.        ::::/:::     |.|:::::::::::::::::::|
    ::::::::::::::/::::::::::ヽ、     :::/:::       |:::::::::::::::::::::|
   :::::::::::/::::::::::::::l::ヽ、  ::/:::       /l:::::::::::::::::::::|
   ::::::::/::::::::::::::::l:::::::lヽ/:::         /::|::::::::::::::::::::::|
   :::::/::::::::::::::::::|:::::::::|::::         /::::|::::::::::::::::::::::::|
   ::/:::::::::::::::::;:へ::::::::|            /:::;:へ::::::::::::::::::::::|




       / ̄ ̄ ̄ \
     /       . \
    /  _ ノ   ヽ、_   \
   .|   (ー)  (ー) .  |    「うん……」
    \    (__人__) .  /
     /    `⌒´    ヽ
    ヽ、二⌒)   (⌒ニノ





277 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:12:53.69 ID:l3fCdNoo

;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:: .. :: .::; :..: .:: ; ':: .:: .:::: ::. ::: ..:
 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;::::. ::: .: ,======================
 ::::::::::::::::::::: :::: ::::: :::::;;: .:::. ::: ./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 :::.. ::: .:: :: .: .:: ..: ..: :' ..: ..: ; ;; /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
          :: ..: ;;; ::.. ::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::  ~~♪~♪
              : ;;,イ,,二二二二二ニニニニニニニニニニ
   ニニニニニニ@    ヽ||―――升――,;r┬―f ‐r ‐r ‐r
  :::::::::::::::::::::::, へ、   .:.::||二二二| |╋╋|==i===i==i==!==!   ♭~♪~#~~
  ::::::::::::::::::/, へ ヽ、   .::||―――| |╋╋|^´l`^´l`^l´^!  l
  ::::::::::::/∠二二ゝ、ヽ : : ||―――| |╋╋}  i /ヽ_/ヽ、l  i'  
  ::::::/∠二二二二ス  l二二二二二二二|  i!-‐ ー- l  l
    /|ニゝ--------孑 /;;:::;;;::::::::::::::::::::::::: l  ヽ、∀ ,ノ、 ヽ
      | |モ幵幵||幵幵l <元三三三三三三 ヽ、,_,x,_,x_,x,_,x,,_
      | |モ幵幵||幵幵 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||
      | |モ幵幵||幵ホ ムニニニニニニニニニニニニニニニニ
    二二二二ニニニ |_|ニニニニニニニニニニニ:i! ト-‐|l| | ̄ ̄|| ̄


2階の座敷に戻ると、すでに宴が開かれていた。
芸妓が鼓と笛で囃子(はやし)を奏でる。



278 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:13:27.24 ID:l3fCdNoo

部屋を見渡すと、見知りの顔が見えた。


             /: : : : : : : : : : : : : :\: : :/::/   /
        / : : : : : : : : : : : : : |`ヾ__/    /: \
      ト、/: : : : : / : : : : : : i : : | ̄  /       /: : : : ヽ
      ,\ ` 、: : /: : : : : : :∧:: ::|  /       /: : : : : : : ',
   /___\  /: :イ: :: :: :/ l: : | /        ,イ : : : : : : : : ',
  / ̄    j\ l/|: : :/  ̄!: ::|      / ヽ: : : : : : : : :',
         / : : \ |: :/ ノヽ!: ::|     /    ヽ: : : : : : : ::ヽ
.        /: :: :: :: :ヽ| ./く   l: :/\  /       V⌒ヽ:: : : : >
      /: : : :/l: : V Y' ヽ ‐V     //ヽ       く ヽ:: : : >   「おぅ!先やってるぜ」
      /: : /  |: : : : :|   _ -‐''´,-v   |        )ヽ ノ: :/
     //     |: : : :∧ ヽ vー‐'´/⌒⌒j     / ノ /: :/
     /      l: : ::/  ',  | _/-――ノ      _,/: :/
           ヽ/    ', ヽー―― '´      ノ::::::::\l
                l            /::::     ヽ
                |           /::::::::      ',
                ヽ、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::        ',
                   ̄`j::::::::::::::::::::::::::            l




.          /: : : :/    ノ     ヽ    \: : : : ヽ
          /: : : :/    / ,-―‐-、 \   \: : : :',
       /: : : /(   / ,イ : : : : : : ヽ、`ヽ、_ハ: : : ::',
      /: : : :/ 二二_ィ´/: ;ィ : : : : : : /`ー┬---、ゝ: : :',
    ∠: : : :/レ: : : ::/ ̄l//: : /j::/ ̄ ̄|: : : : ::ヽ: : ::',
     /::/: :/: : : : :/ ,--- /::/  ,リ ,--- j∧: : : : :l: : : ',
     " |: : /: : : : :/ ,/   /イ     /    ヽ ',:: :: ::|: : トヽ
.       |: : l: :/ヽ| {   O j     l 0    } }: /ヽl: ::j ゛
        l: : l: l ´てl ヽ、__ノ      ヽ __ ノ ,!/く }:/
       |: ∧{ ヽ l        {        /ノ ノ/    「ごめんなさい。ついさっき来たところなんだ」
       レ' V\. ',    、____,    / //
           Vハ\                 ノ<__/7
          /  ヽ \         //V   / /
            ヘ      V `iヽ、__  イヽ |     / /
           ヘ       |         |      / /
           \     ノ         |       / /


              【浪人  大野志門】



279 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:14:39.61 ID:l3fCdNoo


     / ̄ ̄ ̄\
   / ─    ─ \
  /  <○>  <○>  \    「かまわないお」
  |    (__人__)    |
  \     `⌒J´   /
  /              \




                 |       
                 |     「なんでぇ、なんでぇ、二人して辛気臭いな」
   r    ..    |    y'
,,,,;;;;/      ヽ,,  リ  /,ヽ
    、__.....   ''     -=)}      先ほどの強面(こわもて)の爺様だった。
    ''==-、    ,-==' )ノ
:::...      ノ    ヽ...  <       この老人は二人をさんざんぶちのめしておいて、
, _,        _  ノ    )        なおかつ、あわや自分が斬り殺されるところだったのだが、
乃    ....__/ '(  'ノ'ヽ, イ'          そんなそぶりを微塵も感じさせない。
 (ー---'    ⌒'''′/ /
  \'ー-<‐====v=イ/イ ̄'ー‐―,________....
   ヽ .ヽ=ニ二ニリ/ /\;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;
\,     'ー――‐'/;;:;;:ヽ;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;      
''\~ヽ__   ⌒ ノ|;;:;;:;;:;;:;;:\;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;
  \:.:.:.:.:.⌒フ ̄' /|;;:;;:;;:;;:;;:/;;:;;:;;:;;::;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;
     ̄ノ<:::::>ヽ/ |;;:;;:;;:;;:;'ー-i;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;





280 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:15:49.92 ID:l3fCdNoo

        ___
      / ̄   /\
    /     - /,-  |
   |( (■) ll (◎ )  「ここはオイラの『西田屋』だ。
   (6 、,/  , ヽ  |
   | /ヽ(__(_ノ)、ノ   さっきの詫びさ。うちではしゃいでいってくんな」
    |,  ( 'ー─一ノ|
     \λ_ ⌒ ,ノ  




       / ̄ ̄\
     /  ヽ、_  \
    (●)(● )   |
    (__人__)     |
    (          |   「……といわれますと、ひょっとしてあなたは」
.    {          |
    ⊂ ヽ∩     く
     | '、_ \ /  )
     |  |_\  “ ./
     ヽ、 __\_/





281 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:16:57.38 ID:l3fCdNoo


      _,,:-ー''" ̄ ̄ ̄ `ヽ、
    ,r'"            `ヽ.
    /  ::.             ヽ
.   /  ::               ヽ
   |   ::                .|
   |   ::                .|  
 .| ヾミ,l _;;-==ェ;、   _;;-==ェ;、  ヒ-
  〉"l,_l||;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)=f';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;||゙レr-{ 
  | ヽ"::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i,  iヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ r';' }  ニカッ
 . ゙N l ::.ヾ====イ;:'  l 、====/ ,l,フ ノ
 . |_i"ヽ;:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ.  /i l" 
   .| :゙l.''(<T''T''T''T''T'T>)゛|'",il"|   
    .{  ::| 、 \工工工工/ , il   |          この吉原の惣名主、庄司甚右衛門どの…>
   /l  :|. ゙l;:ヽ========ノ ,i' ,l'  ト、
 / .|   ゝ、゙l;:       ,,/;;,ノ |  \
'"   |      `'ー--──'"   ,|    \_

    【吉原名主 庄司甚右衛門】


庄司甚右衛門。昔の名は甚内。

元北条家の武将で、天正18年から東海道吉原宿で遊女屋家業を始めたという変わった経歴の男だった。
やがて江戸へとやってきて、幕府に色里の申請をすること三度。
ようやく元和4年(1618年)に京橋で御免色里を開くことができた。



282 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:17:53.93 ID:l3fCdNoo

甚右衛門はフフッと笑みをもらすと、杢之助の方に向いた。


                     ,i';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,.;:=-‐''" ,、
                    !;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::==-'''"ノ  ;i:;> !ヽ,il
                  >、_,...='"´  Xノ 、 ;:; '、,,. ;  ノ ノ,/ l
                 /´ `i,   , / / ,. ;:;、 ゞ,.    / , i !、
                    /、_ゝ l , ,..;: _.;;´ .....,,,,,__´ ! =,//,ヘ .ノ 
                  ヾ ,ィ i、 ,.;:"   ,i;;;;;;;;;;;;;;;;=イ ノ ノ ,.ィi"i
                 `i、l 、へ、 ,..;-ヽ;;;;;;;;;;;;;;;丿ノ ヽ''"   l
                 丿`ーiニて''"ヾ ヽ``=--ィ,   ノ) , ノ   「コイツを見てくれよッ!
                ノl;;;  (  `!, /^i , // '=-、_ ,.) ,i丿     なぁ、お前さんにやられた後が
            ,.;:-ー;;メ i、  `ー、_ノ   ,i´ ,.;:-=ニ=‐┐ ノ        ま~だ残っちまってるじゃねぇか!!」
         ,.;:‐''"´  /   ゝ    ヽ、 / .,i´!、__ ヽ_,.;! ノ ノiヽ、_
     ,,..;:=‐''"´     ノ    ヽ、    `‐( 、``ー-ニ-‐'"イ l、 ~`ー
 -‐''"´        /      `i、    `i、_      ,.ノ ノ  
           /   ,;:-''"~~`i、 `ー、__   丶ー---ナ'"_.ィ´





283 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:18:19.73 ID:l3fCdNoo


       `l |\ l ,-、_,--″_ `―″ , ̄`ヽ―  | //`l
       //\ | \\,--―″ `ヽ-″ ̄ ̄フ  / /|   |
       |ll  | \ \ 、\、        / 、  / / /    |
        |   \ `l ` \`ヽ―----―″/  ″/ /   ;:;:|
       |;:;:;:;:;:  \`l   `ヽ---――--″   //   ;:;:;:;:;:|
       |;:;:;:;:;:;:;:;:;:  \              //   ;:;:;:;:;:;:|
        ,-|;:;:;:;:;:     `l            / ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|
     /ll/|         \__         __/      ;:;:;:;:;: ト、
   /lllll/`l         l″ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|           /lllll\


着物の襟を広げると、なるほど、首のところには、手のひらほどの痕が残っている。
先ほどの格闘で杢之助につけられたものだった。



284 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:18:46.84 ID:l3fCdNoo

                       
     _,,:-ー''" ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄i`ヽ、  
    ,r'"               |   `ヽ. 
   /  ::.             /      ヽ  
  /  ::             /        ヽ  
 |   ::       ,,--''~''--/,-        |  
. |         --  _ /--         .|    
. |    ∠-'''"ニ\  /   /ニニ''--、   .|.    
. |    / ̄.___/     /    ̄~~\  .|    
,-  | / ̄´;;;;;;;;;;;;;;;ヽ   / //~"\  |  -、  
ト |  |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ノ   /  (__,,,、◎-''   |./||    「オイラの女たちにどう言い訳すりゃぁいいんだい?
∧(  ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/. .|  |   ̄'--'~~   ミ|/∧   
|/┐  `>─'''´/_ .|三|  __ \  /    |ヽ|   おしげりでやった傷じゃないって、
( (| -‐'   V, (  /- -ヽ'  )、\)     |) |     イチイチ説明しなくちゃならねェじゃねぇか、アン?」
ヽ |      / '━(   ) ━' ~\     |ソノ    
 N     / ____TーT___  \.   |//   
  H    (_彳┬┬-、,,,、┬┬┬ヽ_,,-)   ノY
 { \   \\++. + _l_+. + ++ //  ノ .|
/|  \   \ \UU、__l__,UU//    /  |\    そういうと、甚右衛門はカカカと笑った。
  |   \    \'''----''' /     /   / |   
 |     \    >----<   /     /      
 \      \  (       ) /     /      行為の最中に相手の首にしがみついて、絶頂のあまり痣ができるくらい
         \ \     /               締めつける性癖を持つものがいると言う。
          ~"'------'''~





285 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:19:24.95 ID:l3fCdNoo

三三ニニ=、__ヽ /:::::::ヽ!:::::::::::::::::::/_ u !:::ハ::::::::::::,' ヽ::::!   ',::::::::::::::::::::::::::i
三三三ニ    `V::::::::::::::::::::::::::/!::/´ ` V-'ヽ:::::::,v‐_-ゝl'´`ヽ、,:::::::::::::::::::::::::l
三三三ニ   ∠´_`>::::::::::::::::,'/V , --- 、 u \i `´  ゞ--- 、 ヽ:::::::::::::::::::::l
三三三ニ     ヽ、:::::::::::::::,'  /     ヾ     7´    ヽ ヽ:::::::::::::::::ヘ
三三三三 ハ `ー=ー ゝ:::::::::::::l.u/      i     i       ヽ ,::::ィ::::::ト、:ヘ
三三三三.ノ`ヽ、 ト、:::::i、:::::,ヘ::l il     ◎ l     ! ◎      .! !/ レ'` ,-ヽ.i
三三三三三三 ` `V ヽ:i ,-ll ヾ、       /     ',       // u /  .}   ・ ・ ・ ・
三三三三三三三三ニニ`!l l  ``ー--= "     u  `、、__  __ ノイ'   ゝ  ./  (おしげりが男女の営みのことだってのはわかるけど…)
三三三三三三三三ニ,、.,-ヽ、l   u    〈      `u` ̄  u    '´ , イ
三三三三三三三三 / ヽ  ト、_  __                , 、_/ハ!
三三三三三ニ_, --、{ l l/ ̄ / /::, ニ=‐-- ‐‐ '''''ヽ、ー、 U  , イ      ヽ
三三三三三ニヽ、 ヽ、!./ ___, < 、 V           i:::l } /        , ゝ
三三三三三ニ. , ` ̄7フヽ \  !__>`ニ ―-- 、_, _ ノノ イ     _,, - ' ` ー
三三三三三三/  ,イ/  ト- 、 l--‐<´ `丶-----‐'' ´   ! ,, - ''




   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ○)(○)
. |  U  (__人__)
  |     |r┬-|
.  | ι   `ー'´}   (それよりもこの人いくつだよ?確実に六〇は過ぎてるはずだぞ)
.  ヽ     u  }
   ヽ     ノ
   /    く  \
   |     \   \  





286 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:20:09.84 ID:l3fCdNoo

          ____
        / .u   \
        ((○)) ((○))
/⌒)⌒)⌒. ::::  (__人__) l_j :::\     /⌒)⌒)⌒)
| / / /     |r┬-|     | (⌒)/ / / //  (絶倫ってレベルじゃねーぞ)
| :::::::::::(⌒) U .| |  |    /   ゝ  :::::::::::/
|     ノ    | |  |    \  /  )  /
ヽ    /    └ー.┘    ヽ /    /




            _─-、 -‐;z.__
        > ` " ゙  <
       / " " " " ゙ ゙ ゙ ゙\
         l " " ", ,ィ バ i ゙、 ゙、ヾ
         | " "ノlノメ、 |ノjムヘ. N
        ! r,コ| =。=  ,。==ハリ
        | |ヒ.j|   ̄ r_ \7
       j `ァヘ  ──‐:7′    「最後にいい話を聞かせていただきました」
.     _/∨ :::\  ̄ 人
  -‐'''"´ |.  ヽ.  ::::`:.イ  |`''‐- 、.._
        |   \  :::/  |     .ハ
.        |   ,ヘ 〉  |へ. |     l. l
        l_/  ゚〈ー‐'|   ヽ!   │ |
           |::::::|   「 ̄ ̄| |   |





287 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:21:06.14 ID:l3fCdNoo

杢之助の言葉に甚右衛門はふと真面目な顔になった。


     |::::::::::::::         i .人ェュ、_    )、
    丶:::::::::::     ノ   .レ'´ /´:::::    / ヘ   
     i':::::ヽ::   ''''´ ヽ .,イ  i::::::    _  V.i
   ┌-t::::::::::::  .___ X ! /:::  _,,ィク´  .i |   
    .!ヽ:ヽ:::::/ ̄´;;;;;;;;;;;;;;;ヽ, ヽ ::::::: fエィ'´   ノノ.   
    i ヽ |:::::|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ノノi  :::::::::     ィヽヽ
     !`゙イ、::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:::ヘ  i::_::: -‐‐<./ ヽヘ     「最後?なんのことでェ?」
     `ヽ(ヽ、__`>─'''´ ,r  .ゝ (. `)‐-クi ):  i:::ヘ
      .i.ヽi-‐'ヽ/ ,:::-‐'´ゝ‐-、_,,ィ'´==ッ' 〉ノ /::: iニヽ
      .| ::::i   i (ヽ、__,, -‐=ニ''´  ̄// // !::::  ./|ヾ゙\
     ,,イ、:::ヽ、 ヽ\ `゙‐`''‐--─''´/ / i/i::::  :::||>メミノ三
    i'´゙〈::ゝ::::::::`'ヽヽ::::::..  ̄` ´ ̄   ノ:::/:::  ::ノノ爻》彡
  ノ´) 《ム、:::::...  ``ヽ、:::..       /:::::!:::: /ミ矢父<
三タ〈 父メミ`ヽ::::::::..  `'-、..__,,.--‐'´ :::/:::./爻爻ノ.ノミ





288 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:21:42.66 ID:l3fCdNoo

       、─- 、  __
    ,_ -─-ヽ   '´   ,∠.._
    ,> " " " ゙  、、 <`
  ∠_ " "  "  ヾ  、、ヾ
   / ″, ,ィ /ヘ i、 ヾ ヾ !
.  /イ ,ィ ./l/‐K   >!ヘ|\ ゙ |
    |/ レ|==a= . =a== |n. l
.     | l  ̄ ´|.:   ̄  :|fリ,'   「貴重な話を聞いて、腹を切る前に気持ちのもやが吹っ切れた気がします」
      `ヘ   、l.レ    :|"ハ
.      /ヽ.  ̄ ̄ ̄ /|/  :!_
      _/   l\  ̄ / ./   |-¨二
-‐ _''.二/    l:::::`‐:'´  /    |
¨´   l    ,ヽ:::::   /,へ   |
      |   /o |_   _,/   \ |




          / ̄ ̄ \
.      /       \
.      /  _ ノ  .ヽ、_  \
     |  (ー)  ( ●)   |   「やる夫も気持ちが固まったお……」
.     \  (__人__)   /
.    , '´7::::|.7 「i .}::::ヾー、
    |ヽ:::::|∧|/| .| ! |∧|:::::::|ヽ





289 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:22:03.95 ID:l3fCdNoo

     ワ          ケ

       __  |   | |   | |  | |  
      (\O `ヽ   _,--、  | |  | |
       、● '0 l ̄ 「  \| |  | |  
       ゞ┴--'  /\_∧| |  | |
       /、__|_ノ┤ / ヘ\) |  |   
      (    )  ヘ \ノ V | 
      \_ ノ<_丿 /  )|      
        | ヽ \   / /丿      「……なんであんた等がハラ、切らなきゃならねぇんだ?」
        \ > >--、 | , へ、,,,_    
         ~| (, <  / /---、 \
        ( / \__|  と-、 ''ニつ
        / ) |    |∧|ヽV|ヽヽ- |
       /(  \   ~ |     /
        | ヘ       |\_ \
         ̄  \    ノ    ̄
            ~'''''"~
    ワ  カ  ん  ね  ェ …





290 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:22:44.48 ID:l3fCdNoo

        ____
      /      \
    /  _ノ  ヽ、_  \
   /  /⌒)   ⌒゚o  \   「やる夫が一人殺してますお」
   |  / /(__人__)      |
   \/ /   ` ⌒´     /




 .| ヾミ,l _;;-==ェ;、   _;;-==ェ;、 ヒ-彡|
  〉"l,_l||;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)=f';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;||゙レr-{ 
  | ヽ"::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i,  iヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ r';' }  ニカッ
 . ゙N l ::.ヾ====イ;:'  l 、====/ ,l,フ ノ
 . |_i"ヽ;:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ.  /i l" 
   .| :゙l.''(<T''T''T''T''T'T>)゛|'",il"|   
    .{  ::| 、 \工工工工/ , il   |   「ああ!あのことね……。そりゃいいんだ」
   /l  :|. ゙l;:ヽ========ノ ,i' ,l'  ト、
 / .|   ゝ、゙l;:       ,,/;;,ノ |  \
'"   |      `'ー--──'"   ,|    \_




   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)
. |     (__人__)
  |     ` ⌒´ノ.   「良くないでしょう。秩序的に考えて」
.  |         }.
.  ヽ        }.
   ヽ     ノ
   /    く
   |     |





291 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:23:23.04 ID:l3fCdNoo

                 |
   r    ..    |    y'
,,,,;;;;/      ヽ,,  リ  /,ヽ
    、__.....   ''     -=)}
    ''==-、    ,-==' )ノ
:::...      ノ    ヽ...  <
, _,        _  ノ    )
乃    ....__/ '(  'ノ'ヽ, イ'    「色町の喧嘩で死んだ奴は、死に損って決まりなんだぜ」
 (ー---'    ⌒'''′/ /
  \'ー-<‐====v=イ/イ ̄'
   ヽ .ヽ=ニ二ニリ/ /\;;:;;
\,     'ー――‐'/;;:;;:ヽ;;:;;:      
''\~ヽ__   ⌒ ノ|;;:;;:;;:;;:;;:\;
  \:.:.:.:.:.⌒フ ̄' /|;;:;;:;;:;;:;;:/;;
     ̄ノ<:::::>ヽ/ |;;:;;:;;:;;:;'




      __  .はぁ. ━┓
    / ~\    ┏┛
  / ノ  (●)\  ・
. | (./)   ⌒)\          ._____      ━┓
. |   (__ノ ̄   \       / ―   \ はぁ.. ┏┛.
  \          |     /ノ  ( ●)   \..  ・
    \       /.    | ( ●)   ⌒)   |
.      \  ⊂ヽ∩    |   (__ノ ̄    /
      /´    (,_ \..  |             /
       /       \. \  \_    ⊂ヽ∩\
      ./   /       |. \ソ  /´     (,_ \.\
    (  y'      .|      |         \_ノ





292 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:23:49.82 ID:l3fCdNoo

      ./..::::             i    ヽ
     /.:::::::::::.            /     ヽ
     .i::::::::::::::        i  ./      |、
     |::::::::::::::         i .人ェュ、_    )、    「考えてもみなよ。
    丶:::::::::::     ノ   .レ'´ /´:::::    / ヘ    
     i':::::ヽ::   ''''´ ヽ .,イ  i::::::    _  V.i    どの家にとっても、自分の侍が遊郭の喧嘩でおっ死んだってなりゃ、
   ┌-t::::::::::::  .___ X ! /:::  _,,ィク´  .i |      これほどみっともないことはない。
    .!ヽ:ヽ:::::/ ̄´;;;;;;;;;;;;;;;ヽ, ヽ ::::::: fエィ'´   ノノ.   
    i ヽ |:::::|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ノノi  :::::::::     ィヽヽ    連座式に取り潰されていくよりも、
     !`゙イ、::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:::ヘ  i::_::: -‐‐<./ ヽヘ     死に損ってした方がはるかに合理的じゃないか」
     `ヽ(ヽ、__`>─'''´ ,r  .ゝ (. `)‐-クi ):  i:::ヘ
      .i.ヽi-‐'ヽ/ ,:::-‐'´ゝ‐-、_,,ィ'´==ッ' 〉ノ /::: iニヽ
      .| ::::i   i (ヽ、__,, -‐=ニ''´  ̄// // !::::  ./|ヾ゙\
     ,,イ、:::ヽ、 ヽ\ `゙‐`''‐--─''´/ / i/i::::  :::||>メミノ三
    i'´゙〈::ゝ::::::::`'ヽヽ::::::..  ̄` ´ ̄   ノ:::/:::  ::ノノ爻》彡
  ノ´) 《ム、:::::...  ``ヽ、:::..       /:::::!:::: /ミ矢父<
三タ〈 父メミ`ヽ::::::::..  `'-、..__,,.--‐'´ :::/:::./爻爻ノ.ノミ





293 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:24:36.20 ID:l3fCdNoo


                   _____
                 / '⌒ヽ  ; '⌒゙\       ||  ||
                /        ∪     \      ||  ||
              / /´  `ヽ   /´  `ヽ \     o   o
             /  (   ● l    l ●   )  \
           /    ヽ_   _ノ   ヽ_  _ノ  ; \
           |  ;  ''"⌒'(    i    )'⌒"' ∪  |     「ッッたぁ~~~~~~~」
           |  ∪      `┬─'^ー┬'′      |
            \          |/⌒i⌒、|         /
             \       !、__,!    U  /
             /       、____,,      \
            /                        ヽ
             |  、                 ,   |




      |:|.:.:.:.:.:.:|.:.い:⊥ |.:ハ: | l:|   |:.|l.:.:|.:|.:.:l:.:|:|.:.|.:.:.:.:.:.:|.:|
      |:|.:.:.:.:.:.:l从.:? l八ヾ、リ  レ? レ厂|从l:イ .:.:.:.:. |.:|
      |:!:.:.:.:.:.:. l ≦アテ心      ィチテ心≧ |.:.:.:.:.:.:.|.:|
       |:|:._:.:.:.:.: |ヘ {ト-じノi}       {トじ-ノi} イ、j .:.:.:.:.: |.:| _
        |:f' l=.:キ =¨三       `三¨= ≠.:.:=.:.:l:./ }
.       l :| :|:==.:.'. = ==        == =/.:.:.== .:.:j/ /_    「うはっ」
    /|.:.| :|:.=:.キ = ==   j:.    == ≠.:.:==.:.:.=/ / `ヽ
.   /  l:._| :'.:.:/^7:ヘ.    t――――ァ   イ.:.:./.:「`l:./ /     }
  r-トrー「 } ∨ ,' :. :. ヽ、 `ー―‐一'  イ〃.:./.:.:| レ′/'^ト、 _j
  { `! { { / │:.:.:.: ', | >  __. < |∨.:.:./.:.:.:.| .} / / }'´ )
  `ト、{ ヘ }./   .|.:.:.:.:.:.:∨        /.:.:./.:.:.:.:.l  { {. / /tイ
   l \ノじ′  :|.:.:.:.:.:.:.:.'. \   / ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.: |   ヾ:Jじ'´ j/
.    |   {     j.:.:.:.:.:.:.:.:l         l.:.:.:.i.:.:.:.:.:.:.{      /





294 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:25:17.97 ID:l3fCdNoo


      _,,:-ー''" ̄ ̄ ̄ `ヽ、
    ,r'"            `ヽ.
    /  ::.             ヽ
.   /  ::               ヽ
   |   ::                .|
   |   ::                .|     「もっとも、町人や百姓などが斬られたらそうはいかない。
 .| ヾミ,l _;;-==ェ;、   _;;-==ェ;、 ヒ-
  〉"l,_l||;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)=f';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;||゙レr-{    お上に届け出てきっちりとケリをつけていただく。
  | ヽ"::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i,  iヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ r';' }  
 . ゙N l ::.ヾ====イ;:'  l 、====/ ,l,フ ノ    無法な殺人は違うぜ」
 . |_i"ヽ;:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ.  /i l" 
   .| :゙l.''(<T''T''T''T''T'T>)゛|'",il"|   
    .{  ::| 、 \工工工工/ , il   |         
   /l  :|. ゙l;:ヽ========ノ ,i' ,l'  ト、       説明が終わると、甚右衛門は誇らしげに胸を張った。
 / .|   ゝ、゙l;:       ,,/;;,ノ |  \
'"   |      `'ー--──'"   ,|    \_





295 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:26:02.53 ID:l3fCdNoo


     ____
   /      \ ( ;;;;(
  /  _ノ  ヽ__\) ;;;;)
/    (─)  (─ /;;/
|       (__人__) l;;,´
./      ∩ ノ)━・'/    (ふぅ~~~、なんだか知らんけど、助かっちゃったお)
(  \ / _ノ´.|  |
.\  "  /__|  |
  \ /___ /




           ___
       /      \
      /ノ  \   u. \ ん!?
    / (●)  (●)    \
     |   (__人__)        | 
     \  ` ⌒´       /
    ノ            \
  /´               ヽ





296 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:26:28.48 ID:l3fCdNoo

∠-'';::/ ,∠/ ./::   ::\.ヽ\ ヽ ヽ \ ヽ. \
::::r''∠- '´:∠ -ヘ::....... ,...:‐''7,ゝl‐-ヽ}   ト、 lヽ. !
:::l::::-===モ== _::::/:::::::::/_  ` / ,ヘ. | ヽ |. ヽ.!
: |:::: `  ー‐=''"::´:::::::::::::/ニ´>,'/  ヽ | ヽ!  ゙l       ../ ̄ ̄\
::|:::::      ..::::::::::::::::::::::/    ハ     ヽ!          /   _ノ  \
:|::::::    ...:::::::::::/::r:::::::i_:   ,'l }              |    ( ●)(●)
|l::::::        `__:::    /.|′            . |     (__人__)
iヘ::::..      ̄ ̄     `ヽ ./^'               |     ` ⌒´ノ
:|::ヽ:::..      ‐==;;   /               .  |         }
::l::::::ヽ::..        :::::::   /    ,.、              ヽ        }
:::l::::::::::\.         /  /.:/:ヽ.             ヽ     ノ
::::|:::: :::::::\.         ,イ /....::/::::::::ヽ.            ノ      ヽ 


やる夫は杢之助とやらない夫を見た。

二人とも別段どうということない顔をしている。



297 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:27:04.95 ID:l3fCdNoo


                                (聞書2の70)
             /..:::::::::::::::::::::::::::..ヽ、       
             (,、:::::::::::_::::_,、::::::::::::::..゙:、      『興のおもむくまま、口軽くしゃべることがある。
             .l `'^'´ ..: :.: :. }::::::::::::::::::i
             ._  、__,、 〈:::::::_::::::::::|       自分の心が浮ついていて、真実味がないように見える。
             !)  ヘラヾ´ ゙! /ベ!::::::|
             .ソ   ```  :.:.: ソ,iノノ::::::|       後で考えて、真実があるかどうか考えながら話さなければならない。
             ヽ,-     .:..:.:シ_,イ、:::::l
 .               i==-  .:..:.:イ   ヾヘv       そうすれば、真実味のある話ができる。
               , ゝ...:.  _,.ィ  i ,.'  }  ` 、─────────┐ 、
              , ´  ゙'ーイシ″ ,  /.:. .  `  .///////////////}||ll\    ちょっとしたあいさつでも、
          ,.. '´   \ ヽ/,ハ::.:..:. /            ` ー- 、///////:}||ll|ll|}    一座の空気を読み取って、
        /     ノト_,ノ┘″}:.:.:./ __  -─…        ヽ///// }||ll|ll|}    よく考えた上で口にしなければならない。
          /  _,. イ      ヽ / -‐              '/////}||ll|ll|}
        /    /  ,                  、         '////:}||ll|ll|}
      /     ,/ .:レ        /           ヽ       ‘.///}||ll|ll|}
      /     / /       ,′              ,::..         V//}||ll|ll|{
      /      ′:′        ′           /;ハ:.:.        ∨/||ll|ll|{
    /     .::' ..:.:{       .:i         ..:.:.:/:.:..:ヘ:.       ∨||ll|ll|{





298 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:27:43.28 ID:l3fCdNoo



                  ,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、
               /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
              /;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
              ,!;;;!゙`''~^~ァrr-'゙`'´''ラヘ;;;!   
              |;;;|      ノリ     ミ;;;|    
             _ゞ;! r─-- 、  ,rェ--- 、ミ;リ
              !ヘl;|. ぐ世!゙`` ,ィ '"世ン 「ヽ         ただし、武士道についてやお家のことを悪く言う輩が現れたら、
             !(,ヘ!   ̄'"  |:::.`  ̄  ,ドリ           かまうことはない。
             ヾ、!      !;     ,レソ
               `|      ^'='^     ム'′
.               ト、  ー- ─-:  /|            思いっきりやっつけてやれ。   
               i| \   ===   ,イ.:|
              ,イi| ゙、\  ;   /リ.:;ト、
              ノ :.:i|  ゙、 `ー─''゙:::;:'::::::!:::\、_        こうしたことは、あらかじめ考えておくべきことである』
         ,. -‐'´.: : .:|           !:.:...     ̄  ̄``ー-、 _
    _,. --ーr'´.:.:.:.::  ..:.:∧:.:.:.:      :::::::::|:.:.:.:.:...    r        \
 r‐'´ _:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l |!:.::   ν   .:::: |;;;;;;:.:.:.:>....:.|:..       、  ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.: ヽ  :.:.:.:.:.:.:.:.:.:  ゝ         /       j            ',
´:.:.:.:.:.:.:.:.: .:\_______ヾ:.:.:.:.:.    >:┴ー…'´ー‐-、|:.:.:..  \:   |:.:.:.: |、
了:.:.:.:.:. :.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.   ``ー-、L.. __〉.'"         \:.:.:.:.:.:. ヽ:.:./:.:.:./ \
:.:.:./ :.:.:.:/-、:.:.:...     __     .:Y´::: _,       =ミ:.:\_;;;;; V;;;/ヽ  l
.イ :.:.:.:.:.:ノ|! _}‐‐::.:.:.. ,r‐'´ ノ   . . ::lr'´:::"            :;;|:.:. `ー'⌒  |  |
; ;辷==' /⌒|::.:_;. -'´...:/      :.:l!:.:::.              :;;;;;|:.:.:     ',     ∧
: .:´ `ヾ|::  レ'ヽ:.:.:.:/    .:.:.:.:.:.:.:.|!:.:.:.        rぅ...:.;;;;;:∧:.:.:.    ヽ.  |: \
      :.:.|::/ /r─  ̄〉 .:.:..:.:.:.:.:.:.人;;;;;;,,          ,;;;;;/::∧:.:.:.:..... . ヾ \
    :.:/: :/.:.:/__ノィ' ̄〉     '´ ___ヾ;;;;;;;;;,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;l ヾ、:/ \_::::::.:  . l|  :ヽ





299 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:31:20.67 ID:l3fCdNoo



          ``''‐、 ``ヽ、.   ,.. -─;:-
            _\ ll ヽ.r' ll /-─- 、.
.       ,. ‐''"´ll   lll`` lll ’ l " ll  -=ニ.`
.    ∠ -‐ ; =-─   ll     ll     lll <`
     , ‐''´ lll    ll     lll    ll    lll ヽ
    / ll _,.  ll  lll  ll   ll    lll    ll i
  , '.,. ‐',´'´ lll   ll  ll  ,.イ   lll    ll   ll |
 / , ' ll ,ィ . ll ,.イll.,.イll./::::ヽ.ll ト、 ll 、   lll   |
.   /ll./! ,イ ./_:l /:::!./::::::::::ヽ. |_ヽ |ヽ lll  ll |
  /., ' . !ll /l ll/:::::l/ヽl/::::::::,.‐''::ヽ!:::ヽ!::ヽ ll   |
  /   ! / .l /.l===。=、::::::;;;:==。====! r‐:、lll|
     l/  |/ .l :`::ー-:/::::::::::: ー-‐ '::´:::|l|r‐、!│
             l :::::::/::::::::::::     :::::::::|.!ト、リ l|
              l:::/::::::::::__-,    .::::::::::|Lンll ト
.            l`"----------一::::/ヽl!  |;;;ヽ.
              !   ___ ..::::::::/;   ヽ ll !;;;;;;;;ヽ.
            ヽ.  ̄ ̄..:::::::/;;:    ヽ. |;;;;;;;;;;;;;l`;;ー-
          _,,. -‐''7ヽ......::::::::::/;;;:      ヽ!;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;;
    _,,. -‐''";;;;;;;;;;;; /;;;;;ヽ:::::::/;;;::         /;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;
    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;`1;;;;::         /;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;
    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;|           , ';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;


二人にとっては、旗本奴との喧嘩は、この葉隠思想に添ったものだった。
結果、破滅があろうとなかろうと関係ない。
毎朝、自分の死に様を思い描いている死人にしてみれば、いつ腹を切れと命じられても、屁とも思わない。



300 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:33:20.66 ID:l3fCdNoo


                 / ̄ ̄\
               / _ノ    .\      _,,
               | ( ●) (●) |.     l;l
              . |   (__人__)  |  _,_,|,|_,
                |   ` ⌒´  |, ト-=y  丶
              .  |         }  ヽ `i, ̄‐^l
              .  ヽ        }   ヾ~ `  i,
                 ヽ     ノ _   ヽ、   ;i,
                ,,_,i     y,ソト,,__  ヽ、   ;i,
               ,/r-'"j  / / ii, `ヽ、-x,,゜r  ;i
            ,,/'/__.L、    /ヾ、"i   `ヽ `;i  i,
          ,/  /_iーヘ,ヽ、 , /i" ヽ、 i     `、'i   iヽ、
         _,) ヽ "   ネメ、_ii"~        _Yri   l, ヽ、
        _,,,>t 、ヾ、    ゞ;;/         /  ,¬    V⌒l
       ,y`;,,__   ,i     /ii'         / r-/|    l l
    _/^,,,  ヘ  l    /iil        /  l"v' y     }  l
 v=4⌒ヽ、 j  --,,,if   /iii|       ,,  〈-ヘ_,、 <、    /  i|


そして、それがやる必要がなくなっても、眉毛一本動かさない。

命を捨てることをなんとも思わない人間は、命を拾ったことも、また、なんとも思わないものである。



301 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:35:16.88 ID:l3fCdNoo

        ____
      /  ノ  ヽ\
     /  (○)}liil{(○)
   /     (__人__) ヽ
   |       |!!il|l|   |   (この二人はとんでもないお……)
   \        lェェェl /
    /         ヽ
    しヽ        ト、ノ
      |    __    |
      !___ノ´  ヽ__丿





               \il i !l ll i ll l i ll l il i !l ll ! ll l ! l! l il il i !!l l/
               三                          三
               三   そりゃぁ、違うんじゃないか?   .三
               三                          三
               /il i !l ll i ll l i ll l il i !l ll ! ll l ! ll l il il i ! l l\





         ____
        /― ― \
      /(●)  (●) \
     /   (__人__)     \
      |    ` ⌒´      |    (じーちゃん…、じーちゃんの考えは違うのかお?)
      \           /
        /         \
       |   ・    ・     )
.     |  |         /  /





302 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:36:25.56 ID:l3fCdNoo


                     / ̄\
                       |    |
                     \_/
                       |
                   /  ̄  ̄ \
                  /  ::\:::/::  \
                /  .<●>::::::<●>  \     心の中で問いかけた祖父は返事をくれない。
                |    (__人__)     |
                 \   ` ⌒´ 〃´ ̄ヽ     ただ、自分で考えてみな、という顔をしただけだった。
                  〃 ̄ V }{ヽ/    _>
          ___      /\_,.ィ=ヽ/_.. -‐ヘ
          l\ミミヽ、   ,ィ≦三彡'´ ̄「ヽ     ヽ
          |   `ヾミヽイ彡'"      |        \
          j_    l≡l         !_         \
          { ヽ   |  !         _ とニヽ        ヽ
          ヾー;ヘ   l  l       ヾー- !\` 、     }


              【やる夫の祖父  ????】



303 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:39:11.41 ID:l3fCdNoo

┼┤│  ││;;;||-|-|-|-|-|-|-|-|-||:::: ::: :::: ∧||/||-|-|-|-|-|-|-|-|-|││ あひゃひゃひゃひゃ!!!
┼┤│  ││;;;||-|-|-|-|-|-|-|-|-||::::::::: : ( ⌒ ||-|-|-|-|-|-|-|-|-|││ チン♪トン♪シャン♪
┼┤│  ││;;;||-|-|-|-|-|-|-|-|-||::::::::::::::::∪ 。||-|-|-|-|-|-|-|-|-|│|
┼┤│  ││;;;||-|-|-|-|-|-|-|-|-||─────||-|-|-|-|-|-|-|-|-|││ やるおっ!おっ!おっ!
┳┥│  ││;;[田田田田][田田田田][田田田田][田田田田] |..│
┻┥└─┘,,|/=======================================;;;|..│
 ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ
ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄
 ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄ノ ̄
==@==@==@==@==@==r─ー─‐-──ー┐@==@==@==@==@==@==
─────────‐|  西  田  屋.│─────────
:: : :| |;;| :::: :::: :____`ー─-─-‐ー─┘____:::::::::::::: :| |;;| :
  | |;;|   ::||三三三| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|三三三||:    | |;;|
  | |;;|   ::||三三三|千_|客_,,ノ万__,ノ吊__,,|三三三||:    | |;;|
  | |;;|   ::||三三三三||:::::: ::: :: :::: :::∧__||三三三三||:    | |;;|
  | |;;|:::: /||三三三三||:::::: ::::::::::: :::(゚∀゚||三三三 /:: :::::::::::::| |;;|:::::
| ̄ ̄| ̄ ̄|. ||三三三三||:::::::::::: :: :::::::(  ||三三三|| ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄
|    |    |. ||三三三三||: ::::::::::::::::: ::| ||三三三||  |    |    |
|    |    |. ||三三三三|||::::: :::::::: :: : (_(||三三三||  |    |    |
|__|__|/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;||_|__|__|_
        





304 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:40:13.66 ID:l3fCdNoo

西田屋二階座敷で繰り広げられたこの日の宴会は、破天荒なものだった。


             _ヽ 、, ´ ̄ `丶
            /   lヽヽ  /  ̄ ̄ `丶
           l―= -、l  ヽV   __  \
           ハ  `ヽヽ l ! /     ̄`ヽ!
          {  ヽ   lヽV !|/          \
          ヽ , -_ーヽヽl V/  _ -、― 、    ヽ
             > ⌒ ー `´'ー<  l  ヽ. ヽ\     ヽ
      、_、.-ァ ´    _ , /     \l   l  ヽ ヽ.     l
      \::/ /  / / / /1ハ ヽ ヽ ヽ   l   l  !   l
       / イ   イ/⌒ヾ/ jレ、l|  l  lヽ |   |  l    |
        l l  /_j!三 、jヽ l! r_|A ヽ   ! lヽ   !  !   l
        | イ1iヾ.{ィ:ノ^   イラ:ォ、l ! ヽ| l::\ |  |   l
        ヘ|ー1l     、  ゙ー゙' ^!/l  l!く::_:ヽ!  l  /
           lハ   ヽ--ァ     //| /  /  /` l  /
         、ヘ. \   ー'     イ .{ l/  /   /l  / イ  「出番じゃの!」
          /_l  L iー‐ 7´__l,ィ〈 ./  // /:../l:|
         ヽ ハ V` ーiT!   / V   // .〃:/ ヾ
          〉、_ヽ ヽ ├!ハ /l  ヽ// //'´
        /   Oト、 l F| ヽヽーi l l /:/
       /ヽO ィヽ、lハ l Lj  ヽ l L ト l´
        |  ヽ{ {_ヲノl  l l     ヽl リ リ
        |  Y ̄   l'|  ヽ    l |!
        ヽ   ヽ    |   i    }ハ
         ヽ   ヽ ri_ノヽ ノ   ノ′ヽ
         ヽ  , ゝくーlィo_ノXj^o┴- 、.ヽ
           V/〉、 〉 lrH-vj {j   ノマエj
           V.//, -o_ト、ー'^Y TY   __ーヘ
           / ` ^` ーヽト-,ノ  〉_/ / /

       【花魁(端女郎) 小牟(シャオムウ)】

西田屋の花魁は太夫が一人、端女郎が九人いた。
花魁の格付けでいうと、太夫・格子・端と分かれていた。



305 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:41:13.86 ID:l3fCdNoo

   }:.:.,、:.:.:.:\     /:.:.:.:/:.:\    /:.:.:.:.:.:./  \ヽ}ー_ニニ._ー' // ∨    |:.:.レ..、_,.../:.:.:._,.: -へ.:.:.:.:.:/ノ:./:.,.、:}
   ヽr-ミ:.:.:.:.:ヽ.  /:.:.:.:.:.ト、:.. :_ヽzく:.__:z '´    //イ´ : : : : :`ヽ}ヽ  __r―ァ'/´: : : : :`:<´     ブ{ ノ ̄「三ヽ/
    _フ ` ̄Y ̄V:.:.:.:.:.:/ /:.:.::.:.`´:.:.:ヽ\  _ノ: : : : / : : : :l : : : : |./ : |:.ィ/:  . : : : : : : : : :ヽ   ,.イ ヽ.二.._<7´
   //ィ_  ノ  /:.:.:.:/ /:.:.:.:/:|:.:ト、:.:.:.:.:.:!:..ヽ7: : : : jAハ: : :|Aト : : ト!|: :l./、|イ : :./ィzく|: : /: : :トl/了 ヽ. /ヽ/_/`
   ー'‐'z/ドィ1{_:./`「ヽ.|:/:.:ムハ:l弐:.:.:.:.リ.:.:.:}.V|: : /lニミ.ヽNニヽ! :ム|j: :.:ト:..:ハ{:/ {ヒ} lイrト小/´  / / {:i /   _.. -
 ̄:.`ヽ、 , -_j_ノ:「`\  !  lハ:.:l{.{j, ´ ヒ「ク/}'ヘ:リ  トi小.ヒリ 、 ヒリ.ハイリ!: :.:.ヽ:{_ヒ′  ト.、_´ {  /  |.イ-‐z.=Vく、 ,.イ:.:.:...:
_:.:.:.:.:.`¨. -‐-く:ヽ ! ヽl  /斗{ r-ァ 1 /:.「iカフニ-ァ|_!:|⊃ iー‐1 ⊂!!{ |: : :._Lトiく\  ! .}ノノ /  | |  /\`ヽ. -―
   ̄イ/   、 `.! /   ./:ヾ.く_ノ |:.:.|/-‐_ 〈 | |:ト.、 |´ `リ .イ:|〈:| ̄ l:.:.:{ __ヽ_ト-イ / /   |/  / 、(rjヽ i
   | ! ト、 ヒヽ l l   |l:.//工_|iV:.:}´ ̄`ヽj: !:!/:>='イ:.!:! |ノ:!   |:.:.N_.ィ弋ハ | ! !    l   j_,...、ヽ`__〉|
-―-ヘ ヽlfャト、{ヒ:j| ! |   l j'/イ7^lア7:./    __ムj レ'/「¨T7´|ヽ!:.|}⊥._ j:.:.j `   ヽ!/ !      /  /}ヒレ ,ォv//
    V、ト`'、 _ ィ|イハ    / ,   /:.:/マ.ヲ´  ,リ :!ハフ´ヽ7!.:.|.:|.)  ` く   ヽ \/ /丁_,ノ| / ,.、_ 'ヾ//ー ¨ ̄
l     ヽトz`='∠レ┬r'^ヽ. /,.ィヽ.l:.:.:.l/   //: リ `¨` ´¨´ヽ!:|ヽ    \‐...、l  _.V  ノ:./__ヾへ. {_ソ.イ/    /
ヽ   ヽ ヽ.  /V「ヾlハ、:::..:{:.:.:.:.:.:.|/     /:/イ:ル'\ 、 / ,. -.、ヾく      ` ‐'<:.:ノ/:./`レ'弋7|`  |/    /7¨
 l    \. Y i:.::}     ヽ7i::> ´i  i    l/:ノ´:.:.:.:.:.ヽ{/:.:.:.:.:.:ヽ!r‐tz_、|      ` く:/     |:.:!ァォ / /   i/
 ヽ      `| V  { ,rァ┴ ´    !  l    l{::::::::::::::::::::.:.l:.:.:.:.::::::::::.:.}).゚--、・ヽ /      \  }  V∠' //    l′
  ヽ   /´| { ̄:.`ス       | |   |:ヽ:::::::::::::::::::j:::::::::::::::::::ム| ` ー`1/         ` く __,} /,. --ヽ.__ ノ
   ー ´   ! ,.!>'´ ヽ        ∨     !:.:.ハ:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:::::/:.:.:!     !          /`ヽ:厶「
        /  \,_.z ヘ  、   ,′    !:.:.|.ハ: :.:.:.:.:′:.:.:.:./ |:.:.:.:.|    |           ,.ヘ、/  \__
    __,. ―'\  rァ .>  }  \  j      |:.:.:∨:. :.:.:{:.:.:.:.:.:〈 |:.:.:.:.!      !   /   / ヽ//rュ / _`ーァ
   ー┐‐' i ト<「    l    ヽ|     |:.:.:.:|:.  ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V|:.:.:.:l       | /    /   丁` アヽ j  「´
      | -.、 /       ヽ   |    lァ┬':...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}L__/     |'´     /    レ'´   ∨rハ|
      |j |{/         ヽ   |     レヘ.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./∨.|      |     /          ヽ!|}′
      `'′         ト../|     |>く l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/<>ヘ.|      /、   /            `′
                   |へ. ヘ    トxへヽ:.:.:.:.:.:.:.:./メ、>、ヘ!    />|\/


この日は店にいる局と新造・禿(かむろ)がすべて座敷に集められた。



306 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:42:38.89 ID:l3fCdNoo

                __/ム\   ___               }  \
         .    , '´// ̄>`´       ` ー‐-- 、    /    \
            ./ ///                    \  ,.┤     \
     .       / / '  /      /´          y′|    ヽ    }
           ./ , ′ / /     / {       \ / /」     '.   ノ  , ´ ̄ ̄ ̄  =‐ァ
     .     / /// , ′ /   ,  //  ハ   \  V -〈 \   j ∧/           , ´
         ./ /// /   / /_____/ // / ', ハ '.  ト、 \ _≫-‐くこリ=一       /
   .     / {.{/ ハ   7 / / `/ ' /  l_ハ__j |  |_ > ´   /   \\ー--、‐一 '´
.   .    / ノ从/ {i  l ハ fテァz、 { {   レ ∨ > ´  =≠=/{    \ヽ  \    すべてやる夫たちのための、
         /       ∧ |/ 人j{ ヒし} V      /    /  /   l  |  l   ヽ '    '.        甚右衛門のはからいだった。
.        /      ,'  ヽレ介r  込ノ    _ /   /-/ー、/    |=l=l   '. '.   '.   店主の陽気に釣られて、
      ,′     /   / ! |」」 "" ,      ̄`ミ / / ムr≪       l=|=|    } }   ,       芸妓たちの音も軽やかである。
.      ′/   /  厶匕/__ヽ  v‐ 、 " 7 / / /爪_j      チト、 !  |    / '     .
     ′/   /  /⌒`ー⊆二⊇ヽ..ノ   乂 / f/ し'′   /:廴ノi\   / ′    |
.    ′/   /  /     / .:厂:\ `ー‐ァ孑千彡 ハ!" ′_   t rんノ\   //\ 1 i |
     /.__,′_/   /. : :/: : : : :>< : : ‐キ≪j从   {/ `ヽ   ""/ , \//  ヽノ 圦
.     f|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `   、/ : : / 7=〈) : :ノ:. \   ヽ ヽ .ノ   / /,r====∧ 〈
   と´||:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:     >──‐ッ┴<: : __j ̄`ヽ> 一 / /7 7 /7   / ∧ |
  {   ||:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.     /         ̄ ̄ `ヽ 乏 て孑 ムム七___/ /  '.|
     ̄l|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:   {                 \ ヽ { ∧ 〃 / /    '.!
      lレ ´ ̄刀 ̄`  ‐-  __廴__              '. \! ′∨{  { ! 
         {/ : : :i : : : : : :/    !: : : :  ̄ ̄` r 、       }  \  ∨∨ 
           l : : ::| : : : : : /       | : : : : : : : : . {  \    ノ     \     ※新造……新人の花魁

                【芸妓(新造) 初音】    【芸妓(禿) 鏡音】   ※禿(かむろ)……花魁になっていないもの。雑用係




307 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:43:09.88 ID:l3fCdNoo

      ./..::::             i    ヽ
     /.:::::::::::.            /     ヽ
     .i::::::::::::::        i  ./      |、
     |::::::::::::::         i .人ェュ、_    )、
    丶:::::::::::     ノ   .レ'´ /´:::::    / ヘ    
     i':::::ヽ::   ''''´ ヽ .,イ  i::::::    _  V.i       
   ┌-t::::::::::::  .___ X ! /:::  _,,ィク´  .i |   
    .!ヽ:ヽ:::::/ ̄´;;;;;;;;;;;;;;;ヽ, ヽ ::::::: fエィ'´   ノノ.       
    i ヽ |:::::|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ノノi  :::::::::     ィヽヽ    「ほれ、一緒にやってみな」
     !`゙イ、::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:::ヘ  i::_::: -‐‐<./ ヽヘ        
     `ヽ(ヽ、__`>─'''´ ,r  .ゝ (. `)‐-クi ):  i:::ヘ
      .i.ヽi-‐'ヽ/ ,:::-‐'´ゝ‐-、_,,ィ'´==ッ' 〉ノ /::: iニヽ   
      .| ::::i   i (ヽ、__,, -‐=ニ''´  ̄// // !::::  ./|ヾ゙\
     ,,イ、:::ヽ、 ヽ\ `゙‐`''‐--─''´/ / i/i::::  :::||>メミノ三
    i'´゙〈::ゝ::::::::`'ヽヽ::::::..  ̄` ´ ̄   ノ:::/:::  ::ノノ爻》彡    
  ノ´) 《ム、:::::...  ``ヽ、:::..       /:::::!:::: /ミ矢父<
三タ〈 父メミ`ヽ::::::::..  `'-、..__,,.--‐'´ :::/:::./爻爻ノ.ノミ





308 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:44:17.09 ID:l3fCdNoo


                            γ⌒) ))  
        ___(⌒ヽ             / ⊃__
       /⌒  ⌒⊂_ ヽヾ          〃/ / ⌒  ⌒\
(⌒ヽ∩/( ⌒)  (⌒) |(⌒ヽ       γ⌒)( ⌒)  (⌒) \ ∩⌒)    「こ、こうかお?」
 ヽ  ノ| :::⌒(__人__)⌒ ::| ⊂ `、三  三 / _ノ :::⌒(__人__)⌒ 〃/ ノ
  \ \    )┬-|   / /> ) )) ( (  <|  |   |r┬(    / / ))
(( (⌒ )、 ヽ_ `ー‐' ,/ / / 三 ( \ ヽ \ _`ー‐'  /( ⌒)
  \ \ /                               / /




          , -一 ⌒ ー-- 、
       /       ::::::::::::::::::\
      /         ...:::::::::::::::::ヘ
      |     :::    :::::::::::::::::::::l
      人      人    ::::::::::::::\
     ( rー------ ::::r---------7)
    ⌒>l l ̄ ̄ ̄ l lへl l ̄ ̄ ̄~l lイヘ
    ( ( l l___l l ::::| l___l/::〉:::l    「そうそう!傀儡(くぐつ)踊りってんだ」
    l ヘ`/ー---- ⊂_⊃ー----':::ト::/
    L |   「ー-_へ へ ー-一フ):::::ノU
      L  l ` 、廾廾廾i ,"::/::\:」
       /\  :::`ー-一":::::::::::::/::|
      /  \ (   :::):::::/:::::::::|
      人    Lー----一」::::::::::::::人





309 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:45:05.77 ID:l3fCdNoo

       / /:::::/  `ー‐' /:::::::::::::::::::::l::::::トー―l‐'´::\ l|::::',
       ´ /:::::/ /`ー―‐':::/l::::::::::::::::::::∧:::|=、:::::::|:::::::::::::ヾ::::::',
        l:::::/ソ:::::::::::l::::::::/‐ヘ::ト、:::::::::::|´l::|  ヽ:::ト、:::::::::::/l:::::::',
        |:::::/:l:::::::::::l::::::/   l l \::::::l .∨  ヽl ',:::::::::l::l:::::::;ゝ
        |::::|:::l:::::::::∧::/     `ヽ  \| ,.. ,,‐―-、_',:::::/、ソ:::::|
  r-、    |:::/:∧::::::l、∨ ,,.-―-、     ´      ',/ヘ l::/ソ
 (ヽ .\   ∨',::::::\:l-、 /            ⊂⊃ l) l l,'
  \\ \    ',:::::/ /  l⊂⊃     ヽ    __    ol- ノl     「あはっ!あはははは!」
   \/\ r‐ヘ lヽヽ l      。  ___/,_丿  ゚。,イ::/
    |   ヽl  |レ´`ヽ_.、   o  --‐' ´   。     /::/`ヽ、_
    l ハ  >、 ヽ  ヽ::ヽ            ./:/∨      ̄`ヽ
    r' `  ̄`ヽニノ、',   `レ、:>:.....       <l:ル'  /     /
   / ヽ、_  \\\ヽ   `'´`ヽ::l ` ‐ ´  ソ  /     /
   l    `ヽ、. \\\    /rl´        ヽr/     /ー-、_
   i' ´ ‐-、_ソ-/ \\\   l、l l         /l     / ̄ ̄`ヽ \
   ヽ _   ノ r'ー、.\\\ l_l l ` ヽ   -― / ノ  r‐'´       \ ヽ




          _,. -゙'   ゙  " ̄~゙'' - .,,
           7i         ヾ ー゙ヽ
          /  ii         i; 、ヽ
         _ i i!            i. ゙ ,
       / ゙'' -'^ヽv v ヘ、ヽヾヾ i i i\i
     /""   , ,,_ Y!/  ヾ__!_Aリ|ノ!'!'      「へぇ。これが吉原か」
   ,.- "  〈   i   i=ゝ、 ,,∠=-ァYヘレ
   ノ   !   | "~' |、 - !゚-."!|く゚-  !!メ/
  (   ! ,,... ! ,,.. !  ̄i,   !|::.  /.ノ
.  |ヾ '!.  /   |"゙  〉ー !|;― /"iヽ~゙゙^''' -    普段、ぶっきら棒な杢之助でさえ、陽気になっていた。
  /ヽi - ! _/゙ー i'!  i,/ 、 ― /i  |,,__
  ノ">ヾ_!〈==-!|_ノi ヽ \ / !  |  ゙゙゙̄^'''
  /    ''゙.---┘  |  \ッ" /  |





311 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:45:49.45 ID:l3fCdNoo


            / ̄ ̄\
          /    _ノ' ,,\
         |     ( -‐)(‐)
.          |    ::~(__人__)
          |     'ヽ ヾリ    ちょいな、ちょ~いな~っと♪
        |      ゙ー'ノ
         ヽ       ソ}
           ヽ      ノ     ●ォ、_
          /⌒Y◆・◆、        ”¶ト.
         /  y   |。=, \.      ||
         ノ  ,/___,ン)_|,、 ソ'~,‐っっ||
        (_"___リ_ソ `ー─iソ´~ ||


もっとも、少し思い違いをしていた。
吉原がいつも面白いわけではない。
これらすべては、遊びの天才である庄司甚右衛門の采配によるものだった。
そして、甚右衛門をその気にさせたのは、他ならぬ彼等自身だった。



312 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:46:33.13 ID:l3fCdNoo


      _,,:-ー''" ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ、
    ,r'"             `ヽ.
    /  ::.              ヽ
.   /  ::                ヽ
   .|  ::                 |
__,,__,|__,,____,,____,,____,,___,,____,,____,,____,,___,|____,,___,
====================================/
 .| ヾミ,l _;;-==ェ;、   _;;-==ェ;、 ヒ-彡|
  〉"l,_l||;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)=f';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;||゙レr-{ 
  | ヽ"::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i,  iヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ r';' }  ニカッ
 . ゙N l ::.ヾ====イ;:'  l 、====/ ,l,フ ノ
 . |_i"ヽ;:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ.  /i l"  「あいつらみんな、イイ男だぜ」
   .| :゙l.''(<T''T''T''T''T'T>)゛|'",il"|   
    .{  ::| 、 \工工工工/ , il   |      甚右衛門は3人に惚れこんでいた。
   /l  :|. ゙l;:ヽ========ノ ,i' ,l'  ト、     とくに杢之助を気に入っていた。
 / .|   ゝ、゙l;:       ,,/;;,ノ |  \
'"   |      `'ー--──'"   ,|    \_





313 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:47:49.56 ID:l3fCdNoo

   , ‐'´ _                         _`‐、
 ∠ -‐'' /     l||   l||      l|l    ||l      `‐、 ̄
    , '   l||          l|l  ,    l|l           ヽ
.    /      l||    l||   ,ィ  /l/|       ||l    、ヽ
   /   l||      ,イ ./!  / |  /  | lll ト、  ||l    |l  l\!  太刀を折られて、なお組み付いて仕留めようとする動作が凄まじい。
.  ,' ,.イ    l||   / l ll/ l |l/ | ll/   l  | l     ||l     |
 / | lll  /|   / | / | /  | /    ヽl !.ヽト、      ||    失神から眼を覚ますと、当然のように腹を切る潔さがいい。
.    |  / :l lll /─|/‐-l/、 l/   ,. -─ヽ!ー` ヽ |ll  |ll |
   l ll /  | r:、 /         `    '´          ヽ  ,r‐、 |    それが必要ないとわかった時の、微塵も動じない態度はどうだ?
   ! ./  |/| |ll|.====。==    ==。==== |l|l|'-、 l !
   |/    | | |  ` ー--‐ ' | :   ー--‐ ' ´   | !` i | ||     杢之助は未来のことを考えず、
           | | !          ::| :          | .|ヽl l !      過去に縛られず、
       /l |l|       :::| :          |ll!_ノ.,' !\      常に現在に生きるものである。
      /  `i|         r_::| : _,         :| |_ノ ,'  \ 
    _, イ       ヽ   、     ー'       ,   ,|,! ll ,'    ト
-‐' ´  .|        ヽ   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  /:|  /       !  愚劣な喧嘩を起そうとも、己の存在を賭けて、悔いることがない。
  -‐' ´|         |;;ヽ     ___     ./:: :| l /       :|
.     |        |;;;;;;;\    ̄ ̄    /:::  │/       |
     |        !;;::::::::::\       ./::::     |/         :|
.     |          l;:::::::::::::::::\    /:::::       |         |
    |         :|:::::::::::::::::::::::`ー:'::::::       |           |
.    |            |::::::::::::::::::::::::::          |            !
    |            |:::::::::::::             |         |
.   |      _,.. -‐' ヽ               | `` ‐- 、.     |





314 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:48:40.55 ID:l3fCdNoo

   r    ..    |    y'
,,,,;;;;/      ヽ,,  リ  /,ヽ
    、__.....   ''     -=)}
    ''==-、    ,-==' )ノ
:::...      ノ    ヽ...  <
, _,        _  ノ    )    「たまらねえな……血がたぎる……」
乃    ....__/ '(  'ノ'ヽ, イ'
 (ー---'    ⌒'''′/ /
  \'ー-<‐====v=イ/イ ̄'ー‐―,________....
   ヽ .ヽ=ニ二ニリ/ /\;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;
\,     'ー――‐'/;;:;;:ヽ;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;      
''\~ヽ__   ⌒ ノ|;;:;;:;;:;;:;;:\;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;
  \:.:.:.:.:.⌒フ ̄' /|;;:;;:;;:;;:;;:/;;:;;:;;:;;::;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;





315 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:49:35.84 ID:l3fCdNoo

  ::::::::::::::::::::::::::::::::::::....         
    :.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::....
      _ __:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::....
:::.. :::..   `ヽ、`\:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::....         (ああ……思い出しちまうなぁ)
::::.. :::::::..    `ー、 ヽ,_:.:.:.:.:.:.:.:::::::::...
::::::.. :::::::::..      ,>  └―‐‐ 、:.::::::::::...
::::::::.. :::::::::::..   '‐、 「´ ̄"''ー、 \:.:::::::::..:..
:::::::::::.. ::::::::::::..    `′     `゛` :.::.:.:..:.:.:.:...    かつての自分も、杢之助のように自由に青空の下で生きていたことを。
::::::::::::::.. :::::::::::::..        :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:::....
   , ⌒ヽ:::::::::::::::..      . .. ...::.:::    ____ .:::...
丶''′  / :::::::::::::::::..         __┌‐ー'´,--‐'"´ :.:.:.::....
    (   :::::::::::::::::::....     r'´_,.-‐-、''ー、 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.....
     `‐' ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.. ,ィ'´''"´    レ'"´ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::....
       丿:::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::..        : : : : : : : : : : : : : : .
       ヽ___ノ´ ̄ ̄`ー、         : : : : : : : : : : : : : : .
                 ):::..        : . : : : : : : : : .





316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 21:49:46.75 ID:ocHnVZgo
自分もここはニヤニヤが止まらないww


317 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:50:50.62 ID:l3fCdNoo

   ミミシ,r二`` -、   /-‐''"二 、ヾシ
   ヾミ゙:|'´_ニ=ミ、`ヽ  }´ .ィ-==、、`ヾ彡
   ミ{.:::::::!、__○`i :ゝ ノ: (_○ _ノ::::::彡
   r、{::.    ̄  ::i }::.    ̄   .::|'ヽ      『道々の輩』と呼ばれる傀儡一族を率いて、
  {r:i.l::.     ,.:::.} .{:::、     .:::|l)}        一族を守るため、毎日、血の雨をくぐり抜いてきたことを。
   ゝ、.i::.     ゝ.(__)-'     :::::lノノ
   入,|::  、___、.ィ,...,__,,..- .::::/ィ
   |;;;;;ゝ::.  ``ヽ ___,,ノ´  .::::/`.:{
   |:::::..゙\、..         .::/´:::::;|       じっとしていられない、突き上げてくる高揚感があった。
  /{:::::::::.. ヾヽ       /´  :::::::ト,
  ∧ヘ:::::::::  `i:\___,//;´  .:::::ノ.::!,
イr メ .ヽ:::::::   i::. :::::::::::: /;  ..::::::/.:::''ヽ`


    【傀儡一族の長 庄司甚内】



318 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:51:23.33 ID:l3fCdNoo

  /  ::             /        ヽ   
 |   ::       ,,--''~''--/,-        |  
. |         --  _ /--         .|     
. |    ∠-'''"ニ\  /   /ニニ''--、   .|.    
. |    / ̄.___/     /    ̄~~\  .|      
,-  | / ̄´;;;;;;;;;;;;;;;ヽ   / //~"\  |  -、   
ト |  |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ノ   /  (__,,,、◎-''   |./||    「俺だって、まだまだ闘えるんだッ。
∧(  ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/. .|  |   ̄'--'~~   ミ|/∧    
|/┐  `>─'''´/_ .|三|  __ \  /    |ヽ|    それがわかっただけでもうれしいじゃねぇか」
( (| -‐'   V, (  /- -ヽ'  )、\)     |) |    
ヽ |      / '━(   ) ━' ~\     |ソノ    
 N     / ____TーT___  \.   |//     
  H    (_彳┬┬-、,,,、┬┬┬ヽ_,,-)   ノY
 { \   \\++. + _l_+. + ++ //  ノ .|        それがこの乱稚気騒ぎの理由だった。
/|  \   \ \UU、__l__,UU//    /  |\
  |   \    \'''----''' /     /   / |
 |     \    >----<   /     /
 \      \  (       ) /     /
         \ \     /
          ~"'------'''~


やる夫は葉隠武士になるようです   第9話   「無分別」   了


原作 『葉隠』 山本常朝・田代陣基
    『死ぬことと見つけたり』  隆慶一郎



319 :1 [saga]:2009/06/10(水) 21:52:33.82 ID:l3fCdNoo

キャスト

やる夫       佐賀の浪人   (パー速でやる夫)
中野やらない夫  やる夫の友人。勝茂近習  (パー速でやらない夫)
斎藤杢之助    常に死人たらんとするいくさ人  (赤木しげる『アカギ』)
お勇        杢之助の妻  (翠星石『ローゼンメイデン』)
やる夫の犬    やる夫につきそう  (シロ『クレヨンしんちゃん』)
斎藤用之助    故人。杢之助の父。したたかないくさ人  (平井銀二『銀と金』)
大野上那     大野兄弟の兄貴。騒がしい男  (カミナ『天元突破グレンラガン』)
大野志門     大野兄弟の弟。内気な青年   (シモン『天元突破グレンラガン』)


【徳川家】
捨丸        忠朝。信綱の策略を探る       (ユリアン・ミンツ『銀河英雄伝説』)
水野成貞     出雲守。旗本奴を率いる無頼    (オリビエ・ポプラン『銀河英雄伝説』)
一心太助     江戸の町人。捨丸と行動を共にする (ルイ・マシュンゴ『銀河英雄伝説』)


庄司甚右衛門  吉原惣名主。かつてはいくさにん     (愚地独歩『グラップラー刃牙』)
小牟        西田屋の女郎               (小牟『ナムコ×カプコン』)
初音        西田屋の芸妓。新造           (初音ミク)
鏡音        西田屋の芸妓。禿            .(鏡音リン)


阿部さん      葉隠の解説   (阿部高和『くそみそテクニック』)


323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 21:59:14.24 ID:ocHnVZgo
乙 小説版をいい感じでコネコネしてて面白いや 楽しみにまってます


324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 21:59:45.13 ID:aYUBAHI0
乙~
ところで、斎藤杢之助が父と年貢米を強奪するエピソードって葉隠にもあんの?
隆氏の小説にあるのは確認したんだけど、
これと全く同じエピソードが島津義弘と中馬大蔵のことになってる作品を
海音寺潮五郎が書いてるんだよね。
もしかして、葉隠が共通の元ネタなのか?と思って……


333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 23:15:51.60 ID:FXuFSXAo
>>324
用之助の年貢強奪に対する直茂公の反応は葉隠の引用ってある
「死ぬことと見つけたり」文庫版上巻25P参照


325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 22:07:33.32 ID:9F/b8wso
乙です
おやじ殿が独歩ちゃんですか、確かに雰囲気似てますな
しかし、刀の腰が伸びるとはアンタは助右衛門かい、やらない夫

それはそれとして、ひょっとして翠の子ってマグロ?


326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 22:20:07.39 ID:Cu5No720
 乙でアリマス。
昨日、「SAMON」が出たところで、庄司甚右衛門の話になるとは、
なんというシンクロニシティ…。
次回もwktkしつつ期待したくー。


327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 22:22:24.12 ID:Wts7aMUo
乙です
このエピソードはいいね。
馬鹿旗本をギャフンと言わせるとはスカッとするし、
独歩老人のキャラも実に良いな~


328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 22:29:33.46 ID:FVjf7Lgo
いや面白かったww
マジパねぇ~~ス♪


329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 22:30:31.72 ID:gO8wZg6o
翠の子がマグロだと…?

ふぅ…
乙でした。


330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 22:48:00.20 ID:qFoHCRko
しかし水野成貞は勝成の息子とは思えないほどの雑魚っぷりだな


331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 22:50:44.94 ID:hrk.K22o
>>325
お前は何を言っているんだ
翠があえぎ声を出したり悶えたりするのを身を固くしてガマンしているんだ

さあキミならどうする?


334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/11(木) 00:22:06.60 ID:MDiMyEQo
乙でした。
まあ、隆慶だから仕方ないけど、おやじのろくでなしぶりと比べて、腰が入ってませんな成貞は。


336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/11(木) 07:54:55.09 ID:B2SIGsco
作者氏乙です!おもしろかった
翠の子を嫁にもらいつつ吉原で酒池肉林しても許されるアカギ杢之助マジパネェ
そういえばやる夫は童貞喪失したのかwwww


338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/11(木) 12:07:30.42 ID:OEgsPCU0
隆慶作品の「かぶいて候」には水野成貞が棕櫚柄組を率いるまでの話が載ってる。
そっちだと水野成貞が家光に忠勤を果たして、後になって見限って野に下るあたりはとてもかっこいいんだけどね。
「死ぬことと見つけたり」ではやられ役としてチョイスされちゃったのが不幸ということで。


339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/11(木) 13:03:09.65 ID:.w3tj0Io
花の慶次にコレを元にしたエピソードがあったね


340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/11(木) 15:16:21.05 ID:zUTgNXQo
おばば様に頼んで家康の友人の忍者を助けようとするところかな。


やる夫が葉隠武士になるようです 第10話 『やる夫さんがくるよ』

COMMENT

  * URL
06/16 14:12
 おもろいなぁ~
  * URL
06/18 17:42
  冒頭のエピソードが民明書房にしか見えんw
.


 

TRACKBACK http://orehaya.blog73.fc2.com/tb.php/573-36d2699a

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。